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第704回:約1000人のオーナーが集結 「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」の会場で感じた特別な世界観とは?

2022.07.09 エディターから一言 山崎 元裕
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2022年6月25日、26日の両日、三重・鈴鹿サーキットで「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」が開催された。フェラーリ・ジャパン主催の同イベントとしては、富士スピードウェイを舞台に行われた2018年以来、4年ぶりの開催となった。
2022年6月25日、26日の両日、三重・鈴鹿サーキットで「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」が開催された。フェラーリ・ジャパン主催の同イベントとしては、富士スピードウェイを舞台に行われた2018年以来、4年ぶりの開催となった。拡大

2022年に創業75周年を迎えたフェラーリ。この記念すべき年に、日本ではフェラーリ・ジャパンの主催による「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」が開催された。フェラーリ一色に染まった会場の模様を報告する。

「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」には、愛車を駆って全国から約1000人のフェラーリオーナーが集結。さまざまなプログラムを楽しんだ。
「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」には、愛車を駆って全国から約1000人のフェラーリオーナーが集結。さまざまなプログラムを楽しんだ。拡大
2022年6月24日の発表イベントに続き、会場では新型ミドシップオープンモデル「フェラーリ296GTS」の特別展示も行われた。プラグインハイブリッドのミドシップスポーツカー「296GTB」をベースとしたオープントップモデルで、14秒で作動する電動リトラクタブルハードトップが採用される。
2022年6月24日の発表イベントに続き、会場では新型ミドシップオープンモデル「フェラーリ296GTS」の特別展示も行われた。プラグインハイブリッドのミドシップスポーツカー「296GTB」をベースとしたオープントップモデルで、14秒で作動する電動リトラクタブルハードトップが採用される。拡大
「フェラーリ296GTS」の発表イベントで車両を紹介した、フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏。最高速が330km/h、0-100km/h加速が2.9秒、0-200km/h加速が7.6秒というパフォーマンスが発表されている。
「フェラーリ296GTS」の発表イベントで車両を紹介した、フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏。最高速が330km/h、0-100km/h加速が2.9秒、0-200km/h加速が7.6秒というパフォーマンスが発表されている。拡大
「296GTS」は、663PSのV型6気筒ツインターボエンジンに同167PSのエレクトリックモーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドパワートレインを搭載。システムトータルでの最高出力は830PS、最大トルクは740N・mを誇る。
「296GTS」は、663PSのV型6気筒ツインターボエンジンに同167PSのエレクトリックモーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドパワートレインを搭載。システムトータルでの最高出力は830PS、最大トルクは740N・mを誇る。拡大

日本初公開モデルも登場

フェラーリ・レーシング・デイズは以前にも行われていたが、コロナ渦での中断などを経て、今回は実に4年ぶりの開催となった。会場となった三重・鈴鹿サーキットには約1000人のフェラーリオーナーが全国から集結。フェラーリの歴史とオーナー層の厚みを感じさせる盛大なイベントとなった。

6月25日と26日の2日にわたって行われたレーシング・デイズ2022にはさまざまなプログラムが用意されていたが、そのなかでもまず注目されたのは、先日イタリア本国で初公開されたばかりの新型ミドシップオープンモデル「296GTS」の特別展示であった。

伝統的なGTSの名を与えられたことからも容易に想像できるとおり、これは先に誕生したベルリネッタ「296GTB」のオープン仕様となるもの。メカニズムは両車共通だが、歴史をさかのぼってみれば「ディーノ246GTS」をはじめとし、それに続くフェラーリのミドシップオープンモデルは常に高い人気を誇っていた。それだけに、その積極的なセールスプロモーションの一環として、このレーシング・デイズ2022の舞台が選ばれたのも当然のことといえるだろう。

参考までにプラグインハイブリッドを採用した296GTSは、システム最高出力830PS(最高出力663PSの3リッターV型6気筒ツインターボエンジンに、同167PSのエレクトリックモーターを組み合わせる)を誇る。最高速330km/hと0-100km/h加速2.9秒を可能とするパフォーマンスにも注目だ。

リトラクタブルハードトップは45km/h以下の車速であれば14秒でオープン/クローズの各操作が完了。それらのデータをもとに、296GTSの姿を食い入るように見るオーナーの姿は、とりわけ印象的だった。ただし世界的な人気のため、納期は2年程度を要する可能性もあるという。

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フェラーリクラシケに注目

レーシング・デイズのメインプログラムは、もちろんサーキットアクティビティーにほかならないが、実は鈴鹿に到着する前からこのイベントを楽しんでいたグループもあった。それは全国各地を起点に鈴鹿までのラリーを行った「Road to Suzuka」の参加者である。特に東京からは、75周年にあわせ75台の新旧フェラーリが参加。貴重なクラシックモデルも加わったそのラインナップは、まさにフェラーリの75年を感じさせるものといってもいいものだった。

大きなトラブルもなく無事6月25日の午後に鈴鹿サーキットにゴールした75台のラリー参加車両は、翌26日にはサーキットでのパレード走行や記念撮影を行うなど、こちらも十分に満足できるプログラムが用意されていたようだ。

