第362回:コージ初潜入、コンチドローム!
クルマは「楽しく」作らないとね
2008.06.23
小沢コージの勢いまかせ!
第362回:コージ初潜入、コンチドローム! クルマは「楽しく」作らないとね
ウェット路面は世界の基準
さてさてタイヤショップを取材した後、俺達が向かったのは、世界的に有名な自動車開発用テストコース、コンチネンタル所有のコンチドロームだ。ここは1967年にできたトラックで、最大傾斜角58度のとんでもないバンク角を持つ2.8kmの高速周回路で有名。最高220km/hでのテスト走行が可能で、もともとは60年代にアウトバーンの交通量が増えすぎてテストに使えなくなり、コンチが考えた苦肉の策らしい。その後、日本はもちろん、世界のテストコースのひな型にもなっており、現在はコンチのみならずメルセデス、BMW、VWはもちろん、アストン・マーティンやフェラーリ、トヨタや日産など、ありとあらゆるメーカーが使っている。言わば“テストコースのメッカ”みたいなとこなのよ。
なかでもそのウェットテスト路面はレイアウト、路面サーフェスを含め、世界のマザートラック、つまりウェット性能を試す上での基準になってるそう。たしかにそういうオーラを放っておりました。
ある意味、テストコース版のニュル
なんといいますかね。ほとんどひなびたサファリパークっぽいのよ(笑)。コースに繋がる、主要地方道からの分岐点からして「えっ、この先がテストコース?」って感じのこぢんまりした住宅地で、入り口に近づいてみると驚くほど“自然”。モダンかつ厳正な建物に厳重に管理されてる風の日本のコースとは違い、まさしく“野生の王国”だ。
ぐるり囲まれた金網の一部に遠隔操作可能な自動ドアがあるだけで、スクープ対策もきっとバッチリなはずだけど、あたりは草ぼうぼうで驚くほど無作為。ココがホントに世界のコンチドローム? って感じだ。
中に入ってもビックリ。妙な仕切りやガードレールは限りなく少なく、じつに開放的で、ほとんどのドライバーはレーシングスーツなどを着ずに普段着で、それもノーヘルでガンガンに飛ばしてる。
そして勝手な思い込みで言っちゃうと、テストドライバーはみんな「興がのれば100周でも200周でも走っちゃうよ〜」ってな雰囲気を持ってる。妙に楽しそうなのだ。
その他俺達が行った時はVWと一緒にアストンもコースインしてて、ほとんど各社入り乱れのサーキット状態。俺は直感的にこりゃ“テストコース版のニュルブルクリンク”なんじゃないかなって思いました。まさにサファリパークであり、遊園地的なところもある。
楽しそうな高橋さん
さらに今回、ラッキーにもコンチ唯一の日本人テストドライバー、高橋郁磨さんにお会いできた。彼の生い立ちは、またじっくり語るとして、今回はテスト車両の「BMW325i」の助手席に俺を載せて、ハンドリングコースをぶっ飛ばしてくれた。「日本のテストコースじゃブラックマーク付けることすら許されないんですよね」とイイながらガンガンにカウンターステアを決める。もちろん顔は超真剣だし、言うほど楽しさ100%でもないはず。だけど、マジ、日本のがんじがらめのテストコースでクルマを開発してるより10倍、いや100倍は楽しそう!
アタシャ、直感的にクルマの開発ってのは本来こうあるべきだよなぁとか思いましたね。
もちろん、クルマ作りには大いなる責任が伴うし、商品を安全なものにするのには当然、知識もスケジュール、品質管理も大切。でもそれ以上にまず「楽しく」ないといいクルマなんか作れっこない。それからライバルを横目でニラミながら作る「競争心」だって当然あってもいいのだ。
コンチドローム、そこは欧州のクルマ、そしてタイヤがなぜ乗って楽しいのか、どんな大衆車でもなぜ走り味を忘れないのか、その秘密が詰まってるような気がしましたね。
クルマはマジメに厳しく、なおかつ楽しく作るベシ。結局、そういうことではないんでしょうか。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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