BMW 120d Mスポーツ(FF/7AT)
マイルドでそつなく 2025.08.29 試乗記 「BMW 1シリーズ」のラインナップに追加設定された48Vマイルドハイブリッドシステム搭載の「120d Mスポーツ」に試乗。電動化技術をプラスしたディーゼルエンジンと最新のBMWデザインによって、1シリーズはいかなる進化を遂げたのか。すっきりしたフロントマスクでイメージアップ
もうモデルチェンジ? BMWのプレミアムコンパクトハッチバックの1シリーズが、先代にあたる3代目の登場からわずか5年で最新型に生まれ変わったのにはちょっと驚いた。
新型は、エンジンを横置きするFFベースのモデルであり、2670mmのホイールベースも共通であることから、先代から基本部分を踏襲しながら、デザインやパワートレインを大きく進化させたモデルともいわれている。
そういわれれば、5年というやや短めのモデルサイクルには納得がいくが、そのぶんこの4代目も案外早めにフルモデルチェンジを迎えるのではないか……という心配はさておき、個人的にはフロントマスクのデザインがすっきりとしたのが一番の魅力ではないかと思っている。
最近のBMWといえばキドニーグリルの縦長化がトレンドだったが、新型1シリーズでは以前に比べて横長になったキドニーグリルを低めに配置。これが、すっきりにつながっているのだろう。今後登場する「ノイエクラッセ」がグリルとヘッドランプを一体化し、横方向の広がりを強調していることから、この新型1シリーズでは、ノイエクラッセを見据えた移行期のデザインに加えて、グリル内の斜めデザインや、リアピラーに備わるパネルにモデル名の「1」を刻むといった新たなディテールなどによって、新しい時代を先取りしたかったのだろう。
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最新のコックピットデザインを採用
2004年に登場した1シリーズは、初代および2代目が、コンパクトクラスのハッチバックとしては非常に珍しい後輪駆動を採用していたが、広い後席や荷室を確保するため、そして、MINIとのプラットフォームの共通化を図る狙いもあり、3代目からは横置きエンジンレイアウトの前輪駆動に宗旨替えしたのは、ご存じのとおりだ。
その最新型である4代目は、前述のとおり、フロントマスクなどを一新したことに加えて、インテリアにBMWカーブドディスプレイを採用したり、量販モデルに48Vマイルドハイブリッドシステムを採用したりするなどして、その商品性を高めている。
今回試乗したのは、2リッター直4ディーゼルターボを搭載する「120d」のうち、スポーティーな装いが人気の「Mスポーツ」である。標準グレードに対してMスポーツは全高が15mm低められ、足元も1インチアップの225/45R18サイズのタイヤと18インチホイールにより精悍(せいかん)な印象が強まっている。
ドアを開けると、最新の「X1」や「X2」などで見慣れたコックピットがドライバーを迎え入れてくれる。メーターパネルとセンターディスプレイが一体となったBMWカーブドディスプレイや、iDriveコントローラーが姿を消し、フラットになったセンターコンソールなどが最新のBMWであることを印象づけている。やや煩雑に思えたダッシュボードのスイッチ類は、いざなくなるとさびしい。エアコンの温度設定はセンターディスプレイにタッチして行うが、操作しやすい位置にあり、ストレスなく使えるのがうれしいところだ。
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洗練のディーゼルターボ
120dに搭載される直4ディーゼルターボは、2リッターの排気量から最高出力150PS、最大トルク360N・mを絞り出す。先代の「118d」の2リッターエンジンに比べて、最大トルクが10N・m向上したのに加えて、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされたことで、システム最高出力は163PS、同最大トルクは400N・mにアップしている。ガソリンエンジン仕様と同様、トランスミッションがトルコン式の8段オートマチックからデュアルクラッチ式の7段に変更されたのも、新しいところである。
まずはアクセルペダルを軽く踏んで発進すると、120dのエンジンは1500rpm以下の低い回転域から余裕あるトルクをみせ、動き出しも軽快。アクセルペダルのわずかの操作にも素早く反応してくれるから、細かく加減速を繰り返す街なかでもストレスなくクルマを走らせることができる。48Vマイルドハイブリッドシステムに備わるモーターがエンジンをアシストするのも効果的で、ドライバーの期待を裏切らない。
7段DCTの動きはとくに気になるところはなく、オートマチック同様、スムーズでドライバーの負担が少ない運転が楽しめる。
うれしいのはこの2リッターディーゼルターボが、いい意味でディーゼルっぽくないところ。ディーゼルエンジン特有のノイズや振動はうまく抑え込まれ、アクセルペダルを大きく踏み込めば、2500rpmあたりからさらに勢いを増し、4000rpm超まで力強い加速が続く。一方、100km/h巡航時のエンジン回転数は7速で1500rpmほど。その存在を主張しない働きによって、高速巡航は至極快適である。
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人気のMスポーツだが……
エンジンの感触がとても良かったぶん、目立ってしまったのが、120d Mスポーツの硬めの乗り心地。Mスポーツの場合、「アダプティブMサスペンション」と呼ばれる、非電子制御の可変ダンピングサスペンションが搭載されるのだが、18インチにインチアップされたタイヤ&ホイールのせいもあって、路面が荒れると乗り心地が途端に悪化。目地段差を通過する際のショックも伝えがちで、高速道路でも路面によっては常に揺さぶられている感覚が続くなど、快適さには不満が残る味つけだった。
人気のMスポーツだが、購入を検討している人は、ぜひ事前にその走りを確認しておくことをお勧めする。
一方、BMWらしい俊敏なハンドリングに加えて、直進安定性の高さはこのクルマの見どころのひとつだろう。また、高速走行中に渋滞に巻き込まれたときに、条件が整えばドライバーがステアリングから手を離して走行できる「ハンズオフ機構」も搭載される。実際に走らせてみると不安なく使えるのが実に頼もしい。
パッケージングについては、後席はヘッドルーム、ニールームともに、大人が座っても余裕あるスペースが確保されている。荷室もこのクラスとしては可もなく不可もなくというところ。Mスポーツの乗り心地には少々不満が残るものの、それを除けば完成度は高く、これからもBMWのエントリーモデルとして重責をそつなく担ってくれるに違いない。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一/車両協力=BMWジャパン)
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テスト車のデータ
BMW 120d Mスポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1450mm
ホイールベース:2670mm
車重:1540kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:150PS(110kW)/4000rpm
エンジン最大トルク:360N・m(36.7kgf・m)/1500-2500rpm
モーター最高出力:20PS(15kW)/5500rpm
モーター最大トルク:55N・m(5.6kgf・m)/0-2000rpm
システム最高出力:163PS(120kW)
システム最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)
タイヤ:(前)225/45R18 95Y XL/(後)225/45R18 95Y XL(グッドイヤー・イーグルF1アシメトリック6)
燃費:21.2km/リッター(WLTCモード)
価格:528万円/テスト車:602万5000円
オプション装備:ボディーカラー<ファイヤーレッド>(0円)/パーフォレーテッドヴェガンザレザー<オイスター>(0円)/テクノロジーパッケージ(31万3000円)/ハイラインパッケージ(20万6000円)/Mスポーツパッケージ(0円)/ブラックルーフ(5万3000円)/電動パノラマガラスサンルーフ(17万3000円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:1336km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(6)/山岳路(1)
テスト距離:216.2km
使用燃料:15.3リッター(軽油)
参考燃費:14.1km/リッター(満タン法)/17.8km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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