「日産セレナ」がフルモデルチェンジ
2010.11.08 自動車ニュース「日産セレナ」がフルモデルチェンジ、4代目へ
日産自動車は2010年11月8日、5ナンバーサイズミニバン「セレナ」の新型を発表した。11月29日に発売する。
■エコモデルチェンジ
モデルチェンジのたびに販売台数を伸ばし、直近3年間連続でミニバン販売台数No.1の座を獲得したベストセラーミニバン「セレナ」が、およそ5年ぶりにフルモデルチェンジ。4代目となる新型が発表された。
新型では、セレナのDNAとうたう「室内空間の広さ」と「使い勝手の良さ」を進化させたうえ、燃費などのエコ性能もアップさせたという。日産が推し進める「PURE DRIVE」シリーズの第4弾車種として扱われ、今回の刷新も「エコモデルチェンジ」と大々的にアピールされた。
新開発の2リッター直4ガソリン直噴エンジンを全グレードに搭載、エクストロニックCVTが組み合わせられる。アイドリングストップシステムも用意され、10・15モード燃費は15.4km/リッター(FF、アイドリングストップシステム搭載車)を記録する。
ブームと言えるほど増えたミニバンの台数は、ピークを過ぎ減少してはいるものの、「セレナ」が属するMクラス(5ナンバーサイズ)ミニバンの販売は安定した推移を続けているという。新型セレナは月の販売目標を5400台として、「トヨタ・ノア/ヴォクシー」「ホンダ・ステップワゴン」などのライバルとシェアを争うことになる。
価格は216万3000円から285万6000円まで。
■開放感をアピール
ボディサイズは全長×全幅×全高=4685×1695×1840mm(FF、標準車)と、従来型より5mm短く15mm高くなった。ホイールベースは2860mmと変わらない。
エクステリアデザインはシンプルなラインで構成されたもので、「家族を包み込むカプセル」をコンセプトとしたという。運転席/助手席のウィンドウには、従来型より引き継がれる階段状の「シュプールライン」が描かれ、テールランプにも従来型の面影が見て取れる。面積の広いサイドウィンドウは、クラス最大のガラス面積をうたう。
「クルーザーのアッパーキャビン」をイメージしたという運転席は、前後に長いフロントウィンドウと大きな三角窓によって、開放感が追求された。ステアリングホイールの間からではなく、リム上からのぞき込むスタイルのメーターパネルも特徴的。2列目は3人掛けとなるが、中央席は折り畳むことでテーブルなどに変化し、さらに1列目まで前にスライドすることも可能。ウォークスルー可能な状態を簡単に作ることができる。
3列目シートは従来型同様、左右跳ね上げ式を採用する。しかしながら、跳ね上げ位置を下げた「スマートアップサードシート」とすることで、後方視界をさえぎることなく、荷室を拡大することができるようになった。
なお、パワースライドドアはドアノブを引かずに、プッシュボタンによって開けることもできるよう改良された。
■アイドリングストップにも新機構
エンジンは、排気量は従来と変わらず2リッターNAだが、直噴化され、同時に吸排気側両方にバルブタイミング機構を採り入れた(従来は吸気側のみ)新開発ユニットの「MR20DD」が搭載される。燃焼効率を高め、さらに各部の低フリクション化を進めることで、最高出力147ps(4WDは144ps)、最大トルク21.4kgm(同21.1kgm)と、従来型より18psと2.3kgm上乗せされた。
組み合わされるのは、日産お得意のエクストロニックCVT。ギアレンジを広くとることで、低回転域では力強い加速を、高回転域では燃費に貢献する走行を実現することができるという。駆動方式はFFのほか、全グレードで4WDもラインナップする。
なお、ベーシックグレードを除く全車に、アイドリングストップ機構が装備される。スターターモーターを使わず、ベルトで直接クランクを回すため、再始動時「キュルキュル」と音が鳴らず、静かなことも特徴。再始動も0.3秒(日産社内計測値)とスピーディさがうたわれる。
「エコドライブナビゲーター」をはじめ、瞬間燃費計やアイドリングストップタイマー(アイドリングストップ装着車のみ)も備わり、ドライバーのエコ運転をサポートする。
■静粛性を向上
新型セレナは、「デュアリス」や「エクストレイル」と同じく「Cプラットフォーム」が用いられる。サスペンション形式は、前:独立懸架ストラット式/後:トーショーンビーム式(4WDはトレーリングアーム式マルチリンク)を採用する。
従来型に比べ、ボディの剛性をアップしたことにより、不快な振動を抑制。静粛性も従来型より高められ、快適な居住空間を作り出すという。さらに上級グレード「ハイウェイスター」では、ハイスピードダンピングコントロールショックアブソーバーを採用し、低速でフワフワせず、高速でゴツゴツしない乗り心地を実現したという。
横滑り防止機構のVDCは、ベーシックグレードを除く全車に標準装備される。
オプションでは、駐車時に便利な「アラウンドビューモニター」やiPod接続が可能なカーウイングスナビゲーションシステム、後席乗員用の11インチ大型ワイドモニターなどが用意される。
ラインナップと価格は以下のとおり。
20S:216万3000円(FF)/243万6000円(4WD)
20X:233万1000円(FF)/260万4000円(4WD)
20G:258万3000円(FF)/285万6000円(4WD)
ハイウェイスター:249万9000円(FF)/276万1500円(4WD)
■「ライダー」もフルモデルチェンジ
日産自動車の関連会社であるオーテックジャパンからは、カスタマイズモデルの「セレナ ライダー」が発売される。
エクステリアに、専用デザインのバンパーとグリル、サイドシルプロテクターなどを付与。インテリアもブラック基調とされ、専用シート地や本革巻きステアリングホイールなどが装備される。ベース車は「20X」となるが、ハイウェイスター用のサスペンションがおごられるのもセリングポイント。
価格は、FFが269万8500円、4WDが296万1000円。
(webCG 本諏訪)