「ラジエターのフィンがつぶれたらどうすればいい?」
2008.11.08 クルマ生活Q&A エンジン「ラジエターのフィンがつぶれたらどうすればいい?」
グリルから覗くと、ラジエターのフィンがかなりの面積でつぶれているのが見えました。放置しておいてもいいでしょうか?
お答えします。このご相談の場合は、もしかしたらラジエターではないかもしれませんよ。
現在のクルマの多くは、エアコンのコンデンサーはグリルの直後に設けられているのです。そのほかにエンジンオイルやATオイルの冷却装置が装着されていることもあります。ラジエターは、それらの後ろに位置することが多いのです。
昔はオーバーヒートを起こすクルマをよく見かけたものですが、最近は少なくなりました。様々な要因がありますが、ラジエターの構造が進歩したことも大きいでしょう。薄いラジエターでもフィンを細かくするなどで表面積を増やして、冷却効率を上げているのです。
最近はデザイン上の流行で、クルマの前面に大きな開口部を持つものがあります。奥に網をつけて異物が入らないようにしているクルマもありますが、ない場合も多くみられます。運が悪いと石などがそこから入って当たり、ラジエターなどを傷つけてしまうこともあります。
ラジエターにしてもエアコンのコンデンサーにしても、液体が漏れていなければそれほど心配することはありませんが、つぶれがひどければ多少は冷却効率が下がるかもしれません。
気になるようでしたら、工具ショップなどでフィンの修正器が手に入りますので、それでつぶれた部分を起こしてやればいいでしょう。それがなければ、マイナスドライバーでもある程度は直ります。ただ、うっかり本体に傷を付けてしまうと面倒なことになりますので、手先の器用な人以外はディーラーなどに依頼して直してもらうのが安心だと思います。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。