カヤバがスマホで操作する電子制御サスペンション「アクトライド」を発売

2026.01.30 自動車ニュース webCG 編集部
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カヤバの電子制御サスペンションシステム「ActRide(アクトライド)」。
カヤバの電子制御サスペンションシステム「ActRide(アクトライド)」。拡大

サスペンションなどの自動車用部品を手がけるカヤバ(KYB)は2026年1月30日、アフターマーケット向けの新製品として、スマートフォンによる減衰力調整が可能なサスペンションシステム「ActRide(アクトライド)」を発表した。

「アクトライド」はスマートフォンのアプリをユーザーインターフェイスとしている点が特徴だ。
「アクトライド」はスマートフォンのアプリをユーザーインターフェイスとしている点が特徴だ。拡大
ソレノイドバルブ式セミアクティブダンパーのカット模型。
ソレノイドバルブ式セミアクティブダンパーのカット模型。拡大
ソレノイドバルブ(写真)を用いた可変ダンパーは、制御の緻密さや応答性の高さに加え、モーターの駆動音がないことによる静粛性の高さも特徴とされる。また安全面では、電源失墜時に機械的にミディアム減衰に固定される特性があり、これがフェイルセーフとして機能する。
ソレノイドバルブ(写真)を用いた可変ダンパーは、制御の緻密さや応答性の高さに加え、モーターの駆動音がないことによる静粛性の高さも特徴とされる。また安全面では、電源失墜時に機械的にミディアム減衰に固定される特性があり、これがフェイルセーフとして機能する。拡大
スマートフォンのアプリによる減衰力調整のデモンストレーション。画面をタップして「Comfort」モードを選ぶと、ダンパーを収縮させるレバーがスッと軽くなる。
スマートフォンのアプリによる減衰力調整のデモンストレーション。画面をタップして「Comfort」モードを選ぶと、ダンパーを収縮させるレバーがスッと軽くなる。拡大
基本となる減衰特性のモードは、デフォルトの「Comfort」「Normal」「Sport」に3つの「Custom」モードを加えた全6種類。ただ、Comfort/Normal/Sportの設定および名称も、ユーザーの任意で変更可能だ。
基本となる減衰特性のモードは、デフォルトの「Comfort」「Normal」「Sport」に3つの「Custom」モードを加えた全6種類。ただ、Comfort/Normal/Sportの設定および名称も、ユーザーの任意で変更可能だ。拡大
画面下部の「Auto Mode(オートモード)」の枠に注目。オートモードをオンにすると、状況に合わせてコントローラーが減衰力を調整。オフにすると、減衰力は設定済みの“ベース減衰”に固定された状態となる。
画面下部の「Auto Mode(オートモード)」の枠に注目。オートモードをオンにすると、状況に合わせてコントローラーが減衰力を調整。オフにすると、減衰力は設定済みの“ベース減衰”に固定された状態となる。拡大
アプリではGセンサーや4輪の減衰力、車両のヨー・ロール・ピッチなどをリアルタイムで確認可能だ。
アプリではGセンサーや4輪の減衰力、車両のヨー・ロール・ピッチなどをリアルタイムで確認可能だ。拡大
「アクトライド」を装備したRCカーによる、デモンストレーションの様子。デコボコ道を走ると、減衰力の変化などがスマートフォンの画面に表示される。
「アクトライド」を装備したRCカーによる、デモンストレーションの様子。デコボコ道を走ると、減衰力の変化などがスマートフォンの画面に表示される。拡大
RCカーに積まれた「アクトライド」のコントローラー。全長×全幅×全高=122×82×33mmというコンパクトな設計も特徴だ。
RCカーに積まれた「アクトライド」のコントローラー。全長×全幅×全高=122×82×33mmというコンパクトな設計も特徴だ。拡大
可変ダンパーとしての性能の高さと、スマホアプリをコントローラーに用いるアイデアが特徴の「KYBアクトライド」。操作アプリに関しては、アップデートを介してさまざまな機能の追加も検討されている。
可変ダンパーとしての性能の高さと、スマホアプリをコントローラーに用いるアイデアが特徴の「KYBアクトライド」。操作アプリに関しては、アップデートを介してさまざまな機能の追加も検討されている。拡大

まずは「トヨタ・ハイエース/レジアスエース」用から

KYBアクトライドは、緻密で素早い減衰力調整が可能なセミアクティブダンパーに、遠隔による操作機能を組み合わせたものだ。ユニークなのが、コントローラーにスマートフォンのアプリを用いている点で、ユーザーは専門的な知識や煩わしい作業などなしに、状況に合わせて気軽にクルマの乗り心地や操作性を変更できるという。

