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【スペック】全長×全幅×全高=4970×1875×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1960kg/駆動方式=FR/5リッターV8DOHC32バルブ・スーパーチャージャー付き(510ps/6000-6500rpm、63.7kgm/2500-5500rpm)/価格=1200.0万円(テスト車=同じ)

ジャガーXFR(FR/6AT)【ブリーフテスト】

ジャガーXFR(FR/6AT) 2009.08.21 試乗記 笹目 二朗 ……1200.0万円
総合評価……★★★★

怒涛の510psを発生する、ジャガーの新型サルーン「XFR」。その走りから乗り心地まで、“スーパーセダン”の素顔をリポートする。
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輝ける猛獣

ジャガーとしては、いつまでも過去の遺産にしがみついているわけにもいかず、このXFシリーズで新境地を開きたいところだろう。メッシュグリル眩しい新しい顔からは、そんな意気込みも感じられる。
旧来の熱心なうるさ型ジャガーファンにとっては、この新型車は鼻持ちならない存在かもしれないが、XFのスタイリングは、それまでジャガーを敬遠していた若い新しいファンも取り込むことができる。後々の評価はこのあとにデビューした新しい「XJ」の成り行きにもかかってくるだろうが、そんな論議がなされること自体、ジャガーファンの層の厚さを表しているのだ。

この「R」が付加された高性能モデルは、ジャガーがスタイリングだけではなく、技術や、それがもたらす走りの点でも第一級にあることを表す。総アルミボディの軽量さを説くならば、もっと小排気量のエンジンでも十分なパフォーマンスが得られそうなものだが、どうせやるなら徹底的に、ライバル車を完膚無きまでに叩きのめすということなのだろう。

エコの時代なのに……と顔をしかめることはない。Rだからといって四六時中飛ばすのではなく、余剰トルクを使った低回転低燃費な走りもできるのだから。

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【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
ジャガーのミドルクラスサルーン「XF」は、2007年9月のフランクフルトショーでデビュー。日本では、2008年5月16日に発売された。
その位置づけは、実質的に「Sタイプ」の後継モデル。元アストン・マーティンのデザイナーであるイアン・カラム氏の手になるスポーティなエクステリア、ダイヤル式のドライブセレクター、手を触れるだけで開くグローブボックス、フォスファーブルーのイルミネーションなどを特徴とする。
3リッターV6、4.2リッターV8、同スーパーチャージャー付きからなる3種のエンジンラインナップのうち、V8エンジンは2009年6月より新型の5リッターユニットに変更。同時にハイパフォーマンスモデルの「XFR」もラインナップに加えられた。

(グレード概要)
「XFR」は、「XF」シリーズの最上級モデル。
外観上は、スポーティなフロントバンパーや、20インチホイールなどの専用パーツが“普通の”XFシリーズと異なっており、ボンネットの下に510ps、63.7kgmを発生するスーパーチャージャー付きの5リッターV8エンジンをおさめる。トランスミッションは6段ATのみで、後輪を駆動。0-100km/h加速=4.9秒のパフォーマンスを発揮する。
「XKR」と共通の「アクティブディファレンシャルコントロール」機能なども、スポーティな走りを支える。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
スッキリと整理されたなかにも高価格車ならではの金属的処理がなされ、新世代の大型高性能スポーツサルーンとしての新しい魅力に富む。従来の古典的なブランドイメージの面影はないが、またいつかは、復古調が流行る時代もくるだろう。これもまた、フラッグシップセダン「XJ」とのうまいすみ分けとみれば納得だ。同じようなクルマを2台造っても仕方ない。今までと違うジャガーを試してみたい人もいるだろう。

(前席)……★★★★★
座面前後長が短めで、足を前に投げ出して座るようなポジションがジャガーの特徴だった時代もあるが、XFRには全体にタップリしたサイズのシートが与えられ、比較的膝を曲げて座れる。横方向は腿や背中を支える両サイドが盛り上がっており、ホールド性も良好だ。サイドブレーキレバーやシフトレバーなど凸凹を全部廃したセンターコンソールは特徴的。ここをスッキリさせたおかげで、室内は広々としている。

(後席)……★★★★
スタイリング重視のデザインは、ルーフラインから想像できるとおり、乗降時はやや頭を低くしなければならないが、一旦中に入ってしまえばヘッドクリアランスは十分で、狭くは感じない。以前に存在したいわゆる「2+2」とは異なり、完全な「4シーター4ドアクーペ」である。ときにはドライバーズシートを子供達に譲って、自分はリアシートでうたた寝するようなオーナーにも不満は与えないだろう。

(荷室)……★★★
外見から想像するよりは、広い荷室を備える。最新の空力スタイルはデッキも高いし、車幅も広いので、内容量は思っているよりも大きく確保されている。内張りも価格相応に立派な処理がなされている。FRゆえデフやドライブシャフトの存在を無視できないが、スペアタイヤなどの置き場は工夫され、フラットなフロアを実現している。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
無条件にパワフル。強力無比。スーパーチャージャーの作動音はもはや感じ取れないほど静か。ロードカーにここまでのパフォーマンスが必要か否かは論議するまでもなく、使い方はドライバーの意思に委ねられる。
そんなエンジンは直噴化されて、燃費も改善されている。徹頭徹尾エコに徹しなくとも、運転法で今までより改善できるのであれば、それは進化といえよう。6段ATのダイヤル式ドライブセレクターも、慣れればレバー操作より簡単。もともとダイレクトなシフト感覚とは無縁なのだし、オートマチックらしい操作がむしろ現代の感覚に合っている。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
旧来のジャガーに期待された“しなやかなアシの動き”であるとか、フラットな感覚を求めるならば、失望。アメリカ人が考える“ドイツ製高性能車に似たもの”を求めるのであれば、納得。
高性能車なりの振る舞いイコール、アシの動きを速くすることと勘違いしているフシもある。が、大径タイヤを履くクルマにしては不満のすくないG感覚に調教してある。ボディは持て余すというほどでもないが、サイズを意識して振り回さなければならない。

(写真=荒川正幸)

【テストデータ】

報告者:笹目二朗
テスト日:2009年7月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年式
テスト車の走行距離:5111km
タイヤ:(前)255/35R20(後)285/30R20(いずれも、ダンロップSP SPORT MAXX)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:350.2km
使用燃料:58.0リッター
参考燃費:6.04km/リッター

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