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ランクルファミリーだけじゃない! いま中古車で狙いたい日本のクロスカントリー

2023.08.28 デイリーコラム 工藤 貴宏
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そもそも“クロカン”って何?

『webCG』を含め、自動車メディアでいま最も盛り上がっている(=アクセス数を稼いでいる)クルマ。それは「ランクル」こと「トヨタ・ランドクルーザー」だ。2022年にいわゆる“300”系がデビューしたとき大きなお祭りとなったが、先ごろ「ランドクルーザープラド」改め「ランドクルーザー“250”」と、ビッグマイナーチェンジで最新フェーズへとアップデートされた「ランドクルーザー“70”(ナナマル)」がお披露目されてからというもの、ランクルというキーワードのキラーっぷりにはあらためて驚くばかりだ。「ランクルについて書いておけばヒットする」くらいの勢いで2匹目、3匹目のドジョウを狙う記事が散見されるが、何を隠そうこの記事もそうでないとは言い切れない……ことを先に告白しておこう。

というわけで今回のお題は、「ランクルファミリーだけじゃない! いま中古車で狙いたい本格クロカン」というもの。思いきりランクルを意識しているじゃないか……というのは取りあえず置いといて、たしかに「ランクルは欲しいけど高い!」と感じている人も少なくないに違いない。新車だけでなく、中古車もびっくりするほどの値段だ。だから中古車選びで「ランクル以外の車種も考えてみよう」という気持ちになるのは当然だ。

でも待てよ。そもそも「本格クロカン」ってなんなのよ? クロカンとは「クロスカントリーカー」つまり道なき道もガシガシ入っていけるようなクルマのこと。その“本格”ってナンだ? と突っ込みたくはなるが、昨今のSUVのトレンドである「FF乗用車系のメカニズムを使ったお手軽なSUV」と違うことは、なんとなく理解できる。

ではそれらをどこで区別するかといえば、車体構造とするのが一般的だろう。トラディショナルなラダーフレームを採用するのが「本格クロカン」で、モノコックボディーとするのが「本格クロカンではないSUV」だ。また、本格クロカンには強靱(きょうじん)な4WDシステムも必須といえるだろう。

2023年8月2日に世界初公開された「トヨタ・ランドクルーザー“250”」。近年のSUVブームと相まって、発表会は大いに盛り上がった。
2023年8月2日に世界初公開された「トヨタ・ランドクルーザー“250”」。近年のSUVブームと相まって、発表会は大いに盛り上がった。拡大
「ランドクルーザー“250”」の発表会では、サプライズ的に8年ぶりとなる「ランドクルーザー“70”」(写真)の再導入もアナウンスされた。パワートレインを刷新し運転支援システムを追加するなどして、2023年冬に発売される見込みだ。
「ランドクルーザー“250”」の発表会では、サプライズ的に8年ぶりとなる「ランドクルーザー“70”」(写真)の再導入もアナウンスされた。パワートレインを刷新し運転支援システムを追加するなどして、2023年冬に発売される見込みだ。拡大
鋼材をはしご型に組み上げた屈強なフレームは、タフな本格クロカンの証しともいえる(写真は「ランドクルーザー“250”」のもの)。
鋼材をはしご型に組み上げた屈強なフレームは、タフな本格クロカンの証しともいえる(写真は「ランドクルーザー“250”」のもの)。拡大

かつての人気車は今でもそれなり

そんな本格クロカン界において、大ヒットした大御所といえばなんといっても「トヨタ・ハイラックスサーフ(通称:サーフ)」に「日産テラノ」だ。

サーフの初代登場は1983年。そこから3度のフルモデルチェンジを経て、4代目は2009年まで国内で販売されていた。『価格.com』によると(以下同)、中古車価格帯(全年式対象)は約350万円をピークに下は35万円ほど。200万円台も多く平均価格は181万円ほどと、正直なところ「年式の割にちょっと高いな」と思うが絶版車だから仕方ない。中古車台数は500台以上と、けっこうある。

いっぽうライバルのテラノは1986年から2002年まで国内販売されていた。中古車台数はサーフに比べるとグッと少なく、わずか29台。価格帯は下が40万円、上は280万円くらいでサーフほどではないとはいえ、やっぱりそれなり。平均価格は156万円ほどだ。

ちなみに、サーフとテラノに共通するのはその成り立ち。どちらもルーツをたどれば、ピックアップトラック(サーフは車名のとおり「ハイラックス」でテラノは「ダットサントラック」)なのだ。そして海外では今なお、ハイラックスをベースとした本格クロカンの「フォーチュナー」やダットラの後継モデルである「ナバラ」をベースにした本格クロカンの「テラ」が販売されている。

