ベテランも若者も大興奮!? まだ見ぬ次期「日産GT-R」はきっとこうなる!
2026.05.11 デイリーコラムトップ自ら「開発中です」
日産自動車は2026年4月14日に長期ビジョンを発表した(関連記事)。このなかでイヴァン・エスピノーサCEOからいくつかの気になる発言があった。ひとつは新しい「スカイライン」の日本市場への投入である。「日産の源流であり、魂の象徴。日本のエンジニアリングと走りへの情熱を体現してきたスカイラインは、高性能で、正確で、意のままの走りを実現します」と力を込めた。
会場の巨大なスクリーンにはスカイラインのティーザー映像が映し出された。その映像からは、次期スカイラインはドアを4枚備えており、伝統の丸型テールとサーフィンラインを備えていることを示していた。薄いスリットを持つフロントグリル前端上部には「NISSAN」マークではなく、やはりこれも伝統の「S」マークが確認できた。次期スカイラインはどうやら、歴代スカイラインのヘリテージを色濃く受け継いでいるようだ。
気になる発言のもうひとつは、「日産GT-R」に関してである。プレゼンテーションの後に行われたQAセッションでエスピノーサCEOは、次期GT-Rの開発が進行中であることを明言した。「(GT-Rは)日産のアイコンのひとつだし、自動車業界のアイコンでもあると自負しています。GT-Rの伝統は持続させる義務があると考えています」と話した。
会場からの質問に答える格好での発言だったので、次期GT-Rに関してティーザー映像はない。だから、2007年に登場し、2025年に生産を終了したR35型のビジュアル面での特徴を受け継いでいるのかどうかはわからない。次期型の開発が進行中であることが確認できただけでもビッグニュースで、それがわかっただけで満足すべきだろう。
ヒントは2023年のコンセプト
だが、予想するのは自由だ。ヒントはずばり、2023年のジャパンモビリティショーにあると筆者はにらんでいる。なぜなら、このとき公開された「HYPER TOURER(ハイパーツアラー)」はイメージそのままに新型「エルグランド」として長期ビジョン発表会のステージを飾ったし、ポリゴンデザインが特徴の「HYPER PUNK(ハイパーパンク)」は新型「ジューク」としてやはり、長期ビジョン発表会で量産車が初公開された。
ならば、2023年のジャパンモビリティショーでセンターステージを飾った「HYPER FORCE(ハイパーフォース)」は次期GT-Rを示唆していると想像してもバチは当たらないだろう(エルグランドやジュークが量産車として登場したのに対し、ハイパーフォースに何の進展もなかったのが気になるところではあるが……)。
ハイパーフォースのコンセプトは「究極のドライビングプレジャーを追求しながら、高い環境性能と日常での快適性を兼ね備えた次世代の高性能スポーツカー」というもの。R35型GT-Rのように高性能のエンジンは積んでおらず、パワートレインは高出力のモーターと全固体電池で構成。つまり電気自動車(BEV)で、最高出力は1360PS(1000kW)を発生し、圧倒的な加速力を発揮。強力なダウンフォースを生み出す空力設計と進化した電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」、さらには高強度カーボンを活用した軽量化車体により、サーキットやワインディングロードで今までにないコーナリング性能と卓越した操作性を実現する──。
エンジンがモーターと全固体電池に置き換わってはいるものの、「超」がつくほどの高性能を目指している点で、次期GT-RのコンセプトはR35型GT-Rの延長線上にあるといっていい。究極のドライビングプレジャーを追求するなら、エンジンではなく制御性の高いモーターに行き着くのは妥当。エンジンサウンドはオーディオスピーカーで鳴らせばいい。変速ショックはアップシフト側もダウンシフト側もモーターの制御で再現できる。
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使える技術も先進的
これなど、すでにホンダが「スーパーONE」がやっているではないか。このコンパクトなBEVは1983年に登場した「シティ ターボII」をオマージュしたスタイリングが特徴だが、そう思ってハイパーフォースを見ると、このクルマのスタイリングも数十年前のレーシングカー(具体的に言えばシルエットフォーミュラ)の面影とR35型GT-Rのスタイリングをミックスしたように見える。古くからGT-Rを知る層には懐かしさを覚えさせ、古い時代を知らないデジタルネイティブのZ世代には、どことなくレトロ感漂うムードに新しさを感じてもらう手法である。
実際のところ、ハイパーフォースはZ世代を意識して開発されていた(当時、開発の当事者から聞いた)。オールドファンとZ世代を取り込む両面作戦は必須だろう。究極のドライビングプレジャーをクラシックな手法だけで実現したのでは、新しくて若いユーザー層に振り向いてもらえないし、少なくとも30年ぶりにモデルチェンジする高性能スポーツカーとしては物足りない。
ハイパーフォースが提案していたのは、三次元スキャナーのLiDARとAIを活用し、公道でもサーキット走行でもリスクを最小限に抑えて走れるようにする技術。LiDARで捉えた情報をもとにAIが自車周囲の状況を判断するのだ。例えば、サーキット走行時にターンインした際、イン側のブラインドスポットに後続車が鼻先を突っ込んできたとすると、ドライバーがその存在に気づかずステアリングを切り込んだとしても、クルマ側で衝突を回避する操作を行うといった具合である。
また、AR(拡張現実)用スケルトンシールドが装着されたヘルメットをかぶることで、サーキット走行時に以前走った自分のゴーストを表示させて走ることもできるし、プロドライバーのゴーストを表示させてラインどりやブレーキングのタイミングを学ぶことができる。また、リアルとバーチャルを融合した状態とすることも可能。自分はリアルにサーキットを走り、友だちはシミュレーションゲーム上で同じサーキットを走る。友だちが操るクルマはAR用スケルトンシールドに表示され、同じ環境で競い合うことができる──。
次期GT-Rの開発にあたっては従来の延長線上にあるクラシックなタイプの「究極」を追求する手は緩めてほしくはないが、現代の技術でGT-Rを再生するにとどまらず、デジタルネイティブが瞠目(どうもく)するような、拡張した究極のドライビングプレジャーの姿を提示してほしい。オールドファンとしては高性能エンジンの究極を目指してほしい気もするが、車外騒音規制が厳しくなる方向なこともあり、残念だが現実的ではないだろう(望みは捨てていないが)。
(文=世良耕太/写真=日産自動車、webCG/編集=関 顕也)
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世良 耕太
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