フェラーリのクラシックモデルといえば、近年ではその専門部門であるフェラーリクラシケによる認定やメンテナンス、そしてレストアの作業なども、かなり有名な存在になった。特にクラシケの認定を受けたモデルは、フェラーリ自身が正しく新車当時のコンディションを保ったモデルであることを証明することから、クラシックカー市場ではひとつの大きな価値となっている。

フェラーリが定めるクラシケの定義とは、新車で生産されてから20年以上を経過したモデル。われわれにとって意外に身近なモデルも、実はクラシケの仲間入りを果たしているから、今後このカテゴリーはさらに盛り上がるはずだ。一度、その世界をのぞいてみるのも面白いだろう。

今回パドックには、「F40」や「250GT TdF」などのクラシックモデルが展示されたほか、フェラーリが新たにスタートさせた少量生産プログラム「ICONA(イーコナ)」のファーストモデルとなる「SP1」と「SP2」の両モデルの姿も見られた。

全国各地から「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」の会場となった三重・鈴鹿サーキットへと向かうラリープログラム「Road to Suzuka」も実施された。写真は東京のスタート地点となった芝公園会場の様子。
全国各地から「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」の会場となった三重・鈴鹿サーキットへと向かうラリープログラム「Road to Suzuka」も実施された。写真は東京のスタート地点となった芝公園会場の様子。拡大
ラリープログラム「Road to Suzuka」のゴール付近。東京からは貴重なクラシックモデルから最新型まで、75台のフェラーリが同プログラムに参加した。
ラリープログラム「Road to Suzuka」のゴール付近。東京からは貴重なクラシックモデルから最新型まで、75台のフェラーリが同プログラムに参加した。拡大
鈴鹿サーキットのパドックに設営されたテント内には、貴重なクラシックモデル「F40」(写真手前)や「250GT TdF」(写真奥)のほか、少量生産プログラム「ICONA(イーコナ)」による第1弾モデル「SP1」と「SP2」も展示された。
鈴鹿サーキットのパドックに設営されたテント内には、貴重なクラシックモデル「F40」(写真手前)や「250GT TdF」(写真奥)のほか、少量生産プログラム「ICONA(イーコナ)」による第1弾モデル「SP1」と「SP2」も展示された。拡大
こちらは「フェラーリショールーム」と題された最新モデルの展示ブース。実車のほか、オプションパーツの組み合わせにより世界に1台だけの愛車をクリエイトできる「テーラーメイドプログラム」の紹介も、来場者の目を引いていた。
こちらは「フェラーリショールーム」と題された最新モデルの展示ブース。実車のほか、オプションパーツの組み合わせにより世界に1台だけの愛車をクリエイトできる「テーラーメイドプログラム」の紹介も、来場者の目を引いていた。拡大

F1マシンのデモ走行に興奮

注目のサーキットアクティビティーでは、サーキット走行初心者のために先導車が適切なペース配分を行う「ファミリードライブ」のほかに、「エキサイトドライブ」、さらに上級者向けの「スポーツドライブ」などのプログラムが用意されていた。

世界的にもテクニカルなグランプリコースとして知られる鈴鹿サーキット。ここを自身のフェラーリで走行することができたのは、オーナーにとってはまさに夢のような時間であったに違いない。

そしてオーナーをはじめ、ギャラリーの目をくぎ付けにしたのが、F1マシンと「XXプログラム」の走行時間帯だ。

フェラーリにはカスタマーへと使用済みのF1マシンを販売し(2014年以降は販売されていない)、カスタマーがそれを走行させる時のメンテナンスなどを行う「F1クリエンティ」という部門がスクーデリアフェラーリとは別に存在するが、今回の鈴鹿ではこのF1クリエンティのサポートによって、3台のF1マシンが走行することになった。

1989年の「640」は、F1史上で初めてシフトパドルを搭載したモデルで、エンジンは3.5リッターのV型12気筒自然吸気。「F2003-GA」は2003年に逝去したフィアットグループの総裁、ジョバンニ・アニエッリの名を掲げたマシンで、3リッターのV型10気筒自然吸気エンジンを搭載する。そして2010年の「F10」は2.4リッターのV型8気筒自然吸気エンジンを搭載と、図らずも気筒数の異なるスクーデリアフェラーリのF1マシンが、再び鈴鹿サーキットでその官能的なエキゾーストノートを響かせるという幸運を目の当たりにした。

