第704回:約1000人のオーナーが集結 「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」の会場で感じた特別な世界観とは?
2022.07.09 エディターから一言 拡大 |
2022年に創業75周年を迎えたフェラーリ。この記念すべき年に、日本ではフェラーリ・ジャパンの主催による「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」が開催された。フェラーリ一色に染まった会場の模様を報告する。
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日本初公開モデルも登場
フェラーリ・レーシング・デイズは以前にも行われていたが、コロナ渦での中断などを経て、今回は実に4年ぶりの開催となった。会場となった三重・鈴鹿サーキットには約1000人のフェラーリオーナーが全国から集結。フェラーリの歴史とオーナー層の厚みを感じさせる盛大なイベントとなった。
6月25日と26日の2日にわたって行われたレーシング・デイズ2022にはさまざまなプログラムが用意されていたが、そのなかでもまず注目されたのは、先日イタリア本国で初公開されたばかりの新型ミドシップオープンモデル「296GTS」の特別展示であった。
伝統的なGTSの名を与えられたことからも容易に想像できるとおり、これは先に誕生したベルリネッタ「296GTB」のオープン仕様となるもの。メカニズムは両車共通だが、歴史をさかのぼってみれば「ディーノ246GTS」をはじめとし、それに続くフェラーリのミドシップオープンモデルは常に高い人気を誇っていた。それだけに、その積極的なセールスプロモーションの一環として、このレーシング・デイズ2022の舞台が選ばれたのも当然のことといえるだろう。
参考までにプラグインハイブリッドを採用した296GTSは、システム最高出力830PS(最高出力663PSの3リッターV型6気筒ツインターボエンジンに、同167PSのエレクトリックモーターを組み合わせる)を誇る。最高速330km/hと0-100km/h加速2.9秒を可能とするパフォーマンスにも注目だ。
リトラクタブルハードトップは45km/h以下の車速であれば14秒でオープン/クローズの各操作が完了。それらのデータをもとに、296GTSの姿を食い入るように見るオーナーの姿は、とりわけ印象的だった。ただし世界的な人気のため、納期は2年程度を要する可能性もあるという。
フェラーリクラシケに注目
レーシング・デイズのメインプログラムは、もちろんサーキットアクティビティーにほかならないが、実は鈴鹿に到着する前からこのイベントを楽しんでいたグループもあった。それは全国各地を起点に鈴鹿までのラリーを行った「Road to Suzuka」の参加者である。特に東京からは、75周年にあわせ75台の新旧フェラーリが参加。貴重なクラシックモデルも加わったそのラインナップは、まさにフェラーリの75年を感じさせるものといってもいいものだった。
大きなトラブルもなく無事6月25日の午後に鈴鹿サーキットにゴールした75台のラリー参加車両は、翌26日にはサーキットでのパレード走行や記念撮影を行うなど、こちらも十分に満足できるプログラムが用意されていたようだ。
フェラーリのクラシックモデルといえば、近年ではその専門部門であるフェラーリクラシケによる認定やメンテナンス、そしてレストアの作業なども、かなり有名な存在になった。特にクラシケの認定を受けたモデルは、フェラーリ自身が正しく新車当時のコンディションを保ったモデルであることを証明することから、クラシックカー市場ではひとつの大きな価値となっている。
フェラーリが定めるクラシケの定義とは、新車で生産されてから20年以上を経過したモデル。われわれにとって意外に身近なモデルも、実はクラシケの仲間入りを果たしているから、今後このカテゴリーはさらに盛り上がるはずだ。一度、その世界をのぞいてみるのも面白いだろう。
今回パドックには、「F40」や「250GT TdF」などのクラシックモデルが展示されたほか、フェラーリが新たにスタートさせた少量生産プログラム「ICONA(イーコナ)」のファーストモデルとなる「SP1」と「SP2」の両モデルの姿も見られた。
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F1マシンのデモ走行に興奮
注目のサーキットアクティビティーでは、サーキット走行初心者のために先導車が適切なペース配分を行う「ファミリードライブ」のほかに、「エキサイトドライブ」、さらに上級者向けの「スポーツドライブ」などのプログラムが用意されていた。
世界的にもテクニカルなグランプリコースとして知られる鈴鹿サーキット。ここを自身のフェラーリで走行することができたのは、オーナーにとってはまさに夢のような時間であったに違いない。
そしてオーナーをはじめ、ギャラリーの目をくぎ付けにしたのが、F1マシンと「XXプログラム」の走行時間帯だ。
フェラーリにはカスタマーへと使用済みのF1マシンを販売し(2014年以降は販売されていない)、カスタマーがそれを走行させる時のメンテナンスなどを行う「F1クリエンティ」という部門がスクーデリアフェラーリとは別に存在するが、今回の鈴鹿ではこのF1クリエンティのサポートによって、3台のF1マシンが走行することになった。
1989年の「640」は、F1史上で初めてシフトパドルを搭載したモデルで、エンジンは3.5リッターのV型12気筒自然吸気。「F2003-GA」は2003年に逝去したフィアットグループの総裁、ジョバンニ・アニエッリの名を掲げたマシンで、3リッターのV型10気筒自然吸気エンジンを搭載する。そして2010年の「F10」は2.4リッターのV型8気筒自然吸気エンジンを搭載と、図らずも気筒数の異なるスクーデリアフェラーリのF1マシンが、再び鈴鹿サーキットでその官能的なエキゾーストノートを響かせるという幸運を目の当たりにした。
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体験の提供もブランド価値の一部
XXプログラムは、2005年に当時の「エンツォ・フェラーリ」をベースとするサーキット走行専用車「FXX」で始まった、選ばれしカスタマーのための究極的なアクティビティーだ。これは、カスタマーのサーキット走行データをマラネッロの開発部門が将来の市販モデル開発に役立てるという画期的なプログラムで、オーナーは特別なモデルを所有すると同時に、フェラーリの開発ドライバーとしての任を担うことになる。
こちらもF1クリエンティと同様に、フェラーリが用意したオフィシャルプログラムはもちろんのこと、オーナー自身が走行したいというスケジュールを決めれば、「コルセクリエンティ」と呼ばれる部門が完璧な体制でそれをサポート。多くのスタッフがマラネッロから、指定のサーキットへと機材込みでやってくる。
つまりXXプログラムは、オーナーがヘルメットやスーツなどのレーシングギア一式を持ってサーキットを訪れさえすれば、気が済むまで専用車両でサーキットを走り、後のことはすべてコルセクリエンティ任せにできるという夢のようなアクティビティーなのだ。
XXプログラムの車両は、その後「599XX」を経て「FXX K」(それぞれにアップデートのためのEVOパッケージが用意された)へと進化したが、その究極的なホスピタリティーはいつの時代も変わらない。
さまざまなプログラムで2日間のスケジュールを楽しませてくれた、フェラーリ・レーシング・デイズ2022。実際に会場の空気を感じ、フェラーリがいかにしてオーナーやファンを楽しませるブランドなのか、その片りんをうかがうことができた。
自動車メーカーが魅力的なクルマをつくるのは当たり前だ。しかしフェラーリは、その先の楽しさやフェラーリだからこそ味わえる特別な体験も、75年を数える歴史あるブランドの一部として提供しているのだ。参加者はもちろんのことフェラーリのファンも、より盛大な次回の開催を早くも楽しみにしていることだろう。
(文=山崎元裕/写真=フェラーリ・ジャパン/編集=櫻井健一)
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山崎 元裕
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