三菱RVR G(4WD/CVT)【試乗記】
ジャーマンテイスト! 2010.04.20 試乗記 三菱RVR G(4WD/CVT)……314万7900万円
値段もサイズも「アウトランダー」よりひとまわりコンパクトで、新しい。それが三菱「RVR」だ。最上級グレード「G」の4WDモデルに試乗した。
全車エコカー減税適合
昔の名前で出てきたのが、三菱の「RVR」である。2002年までつくられた先代RVRは、2列シート4人乗りのマルチワゴンだった。リアドアはスライド式だが、後席はふたり掛け。でも、リアシートにはロングスライドレールが付いていた。コンパクトRVながら、広い後席で大人ふたりをゆったりくつろがせるという、91年のデビュー当時としてはなかなかユニークなコンセプトだった。車名のロゴも変わっていて、RVRの最初の“R”が左右逆だった。つまり、左右対称ロゴ。記事にするとき、それにしたがってRをひっくり返すべきか否か、発売当初、自動車雑誌ギョーカイ人を悩ませてくれた、なんて記憶もなつかしい。
復活したRVRのコンセプトは「ジャストサイズのコンパクトSUV」。アウトランダーのプラットフォーム(車台)を使いながら、全長はアウトランダーより35cm短い。その5ドアボディに「ギャラン・フォルティス」と同じ1.8リッターエンジンを搭載する。RVRの開発スタッフによれば、いま、とくに国産車はエコカー減税にひっかかっていないと見向きもされないという。試乗した「G」の4WDは最上級モデルだが、これを含めてシリーズ全グレードが50%減税をゲットしている。
BMWっぽい乗り味
エコカー減税なんてものは、おカミの胸先三寸だが、ハードとしてのRVRは、なかなかよくまとまったコンパクトSUVである。まず、スタイリングがシレっとカッコイイ。と思うかどうかは人それぞれにしても、存在感はある。ギャラン・フォルティス系と同じフロントマスクを三菱では「ジェットファイター・グリル」と呼ぶらしい(重工はジェット戦闘機もつくってるもんな)が、国産車にしては顔がデッカイ。欧米の輸出市場ではこういう押しの強さは大切なポイントである。
乗っても、素直ないいクルマだ。いちばん気に入ったのは足まわりである。ドイツ車のようにしっかりしている。乗り心地は適度に硬くフラットで、長距離を走っても疲れない。アイポイントは普通のセダンより高めだが、乗り味のテイストはちょっとした「BMW3シリーズ」っぽい。最近の国産ニューカーは、日本国内のマーケットが縮小していることを受けて、以前にも増してより海外市場に重きを置いて開発されるようになった。そのせいか、こんなふうに「ガイシャみたいだな」と感じることがよくある。
全幅を1770ミリに広げた新型RVRは、もちろん定員5名、リアシートには3人座れる。たっぷりした広さの後席は、前後スライド機構こそ付かないが、座面は高く、見晴らしにすぐれる。後ろへいくに連れてウエストラインが駆け上がってゆくデザインだから、窓際の横方向には適度な守られ感もある。快適なリアシートは先代譲りである。
技アリのガラスルーフ
試乗車にはオプションのパノラマガラスルーフが付いていた。後席乗員まで恩恵に浴せる大きなガラス屋根だ。この手はもう珍しくないが、ガラスルーフのシェード両サイドに付くLEDの間接照明は新機軸だ。昼間でも天井をオレンジにほの明るくするのは、オヤッと思わせる意外にワルくない演出だと思った。
6段スポーツモード付きCVTと組み合わされる1.8リッター4気筒は139ps。同グレードの2WDより70kg重い1430kgの車重でもパワーの不満は出ない。ただ、ドライブコンピューターが示す平均燃費は、試乗中ずっとリッター8km/リッター台の前半だった。燃費はとくにいいほうでもなさそうだ。
新型RVRはライトSUVとしてふだん使いのタウンカー需要を狙っているとみえ、3つのグレードすべてに2WDモデル(FF)がある。“4WD代”は21〜26万円だ。「G」の4WDは250万円近くするが、それでも欧州コンパクト四駆SUVよりはずっと安い。「フォルクスワーゲン・ティグアン」や「アウディQ5」のテイストをローコストで味わえる、なんていう魅力もありそうだ。
(文=下野康史/写真=荒川正幸)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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