そしてどうでもいいけれど、最終世代のテラノのCM曲は電気グルーヴの「シャングリラ」だったっけ。そんなテラノも、2代目がまさかの正式発表前にホイチョイプロダクションの映画に登場したサーフも、販売ターゲットはアクティブな若者向けだったのだ。

本格クロカンといえば、トヨタの「ハイラックスサーフ」は外せない。相場はやや高めではあるものの、今でも中古車の在庫は豊富だ。写真は2005年7月にマイナーチェンジした際のもの。
本格クロカンといえば、トヨタの「ハイラックスサーフ」は外せない。相場はやや高めではあるものの、今でも中古車の在庫は豊富だ。写真は2005年7月にマイナーチェンジした際のもの。拡大
一世を風靡(ふうび)した日産の本格クロカン「テラノ」。日産いわく「RV感覚をさりげなく表現する洗練されたエクステリアデザイン」は、いま見ても個性的でかっこいい。
一世を風靡(ふうび)した日産の本格クロカン「テラノ」。日産いわく「RV感覚をさりげなく表現する洗練されたエクステリアデザイン」は、いま見ても個性的でかっこいい。拡大
1986年に2ドアモデル(写真)としてデビューし、1989年に4ドアモデルが追加された。あえて2ドアという通なチョイスもアリかもしれない。
1986年に2ドアモデル(写真)としてデビューし、1989年に4ドアモデルが追加された。あえて2ドアという通なチョイスもアリかもしれない。拡大

通好みのモデルも狙いたい

そして、「ランクルじゃない本格クロカン」といえば忘れちゃいけないのが「三菱パジェロ」。こちらはサーフやテラノに比べるとずっと最近どころか“つい先日”ともいえる2019年まで国内販売していた。だから最終世代となる2006年以降に絞っても186台の中古車が流通している。高いものは500万円を超える(5年落ちなら350万円程度から狙える)が、メンテナンスの手間やコストを考えるとそれなりに新しいモデルが選べるのはうれしい限り。2010年以前のモデルであれば、100万円以内のものもけっこうあるので相場が上がる前に買っておくなら今しかない! パジェロの存在感は今も絶大だ(ところで「パジェロスポーツ」はいつ国内販売を始めるのだろう?)

存在感といえば、ランクルと並ぶ日産の大型モデル「サファリ」を忘れるわけにはいかない。国内販売は2007年で終了しているが、日本車らしからぬ全長5m超えの大型ボディーと頑丈な駆動系で、今なおコアなファンから熱烈な支持を受けている。

ただし……中古車流通台数は38台。かなりレアなモデルであるうえに、高いものは450万円を超える。

ところで多くのクルマ好きはお忘れかもしれないが、実はいすゞが日本でも乗用車を販売していた時期があった。そして最後はSUVが中心となっていたのだ。

街でもけっこう走っていた「ビッグホーン」は、2002年まで国内で販売。ネット上の中古車流通は60台ほどあるから、憧れの「イルムシャー」や「ハンドリングバイロータス」に出会えるかも。下は70万円程度、高いもので200万円をやや超える程度だ。「ミュー」や「ビークロス」もわずかながら流通している。ただ、さすがにビークロス(サスペンションが硬く乗り心地は厳しかった!)は150万から240万円ほどと少し高め。ちなみにビッグホーンは富士重工業(現スバル)でもOEM販売していたが、さすがにその中古車は見つけられず……。

車体は小さいけれど、ラダーフレーム構造の本格クロカンといえば、2代目までの「スズキ・エスクード」も該当する。国内販売は2005年まで。ランクルプラドやパジェロ同様に3ドアのショートボディーと5ドアのロングボディーが選べ、V6エンジン搭載モデルだってあった。ただし、ネット上では3台ほどしか確認できず。価格は70万~130万円ほどだ。

スズキといえば、現役モデルとして「ジムニー」や「ジムニーシエラ」だって忘れてはいけない。こちらは中古も選びたい放題なので、好みに合わせてどうぞ(現行モデルは驚くほど高いけれど)。

