働くクルマは長生きだ! 50年以上続く車名がゴロゴロある商用車の世界
2026.01.21 デイリーコラム70年以上の歴史を持つ小型トラック
以前にも似たような話をしていると思うが、国産乗用車の長寿の車名といえば、まず昨2025年に誕生70周年を迎えたトヨタの「クラウン」。同じくトヨタの「カローラ」が今年還暦つまり60周年を迎え、1年遅れで「センチュリー」が後を追う。
日産車では「スカイライン」が1957年デビューなので69歳。「フェアレディ」が少々の空白期間はあったものの誕生から64年。ホンダは「シビック」が54歳、「アコード」は1976年デビューだから今年でちょうど50周年。とりあえず、国産乗用車で50年、半世紀以上の歴史を持つ車名はこれだけだろう。
だが、これが商用車となると話が変わってくる。乗用車と違って目先を変える必要がなく、また仕事の道具だけに信頼こそがブランドの財産であるためか、長寿の車名が意外なほど多いのだ。というわけで、今回は50年(歳)以上の長寿を保っている商用車(現在は乗用車だがルーツは商用車というモデルも含める)を紹介していこう。
メーカー別に見ていくと、まずトヨタでは「ランドクルーザー」。現在の国内向けは乗用車登録のモデルのみだが、かつては商用車登録だったランクル。本家「ジープ」との商標の関係から「トヨタ・ジープ」がランドクルーザーに改められたのは1954年だから、実はクラウンより先輩で今年72歳の長寿車名ということになる。
小型トラックの「ダイナ」。1959年に「トヨペット・ルートトラック」から改名されたものなので、今年で67歳となる。ワンボックスの王様である「ハイエース」の誕生は1967年なので、還暦を1年後に控えた59歳。その弟分の「タウンエース」は1976年にデビュー、2007年にいったん生産終了したが、約半年後にダイハツがインドネシアで生産する「グランマックス」のOEMモデルとして復活した。よって空白期間を含めれば今年で50歳となる。そのほか、これまた日本国内市場での空白期間はあるものの、ピックアップの「ハイラックス」は翌1968年にデビューしている。
トヨタにはもう1台長寿モデルがある。今ではマイクロバスの代名詞的存在といえる「コースター」。前身となる「ライトバス」の時代から、先に紹介した小型トラックであるダイナをベースにした小型バスで、コースターとしてのデビューは1969年。すなわち57年の歴史を持つ。
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今も生きるマツダの「ファミリア」
日産は車種数が減少したこともあって、50年以上の寿命を保っているのは「キャラバン」のみ。ハイエースの対抗馬となる1973年デビューのワンボックスである。半世紀までもう少しとしては「バネット」がある。そもそも「サニー バネット」「チェリー バネット」として1978年に誕生、途中で「マツダ・ボンゴ」のOEMモデルになったりしたが、現在も「NV200バネット」としてその名は受け継がれている。
ホンダは該当車なし。商用車メーカーとして始まったマツダは、まず「ファミリア バン」。そもそもファミリアは1963年に商用バンとして誕生、翌1964年に乗用車が加えられた。その後乗用車は2004年に終了、バンも1994年以降は「日産ADバン」と「トヨタ・プロボックス」のOEMモデルではあるが、今なおその名は継続使用されており、寿命は63年となる。
「ボンゴ」も2020年以降は「ダイハツ・グランマックス」のOEMモデルだが、初代のデビューは1966年だから今年還暦を迎える。1971年に登場した小型トラックの「タイタン」も2004年以降は「いすゞ・エルフ」のOEMモデルだが、その名は健在で55歳になる。
三菱では軽トラック/バンの「ミニキャブ」。2014年以降はスズキの「キャリイ」および「エブリィ」のOEMモデルだが、トラックの誕生は1966年なのでこれも今年で還暦である。現在は「デリカD:5」、「スズキ・ソリオ」のOEMモデルである「デリカD:2」そして軽の「デリカミニ」といずれも乗用車だが、そもそも「デリカ」は1968年に小型キャブオーバートラックとして誕生した。
その後ワンボックスバン、それをベースにしたワゴンとバリエーションを増やしていったが、商用車のデリカは1999年以降マツダ・ボンゴや日産NV200バネットのOEMモデルとなり、2019年には終了した。だが、その名は乗用車に受け継がれて58年を生き延びているというわけだ。
2003年以降は三菱自動車とは別会社の三菱ふそうトラック・バスが製造・販売元となった小型トラックの「キャンター」。デビューは三菱重工時代の1963年だから、63年の歴史を持つ。忘れちゃいけないのがマイクロバスの「ローザ」。さらに古く、誕生は新三菱重工時代の1960年だから、今年で66歳。先にトヨタ・コースターを「マイクロバスの代名詞的存在」と呼んだが、キャリアにおいてはローザのほうが9年も先輩だったのだ。
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小型トラックのベストセラーは御年67歳
スズキでは軽トラック(バン)のキャリイが、セミキャブオーバー型の「スズライト・キャリイ」として1961年にデビュー。よってキャリイは今年で65歳になる。その9年後の1970年に登場した「ジムニー」も今は乗用車だが、1995年までは商用登録モデルのみだった。なのでランクルやデリカ同様にキャリアをトータルで考えると56年となる。
長年にわたってスズキのライバルであるダイハツからは、軽トラック/バンの「ハイゼット」がキャリイより1年早く1960年に誕生したので、今年で66歳。ちなみに初代ハイゼットはボンネット型で、今日のようなキャブオーバー型は1964年に加えられた当初は「ハイゼット キャブ」を名乗っていた。
2012年以降はそのダイハツ・ハイゼットのOEMモデルになってしまったが、「スバル・サンバー」もスズキ・キャリイと同じ1961年のデビューだから65歳。ということで、前ページで紹介した三菱ミニキャブを含め2車種はOEMモデルながら、ダイハツ、スズキ、スバル、三菱の軽トラックの名称はいずれも60年以上の歴史を持つわけだ。
最後にトラック・バス専門メーカーを見てみよう。長年にわたって小型トラックのベストセラーの座を独占しているいすゞ・エルフ。誕生は1959年だから今年で67歳で、くしくも先に紹介した市場を争うトヨタ・ダイナと同年齢となる。その兄貴分となるいすゞの中型トラック「フォワード」は、1970年デビューなので今年で56歳である。
中型トラック市場をいすゞ・フォワードと争うモデルといえば「日野レンジャー」。車名の歴史はライバルより古く、デビューは1964年なので今年で62歳。最後はこれも中型トラックであるUDトラックスの「コンドル」。2017年以降はいすゞ・フォワードのOEMモデルとなっているが、誕生は日産ディーゼル時代の1975年なので51歳となる。
ということで、これまでに名の挙がった50年以上の歴史を持つ車名を持つ商用車は10社の20車種。なかには現在は乗用車だったり、OEMモデルとなっていたりするものもあるが、純乗用車の3社7車種に比べれば2倍以上の車種が「昔の(ままの)名前で出ています」なのである。
(文=沼田 亨/写真=トヨタ自動車、日産自動車、マツダ、三菱自動車、スズキ、ダイハツ工業、スバル、いすゞ自動車、日野自動車/編集=藤沢 勝)
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沼田 亨
1958年、東京生まれ。大学卒業後勤め人になるも10年ほどで辞め、食いっぱぐれていたときに知人の紹介で自動車専門誌に寄稿するようになり、以後ライターを名乗って業界の片隅に寄生。ただし新車関係の仕事はほとんどなく、もっぱら旧車イベントのリポートなどを担当。
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