サーキットアクティビティーでは、先導車つきの「ファミリードライブ」に加え、「エキサイトドライブ」やさらに上級者向けの「スポーツドライブ」などが実施された。
サーキットアクティビティーでは、先導車つきの「ファミリードライブ」に加え、「エキサイトドライブ」やさらに上級者向けの「スポーツドライブ」などが実施された。拡大
鈴鹿サーキットのレーシングコースを使って行われた「75周年記念パレード」の走行シーン。全国から集まったフェラーリがコースを占有走行する様子は圧巻だった。
鈴鹿サーキットのレーシングコースを使って行われた「75周年記念パレード」の走行シーン。全国から集まったフェラーリがコースを占有走行する様子は圧巻だった。拡大
今回のイベントでは、3台のF1マシンがエキサイティングな走りを披露。走行を行ったF1マシンは顧客の所有車両で、マラネッロの「F1クリエンティ」部門によってサポートされる。
今回のイベントでは、3台のF1マシンがエキサイティングな走りを披露。走行を行ったF1マシンは顧客の所有車両で、マラネッロの「F1クリエンティ」部門によってサポートされる。拡大
多くのギャラリーがくぎ付けとなったF1マシンの走行シーン。1989年の「640」や2003年の「F2003-GA」、そして2010年の「F10」が快音を響かせた。
多くのギャラリーがくぎ付けとなったF1マシンの走行シーン。1989年の「640」や2003年の「F2003-GA」、そして2010年の「F10」が快音を響かせた。拡大

体験の提供もブランド価値の一部

XXプログラムは、2005年に当時の「エンツォ・フェラーリ」をベースとするサーキット走行専用車「FXX」で始まった、選ばれしカスタマーのための究極的なアクティビティーだ。これは、カスタマーのサーキット走行データをマラネッロの開発部門が将来の市販モデル開発に役立てるという画期的なプログラムで、オーナーは特別なモデルを所有すると同時に、フェラーリの開発ドライバーとしての任を担うことになる。

こちらもF1クリエンティと同様に、フェラーリが用意したオフィシャルプログラムはもちろんのこと、オーナー自身が走行したいというスケジュールを決めれば、「コルセクリエンティ」と呼ばれる部門が完璧な体制でそれをサポート。多くのスタッフがマラネッロから、指定のサーキットへと機材込みでやってくる。

つまりXXプログラムは、オーナーがヘルメットやスーツなどのレーシングギア一式を持ってサーキットを訪れさえすれば、気が済むまで専用車両でサーキットを走り、後のことはすべてコルセクリエンティ任せにできるという夢のようなアクティビティーなのだ。

XXプログラムの車両は、その後「599XX」を経て「FXX K」(それぞれにアップデートのためのEVOパッケージが用意された)へと進化したが、その究極的なホスピタリティーはいつの時代も変わらない。

さまざまなプログラムで2日間のスケジュールを楽しませてくれた、フェラーリ・レーシング・デイズ2022。実際に会場の空気を感じ、フェラーリがいかにしてオーナーやファンを楽しませるブランドなのか、その片りんをうかがうことができた。

自動車メーカーが魅力的なクルマをつくるのは当たり前だ。しかしフェラーリは、その先の楽しさやフェラーリだからこそ味わえる特別な体験も、75年を数える歴史あるブランドの一部として提供しているのだ。参加者はもちろんのことフェラーリのファンも、より盛大な次回の開催を早くも楽しみにしていることだろう。

(文=山崎元裕/写真=フェラーリ・ジャパン/編集=櫻井健一)

2014年に発表された「XXプログラム」の専用マシンである「FXX K」。フェラーリ初の市販ハイブリッドモデル「ラ・フェラーリ」をベースに開発された。車名の「K」は、F1マシンに用いられるエネルギー回生システム「KERS」に由来している。
2014年に発表された「XXプログラム」の専用マシンである「FXX K」。フェラーリ初の市販ハイブリッドモデル「ラ・フェラーリ」をベースに開発された。車名の「K」は、F1マシンに用いられるエネルギー回生システム「KERS」に由来している。拡大
「XXプログラム」は、2005年に「エンツォ・フェラーリ」をベースに開発されたサーキット走行専用車「FXX」でスタート。オーナードライバーの走行データはマラネッロの開発部門と共有され、オーナー自身がフェラーリのテストドライバーとしての役割も担うというユニークな試みが注目された。
「XXプログラム」は、2005年に「エンツォ・フェラーリ」をベースに開発されたサーキット走行専用車「FXX」でスタート。オーナードライバーの走行データはマラネッロの開発部門と共有され、オーナー自身がフェラーリのテストドライバーとしての役割も担うというユニークな試みが注目された。拡大
2011年に登場した「599XX」の進化版「599XX EVO」の走行シーン。「XXプログラム」の専用マシンで、可変リアウイングを含む「アクティブ・エアロダイナミック・パッケージ」と呼ばれる空力装備の採用が特徴だ。
2011年に登場した「599XX」の進化版「599XX EVO」の走行シーン。「XXプログラム」の専用マシンで、可変リアウイングを含む「アクティブ・エアロダイナミック・パッケージ」と呼ばれる空力装備の採用が特徴だ。拡大
鈴鹿サーキットの駐車スペースを埋め尽くしたフェラーリ。新旧さまざまなモデルが集まり、それを見ているだけでもファンにはたまらないイベントだった。
鈴鹿サーキットの駐車スペースを埋め尽くしたフェラーリ。新旧さまざまなモデルが集まり、それを見ているだけでもファンにはたまらないイベントだった。拡大
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