本格クロカンのビッグネーム「三菱パジェロ」は40年近く販売されたモデルとあって、中古車の数は比較的多い。写真は2019年発売の「ファイナルエディション」。
本格クロカンのビッグネーム「三菱パジェロ」は40年近く販売されたモデルとあって、中古車の数は比較的多い。写真は2019年発売の「ファイナルエディション」。拡大
国内でのセールスが振るわなかった3代目「日産サファリ」も、SUVブームで日の目を見ることに!? 全長5m超の大柄なボディーは、存在感たっぷりだ。
国内でのセールスが振るわなかった3代目「日産サファリ」も、SUVブームで日の目を見ることに!? 全長5m超の大柄なボディーは、存在感たっぷりだ。拡大
「イルムシャー」や「ハンドリングバイロータス」といったワードに胸が熱くなる読者もいるであろう「いすゞ・ビッグホーン」。中古車市場には流通しており、わが物とすることができる。
「イルムシャー」や「ハンドリングバイロータス」といったワードに胸が熱くなる読者もいるであろう「いすゞ・ビッグホーン」。中古車市場には流通しており、わが物とすることができる。拡大
「スズキ・エスクード」は2代目までラダーフレームを採用(3代目は「ビルトインラダーフレーム構造」と呼ばれるラダーフレーム一体型モノコックとなった)。マニアックな2代目の中古車は在庫が少なくなっているようだが、webCGの関連記事(写真)で下調べしつつ、理想的な物件を探してはいかがだろう。
「スズキ・エスクード」は2代目までラダーフレームを採用(3代目は「ビルトインラダーフレーム構造」と呼ばれるラダーフレーム一体型モノコックとなった)。マニアックな2代目の中古車は在庫が少なくなっているようだが、webCGの関連記事(写真)で下調べしつつ、理想的な物件を探してはいかがだろう。拡大

相場は上がりつつあるが……

さて、最後にホンダ車も紹介しておこう。「ホンダに本格クロカンなんてあったのか?」とお感じの読者諸兄もいると思うが、それがあったのだ。

車名は「クロスロード」……といっても、口の悪い人から陰で「ハマーH4」といわれた、どう考えても時代を先取りしすぎたコンパクトな3列シートSUVのことではない(いまあのコンセプトとデザインで出せば売れるだろうに……)。

そのクロスロードから時をさかのぼること約15年。初代クロスロードはラダーフレーム構造の本格クロカンであり、エンジンはなんと排気量3.9リッターのV8。第1次クロカンブームを背景に、ホンダにもそんな時代があったのだ。1993年にデビューし、1998年まで販売された。

写真を見て気づいた人もいるかもしれないが、なんと「ランドローバー・ディスカバリー」のOEMモデルである。キャメルトロフィーでも大冒険した車両(のOEM)が、近所のホンダでも買えたのだ。ただ……残念ながらネット上に中古車は見つけられず。ホンダといえば同時期には「ジャズ」や「ホライゾン」もあったが、そちらも中古車流通はないに等しい状態だ。

というわけで、日本において新車で買える国産車はランクルファミリーとジムニーファミリーだけになってしまった本格クロカンだが、中古車として考えるといろいろあるし、車種によってはそれなりの流通台数もある。

ただし、こうして調べてみて感じるのは「けっこう強気の相場のモデルが多いな」ということ。絶版中古車の相場が上がっているのは、スポーツカーだけではないようだ。ただ、スポーツカーに比べると相場上昇レベルは穏やかだから、まだ「買いやすい」といえるのかもしれない。

最後に、これは言うまでもないことだけど、こういうクルマたちは「欲しいと思ったとき」が買い時ですよ。

(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、本田技研工業、webCG/編集=関 顕也)

伝説の一台、初代「ホンダ・クロスロード」は、なんと「ランドローバー・ディスカバリー」のOEMモデル。つまり、オフロード性能が信頼できる本格クロカンだ。もっとも、「ならばディスカバリーの中古車を求めれば?」という話にもなるが……。
伝説の一台、初代「ホンダ・クロスロード」は、なんと「ランドローバー・ディスカバリー」のOEMモデル。つまり、オフロード性能が信頼できる本格クロカンだ。もっとも、「ならばディスカバリーの中古車を求めれば?」という話にもなるが……。拡大
文中で「ハマーH4」のあだ名で紹介したのはこちら、2代目「ホンダ・クロスロード」。本格クロカンとは呼べないが、今この「角張った3列シートのコンパクトSUV」を復活させたなら、大いに売れそうな気もする。
文中で「ハマーH4」のあだ名で紹介したのはこちら、2代目「ホンダ・クロスロード」。本格クロカンとは呼べないが、今この「角張った3列シートのコンパクトSUV」を復活させたなら、大いに売れそうな気もする。拡大
「話題の新型『ランクル』以外にも……」ということでさまざまな中古クロカンを紹介した今回のコラムだが、ちょっと古めのランクルにも色あせない魅力がある(写真はトヨタの特設サイト)。
「話題の新型『ランクル』以外にも……」ということでさまざまな中古クロカンを紹介した今回のコラムだが、ちょっと古めのランクルにも色あせない魅力がある(写真はトヨタの特設サイト)。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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