システムは、ソレノイドバルブ式の可変ダンパーに、IMUセンサーを内蔵したコントローラー、それらをつなぐ5本のハーネスで構成される。スマートフォンとコントローラーの通信にはBluetoothを使用している。

アプリを開くと、基本となるダンパーの設定は6つで、デフォルトでプリセットが用意される「Comfort」「Normal」「Sport」に加え、3枠の「Custom」モードも用意。おのおののモードにおいて、フロント/リアの減衰力を個別に調整できる(ベース減衰)。また「Auto Mode(オートモード)」をオンにすると、上述のベース減衰を基準に、システムが自動で減衰力を調整。状況に応じて、常に好適な乗り心地と操作性が提供されるという。さらに、ユーザーは「Ride」(乗り心地)、「Handling」(操縦性)、「Speed Adpt.」(車速連携)という3つのパラメーターを操作し、より緻密にオートモードでの走りの調整が可能。オートモードがオフの場合、ダンパーはベース減衰に減衰力を固定した状態で稼働する。

適応車種は、2004年8月発売の現行型「トヨタ・ハイエース/レジアスエース」の全グレードで、FR用と4WD用の両方の商品を用意。価格はいずれも26万9500円で、KYBでは2026年1月末より商品の発送を開始している。

緻密な制御で快適性と走行安定性を同時に追求

アクトライドは、KYBのアフターマーケット商品としては初の電子制御サスペンションであり、既存のダンパーに遠隔操作機能を組み合わせるのではなく、ダンパー自体も同システム専用に開発されたものを使用している。

特徴は、減衰力の調整に機械式のステッピングモーターではなく、電気式のソレノイドバルブを用いている点で、これにより、オートモード・オンの状態では完全にシームレスな減衰力調整を実現。オートモード・オフの状態でも、“0-100”の全101段階から減衰力の設定が可能となっている。応答性も、約10ms(0.01秒、コントローラーの演算に要する時間を含む)と非常に高く、オートモード・オンの状態では、ドライバーの操作や路面の状況に応じたリアルタイムでのダンパー制御を実現している。

いっぽう、車両の状態をセンシングするのは、3軸加速度・3軸角速度を計測するIMUセンサーで、車速はスマートフォンのGPSで感知。オートモード・オンでのダンパー制御は、これらの情報をもとに行われる。具体的には、スカイフック制御(クルマを上空からつるした状態を仮想し、それに沿って減衰力を調整する制御)と上下・ピッチ・ロール方向の制御を組み合わせることで、乗員の体が揺さぶられない乗車環境を追求。また振動のレベルに応じて減衰力を可変させることにより、中・高周波のヒョコヒョコとした動きと、低周波のフワフワした動きを同時に抑え、“ハードなサスペンションとソフトなサスペンションのいいとこどり”な乗り心地を実現したとしている。

車速連携の機能も備わっており、低速時には快適な、高速時にはふらつきを抑えた走りを実現するべく、ベース減衰を基準に、速度に応じて減衰力を高めていく制御を導入。操作性に関しても、旋回時や加減速時にベース減衰より減衰力を高めることで、ロールやピッチの小さい、安定した車両挙動を実現するとしている。

また、これらの制御は複合的に行われており、「コーナリング中でも、路面の凹凸を検知すると瞬時に減衰力を増減。挙動の乱れを抑え、快適な乗り心地と操縦安定性を保つ」といった調整も可能としている。

安心して使える信頼性・安全性を追求

これら可変サスペンションとしての性能の高さに加え、アクトライドは信頼性も重視。特にコントローラーについては、OEM車載要求相当の厳しい試験をクリアしており、振動、温度、防水、電気耐性、ノイズ、耐久の各項目において、高い信頼性を実現したとしている。フェイルセーフ機能も備わっており、ハーネス断線時には減衰力をミディアム付近で固定。ユーザーのスマートフォンにエラーを通達するという。待機電力も0.01mA以下と小さく、バッテリー上がりの不安が少ない点も特徴だ。

操作を担うアプリケーションはApple StoreやGoogle Playからダウンロード可能で、iOS 17.0以上、Android 12以上のOSでの動作を確認済み。アップデートによる今後の機能拡張も検討しているという。

カヤバはこのアクトライドについて、「スマホでクルマとつながることで、新しいドライブの楽しさを提供する」と説明。今回の商品はハイエース/レジアスエース用のみだが、他の車種にも展開を広げていきたいとしている。

(webCG)