合計26気筒1795PSに乗ったあの日 今尾直樹の2020年私的10大ニュース!
2020.12.16 デイリーコラム 拡大 |
2020年の私的10大ニュース。スマホの写真を見ながら、一年を振り返ってみました。
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港に見えたクルーズ船
フェラーリ812スーパーファストに乗る!
よかったなぁ、最高出力800PSを、なんと8500rpmで、最大トルク718N・mを7000rpmで生み出す超高回転型6.5リッターV12自然吸気ユニット。思いっきり回す場所があれば……。
という要望に応えて、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが2022年末開業で3.5kmの会員制サーキットを千葉県南房総市に、ポルシェジャパンが2021年夏開業で2.1kmのサーキットを千葉県木更津市に建設中だと発表した。こちとら、ホントに思いっきり回せる場所だと、怖くて踏めないのが情けない。
アルピーヌA110Sに乗る!
よかったなぁ、最高出力40PSアップの高性能版「A110」。でも、内心は40PSアップじゃなくてもよいかも……とも思った。乗り心地がこころもち堅くなっていたから。撮影のとき、横浜港に停泊する「ダイヤモンド・プリンセス号」が見えました。
スーパーカー3台に乗る!
webCGの取材で「アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ」と「ポルシェ911カレラS」、そして「マクラーレンGT」の3台に乗る僥倖に恵まれた。DBSヴォランテは5.2リッターV12ツインターボで725PS、マクラーレンGTは4リッターV8ツインターボで620PS、911カレラSは3リッターのフラット6ツインターボで450PS。全部合わせて12.2リッター26気筒6ターボで、1795PS!
このうち、いちばんヨカッタのは911カレラSで、馬力は高ければ高いほどよい、というものではない。と、わかっちゃいるけど、やめられない。DBSヴォランテも好き。
マニュアルのスーパーカーに乗る!
「アストンマーティン・ヴァンテージ」に加わった7段マニュアルトランスミッション仕様。イタリアのグラツィアーノというギアメーカーの製品を組み合わせている。4リッターV8ツインターボは510PSもの大パワーと625N・mもの大トルクを発生するから、正直に申し上げて7段はいらないです。4段で十分かも。
とはいえ、「フェアレディZプロトタイプ」といい、「ホンダN-ONE」といい、全自動運転というメガトレンドにあらがうかのようにMTが再注目されているのは喜ばしい限りです。
ガソリン車販売禁止まであと10年!?
フェラーリ328GTBとランチア・テーマ8.32に乗る!
基本を同じくするV8を搭載するミドシップの2座GTスポーツカーと、前輪駆動の5座GTスポーツセダン。メチャクチャよかった! 詳細はぜひ、CGムック『CG NEO CLASSIC Vol.02』で(宣伝)。タイトルに「後ろから前から」と付けたかったのですけれど、下品だということでボツになりました。
妙高高原でランドローバー・ディフェンダー110に乗る!
およそ70年ぶりにフルモデルチェンジした「ディフェンダー」。2リッター4気筒ガソリンターボは300PSと400N・mを発生。軽量アルミボディーは車重2240kgと重いといえば重いけれど。ホイールベースが3020mmもあるでっかいクルマで、価格は589万円から。こいつは安い! デザインもステキだし、賞状も副賞も権威も、なんにもありませんけれど、2020年の私的カー・オブ・ザ・イヤーを差し上げたい。
ただ、後日、東京の街なかで乗ってみたら、妙高で乗ったときほどの感動は得られなかった。ディフェンダーには田舎がよく似合う。
マツダ・コスモスポーツに乗る!
モーレツに暑い夏の一日。『カーグラフィック』誌のマツダ100周年取材に便乗し、開発部隊所有の「RX-7」(FD型)に乗せてもらうためにマツダの三次テストコースに行った。筆者は328GTB&テーマ8.32と同じ『CG NEO CLASSIC Vol.02』の取材で。RX-7を知るには「コスモスポーツ」にも乗っておいたほういい。という、現場のマツダのひとのご好意で、ごく短時間ながら周回路を走ることができた。低速トルクがまったくないことに驚いたけれど、あんなにスムーズなエンジンを1960年代に実現していたことにもっと驚いた。ロータリーってスゴイ!!
