「最近のクルマはサビやすい?」
2009.09.12 クルマ生活Q&A ボディ「最近のクルマはサビやすい?」
輸入車、日本車問わず、最近のクルマはサビやすくなっているような気がします。たとえばボディの裏側とか、ネジ類などです。これはメーカーがコストダウンを図っている影響なのでしょうか?
お答えします。防錆技術の発達によって、クルマは時代とともにサビにくくなってきていました。しかし、およそ10年ほど前からは、それ以前よりのクルマよりサビやすくなったと思われる部分もたしかに見受けられます。その理由は、ご指摘のようにコストダウンによるものもありますが、環境問題も少なからずからんでいます。
以前は鉛や六価クロムといった重金属が防錆のために使われていましたが、環境に悪影響を与えるということで、防錆性能に関してはそれらより劣る三価クロムなどに換えられました。また、高剛性と軽量化を両立させるため、ボディには薄くて硬い超高張力鋼板が多く使われるようになりました。薄くても表面処理技術によって防錆性能は保たれているのですが、なんらかの理由で傷ついて表面処理が損なわれてしまうと、通常の鋼板に比べサビやすいのです。
というわけで、サビやすくなっているのではないかというご指摘は事実ではあるのですが、単なるコストダウンではなく、環境のためにはいたしかたない部分もあるのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。