「ブレーキディスクに開けられた穴やスリットの効果は?」

2009.02.28 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ブレーキ
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「ブレーキディスクに開けられた穴やスリットの効果は?」

スポーツカーなど高性能車のブレーキディスクには、穴が開いていたり、スリットが入っていたりするものがあります。あれにはどんな効果があるのでしょうか?

お答えします。一般的にブレーキディスク(ローター)の表面に穴が開けられているものは「ドリルドディスク(ローター)」、放射状にスリットが入れられているものは「スリットディスク(ローター)」などと呼ばれています。どちらも主な効果は2つあります。まずひとつは、穴やスリットに空気を通すことによって、放熱効果が高まること。もうひとつは、ブレーキパッドをディスクに押し付けた際に発生するガスを逃がしやすくすること。これらの効果は、安定したブレーキ性能を保つことに貢献します。

付け加えるならば、スリット入りの場合に顕著なのですが、ブレーキパッドを削ぎ落とすように働くため制動力およびタッチが向上します。さらに炭化したブレーキダスト(パッドの削りカス)をディスクの表面から取り除くという副次的な効果もあります。

しかし、こうしたメリットばかりというわけではありません。ブレーキパッドの食いつきがよくなるぶん、パッドの摩耗は早まりますし、ディスクの偏摩耗も起きやすくなります。またハードなブレーキングを習慣的に行っていると、ディスクにクラックなどが入ることもあります。
とはいうものの、ドリルドディスクやスリットディスクを採用しているような高性能車、とくにヨーロッパ車の場合は、ブレーキパッドはもちろん、ディスクも消耗品とされていることが少なくありません。そうした考え方に立てば、上記のような現象は取るに足らない問題ということになるのでしょう。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。