レクサスHS250h“バージョンI”(FF/CVT)【試乗記】
ハイブリッド車の買い時はいつ? 2009.12.21 試乗記 レクサスHS250h“バージョンI”(FF/CVT)……554万8500円
「トヨタ・プリウス」より、パワーも価格もワンランク上の「HS250h」。レクサスのハイブリッド車はどんな走りを見せるのか。
ルックスは好みじゃないけれど……
こんな仕事をやってるもんで、友人知人からクルマ購入についての質問を受ける機会も多いわけです。で、いま一番答えに困るのが、「ハイブリッドはいつ買えばいいの?」という質問だ。12月14日からリチウムイオン電池搭載の「プリウス・プラグインハイブリッド」の法人向けリースが始まったし、2010年には「プリウス・ワゴン」や「ホンダCR-Z」「日産フーガ・ハイブリッド」などが出て、ハイブリッド車の選択肢が広がる。
かと思えば、1月のデトロイトショーにはトヨタの新しいハイブリッド専用モデルがお披露目されるとの噂。ハイブリッド車はパソコンと同じで、いまより半年後、半年後より1年後のほうがパフォーマンスが向上しているのは明らかだ。だからハイブリッド車の購入時期に関する質問には、きっぱりとこう答えている。
「わかりません」
わかりませんよ、そんなの。もしハイブリッド車を買うタイミングの正解があるとすれば、欲しいと思った時に欲しいと思ったモデルを買うことだろう。そのクルマがもんの凄く気に入って愛着が湧けば、電池が変わろうがモーターがパワーアップしようが、気にならなくなるはずだ。実際には気になるだろうけれど、目をつむれるはずだ。
以前に試乗会でチョイ乗りした「レクサスHS250h」からは、そんな長く付き合えるハイブリッド車の匂いがした。正直、ブタっとしたフォルムと無表情なフロントマスクは好みじゃない。けれども、2.4リッターエンジンとモーターの組み合わせから生まれるパワーの余裕、新しモノ感といいモノ感の両立を図ったインテリア、落ち着いた乗り心地などなど、いくつかの好印象が重なっていつまでも一緒に暮らせるような気がしたのだ。そこで今回、そのあたりを確認しようと考えた。
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リッチな運転フィール
久しぶりに対面した「レクサスHS250h」は、前述したようにカッコいいとは思えないけれど、見ているだけで塗装のよさが伝わってくるのはレクサスの他のモデルと同じだ。
乗り込むと、ナビやエアコン、オーディオをコントロールするためのリモートタッチが一番目立ち、小さなセレクターレバーの存在感が薄いことに気付く。屹立するシフトレバーがある意味でインテリアの主役だった昔のクルマとは対照的。「HS250h」のインテリアは、メカニズムの新しさをきちんと造形でも表現していると思う。もちろん造形的な面白さだけでなく、操作時の視線の移動を少なくするというリモートタッチ本来の目的はきちんと果たしている。
エンジンを始動、じゃなくてシステムを起動。アクセルペダルを軽く踏み込むと、「HS250h」はモーターの力だけでふわっと加速する。ちなみに、143psのモーター出力はプリウスが積むモーター(82ps)の1.75倍にあたる。さらにアクセルを踏み続けると、気付かれないようにそっとエンジンが助っ人に加わって、加速を後押しする。いや、FFだから後押しではなく、前から引っ張ると表現したほうが正確か。
インパネのスイッチで「EV」モード、「ECO」モード、「PWR」モードを選ぶことができるが、たとえ「ECO」モードでも加速フィーリングはリッチだ。「PWR」モードに入れて強くアクセルペダルを踏むと、リッチを通り越して成り金のようなお下品な加速になるから要注意。
動力源の音は非常に静か。ボディの静粛性が優れていることとの合わせ技で、加速時でも車内のムードは実にクール。リッチに、かつクールに加速するというハイブリッドならではの新しい移動感覚をしっかりと味わうことができる。
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もうちょい伸びてほしかった実燃費
リッチといえば、しっとりとした手応えのステアリングフィールから得られる情報も豊かだ。いま現在のタイヤと路面の関係がしっかりと伝わってくる。ステアリングの効きも正確で、背が高いボディなのにロールもよくチェックされている。だから「HS250h」は安心かつ楽ちんにドライブできるだけでなく、“走りの質感”みたいなものを楽しむこともできる。
高速道路を8割、ワインディングロード1割、ちょっと混雑した一般道1割ぐらいの割合で約300kmを走って得た燃費は16.6km/リッター。もうちょい伸びるかなと思っていたけれど、あらゆるシチュエーションで「ハイブリッドだから」という言い訳を一切感じさせなかったパフォーマンスを思えば、妥当なセンであるような気もする。
後席は成人男性が足を組めるくらい広いし、後席シート裏にバッテリーを積むせいでトランクスルーにならないのがタマにキズではあるけれど、フルサイズのゴルフバッグ4個を積めるトランクルームの容量にも文句はない。ま、これだけの値段のクルマだからよくできていて当然かもしれないけれど、所有する歓びの感じられるお上品なファミリーカーだという第一印象は、間違っていなかったようだ。
そうこうする間に、「レクサスHS250h」の姉妹車である「トヨタSAI」の情報も聞こえてくる。細部のセッティングこそかなり違うというけれど、基本的なパワートレインやシャシーは共通だし、きっとまた「HSとSAI、どっちを買うべきか」という相談を受けるんだろうぁ……。いやいや、「どれを買うか」「いつ買うか」を悩むことができる日本のユーザーは恵まれているのだ。
(文=サトータケシ/写真=荒川正幸)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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