トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)
番付アップのおかげです 2026.06.17 試乗記 「RAV4」は世界で年間100万台以上が販売されるトヨタ屈指の売れ筋モデルゆえに、最新の技術や装備がこれでもかと詰め込まれている。販売拡大が見込まれるプラグインハイブリッド車(PHEV)にそれが顕著だ。「Z」グレードの仕上がりをリポートする。シェア2割を期待されるPHEV
RAV4のPHEVには先日試乗記をお送りした「GRスポーツ」(参照)のほかに、Zというグレードもある。本記事は、そんな新型RAV4のPHEV Zをメディア向け試乗会で味わったときのご報告である。同試乗会は東京都文京区にあるトヨタ自動車東京本社を起点にしたもので、その周辺の市街地と首都高速を1時間半ほど走った。
ところで、新型RAV4では国内販売全体の約20%をPHEVが占めると、トヨタ自身は見込んでいる。先代の「PHV」は電池などの供給難もあって一時受注停止されて話題となったが、最終的なシェアはRAV4全体の1割以下だった。新しいPHEVは、その2倍以上のシェアを期待されているわけだ。
新型RAV4 PHEVのなかでのZとGRスポーツの販売比率については、トヨタは(Zのほうが多い)7:3~8:2になると考えているようだが、実際のPHEVの初期受注ではGRスポーツが8割以上を占める。
発売直後のクルマは、より派手で高価なグレードから売れていくのが通例なので、RAV4としては初設定で、本体価格もZより30万円高いGRスポーツが人気を集めるのは自然なことだ。それにしても、8割以上とは!
しかも、先日ご報告したように、GRスポーツは、走りもマニアックすぎずに間口が広い。そこで試乗会の合間に「今回はGRスポーツが主力になるのでは?」と企画担当氏にぶつけてみたら、「さすがにそれはないでしょう」と冷静だ。やはり、最終的にはZがPHEV販売のメインになると考えているという。
そんなZはGRスポーツよりサスペンションのコイルやダンパーがより柔らかく、パワステも軽めのタッチとなる。また、リアサスペンションメンバーの補強部材やフロントエンドのパフォーマンスダンパー、そしてダウンフォースを強化する空力付加物など、GRスポーツ専用の車体関連部品も省かれる。
大きく進化したGA-Kプラットフォーム
……といったスペックのちがいは、実際にZとGRスポーツを乗り比べても、ほぼそのまま実感できる。高速巡航などで感じられるフワリとした上下動は、GRスポーツにはないものだ。また、ステアリングの利きもGRスポーツより少しだけゆるい。いわゆる古典的なクルマ好きのドライバーなら、GRスポーツに軍配を上げる向きが多いはずだ。
そんなZでも、先代のRAV4や同PHVと比較すると走行中の姿勢はフラットで、ステアリングも正確かつタイトになっている。ジョイントや細かい路面不整などでの突き上げは、GRスポーツよりソフトタッチなので、販売が進むほど、Zを選ぶ人は今より増えそうではある。
開発担当者によると、こうした進化には車体剛性の進化がとくに効いているという。新型RAV4のプラットフォームは従来と同様の「GA-K」となるが、実際には構造用接着剤の塗布距離の延伸に加えて、フロアのシート取り付け部周辺には高減衰接着剤も追加。さらに前後のピラーやサスタワー部分、バックドアの開口部分はとくに入念に補強されている。加えて、リアトレーリングアームの取り付け点の強化は、乗り味開発のお目付け役ともいえる“匠(たくみ)”の念願だったそうで、リアが安定したことで、操縦安定性と乗り心地のバランス点がはっきりとレベルアップしている。
GA-Kはもともと先代「カムリ」で世に出たプラットフォームで、先代RAV4の骨格はそれに準じた内容だった。しかし、新型RAV4ではプラットフォームの根幹部分にまで大きく手が入れられており、担当者によれば「第2世代GA-K」といってもいいくらい。しかもこの新型RAV4が初出となる。こうした大きな開発が許されるようになったのも、先代(5代目)の大成功によって、トヨタ内部でのRAV4の序列が上がったからだろう。
ADASに匠の運転技術を注入
トヨタの大ベストセラー商品となったRAV4では、これ以外にも今回初出の新技術がテンコ盛りだ。第6世代となったプラグインハイブリッドシステムや先進運転支援の「トヨタセーフティセンス(TSS)」もそうである。
プラグインハイブリッドはシステム自体が完全刷新されたことに加えて、プラットフォーム改良によって、床下のリチウムイオン電池の総電力量も3割ほど上乗せできた。満充電からのEV走行換算距離(WLTCモード)はZグレードで151km(先代のそれは95km)。ここまでくると、一般的な使いかたなら、普段はほぼほぼ電気自動車(BEV)である。電池残量およそ8割でスタートした今回の試乗でも、流れに乗って無意識に走るだけでは、エンジンが目覚めることはなかった。この心地よさに慣れると、それが呼び水となって次は本物のBEVに乗り換えられるケースが、先代のPHVの例から見ても少なくないと思われる。
TSSもフルモデルチェンジされた完全新世代で、「レーダークルーズコントロール」や「レーントレースアシスト」の制御には匠=トヨタ屈指の運転名人たちの運転を初めて取り入れている。実際、前走車に追いついたときの減速や停止、追従加速などは、すこぶるスムーズ、かつ流れに乗るのがじつにうまい。車線をトレースする操舵制御も確実に進化しているが、どことなく物足りなかったのは、そう感じさせるくらいにアクセルとブレーキの制御が絶妙だったからだ。
そんな新世代TSSは話題の「アリーン」を活用して開発されており、5つあったコントロールユニットがひとつに統合されたほか、開発時の実走行試験量も7割削減された。聞けば、アリーンとはSDV(ソフトウエアディファインドビークル)に向けたソフトウエア開発のためのプラットフォームであり、ツールであり、データベースのようなものらしい。文系脳の筆者は「へえー」としかいえないが、じつはアリーンとは、当初ささやかれていたような車載OSではないんだそうだ。へえー!
(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎、トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
トヨタRAV4 Z
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4600×1855×1685mm
ホイールベース:2690mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:229N・m(23.4kgf・m)/4400-4800rpm
フロントモーター最高出力:206PS(151kW)
フロントモーター最大トルク:272N・m(27.7kgf・m)
リアモーター最高出力:55PS(41kW)
リアモーター最大トルク:123N・m(12.5kgf・m)
システム最高出力:329PS(242kW)
タイヤ:(前)235/50R20 104V XL/(後)235/50R20 104V XL(ダンロップSPスポーツマックス060)
ハイブリッド燃料消費率:22.2km/リッター(WLTCモード)
EV走行換算距離:151km(WLTCモード)
充電電力使用時走行距離:151km(WLTCモード)
交流電力量消費率:150Wh/km(WLTCモード)
価格:600万円/テスト車=634万3200円
オプション装備:ボディーカラー<ブラック×アバンギャルドブロンズメタリック>(5万5000円)/ITSコネクト(2万7500円)/緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアラート<FCTA>+レーンチェンジアシスト<LCA>(7万8100円)/パノラマムーンルーフ<チルト&スライド電動[フロント]、挟み込み防止機能付き>(14万3000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<ラグジュアリータイプ>(3万9600円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:895km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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