日産フェアレディZプロトタイプを見学に行く!
横浜の日産自動車本社の隣に設けられたニッサンパビリオンで実物を見たら、うわさ通り、現行Z34のビッグマイナーチェンジであることは明らかだった。いまどきピュアガソリンエンジンのスポーツカーをゼロからつくれるはずもない。それが現実なのだ。
さる12月8日、2030年には東京都内で販売される新車をすべてハイブリッド車や電気自動車にする方針を小池百合子知事が明らかにしたそうで、う~む、2030年といえば、あと10年しかないではないか。
けっこううまくいくもんだ
石川台からモーガン・プラス6に乗る!
「しかしね、ここだけの話だけどね」
「なんだい」
「いや、真面目な話ね」
「なんだい」
「大きな声じゃ言えないけどね、いいもんだぞ」
「なにが」
「若いのさ。けっこううまくいくもんだ」
「なにいいやんだい」
「いや、真面目な話、ほんとなんだ」
以上は、小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』で、主人公の平山(笠 智衆)がいつもの料亭若松で、いつもの3人、旧制中学時代の同級生、河合(中村伸郎)、堀江(北 竜二)とお酒を飲みながらしている会話です。主に話しているのは、最近、自分の娘と3歳しか違わない若い女性と再婚した堀江。「若いの」というのを「モーガン・プラス6」に変えると、次のようになる。
「しかしね、ここだけの話だけどね」
「なんだい」
「いや、真面目な話ね」
「なんだい」
「大きな声じゃ言えないけどね、いいもんだぞ」
「なにが」
「モーガン・プラス6さ。けっこううまくいくもんだ」
「なにいいやんだい」
「いや、真面目な話、ほんとなんだ」
およそ80年ぶりにスチール製のラダーフレームからアルミ製の「CX-ジェネレーションプラットフォーム」と名付けられた一体型シャシーに転換、モーガンは一挙に若返った。もうビックリ!
モーガン・プラス6と『秋刀魚の味』のことを書くのは、じつは2回目なのですけれど、マイブームということでお許しください。それというのも、モーガンの輸入元のエスシーアイの最寄り駅である東急池上線の石川台が、『秋刀魚の味』に出てくる平山の長男、幸一(佐田啓二)が奥さん(岡田茉莉子)と住んでいるアパートの最寄り駅と同じだということを最近知ったからなのです。
プラス6を借りるときに知っていたら、映画が制作された1962年当時のままだという石川台駅のプラットフォームを見てから行ったのになぁ……。知らなかったから、乗り換えが便利な大岡山駅からテクテク歩いてしまった。2021年は石川台から行きます。
フクロウは黄昏に飛び立つ
追記:担当編集のFさんから、「何度数えてもニュースが9個しか見当たらないのですが、あとひとつはどこにあるのでしょうか??」というメールがたったいま届いてしまいました。こりゃまた失礼しました。
今年の私的カー・オブ・ザ・イヤー国産車部門は「ホンダe」に、と思っていたのですけれど、もういっぱい書いたので、10コに達したと思ってしまいました。ホンダeについてはそのうちwebCGにてお読みいただけるかと思います。まだ書いてないけど。
2020年はあと、「アストンマーティンDBX」「フィアット500Xスポーツ」「BMW M2コンペティション」もインプレッシブでした。ミネルヴァのフクロウは黄昏に飛び立つそうですけれど、ガソリン自動車も同じみたいです。
(文=今尾直樹/写真=ルノー、ポルシェ、フェラーリ、ジャガー・ランドローバー・ジャパン、マツダ、日産自動車、モーガンカーズ、本田技研工業/編集=藤沢 勝)

今尾 直樹
1960年岐阜県生まれ。1983年秋、就職活動中にCG誌で、「新雑誌創刊につき編集部員募集」を知り、郵送では間に合わなかったため、締め切り日に水道橋にあった二玄社まで履歴書を持参する。筆記試験の会場は忘れたけれど、監督官のひとりが下野康史さんで、もうひとりの見知らぬひとが鈴木正文さんだった。合格通知が届いたのは11月23日勤労感謝の日。あれからはや幾年。少年老い易く学成り難し。つづく。
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