「2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」の会場から
2018.11.21 画像・写真2018年11月17日、東京都新宿区の明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で「2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」が開かれた。これは愛知県長久手市にあるトヨタ博物館が「クラシックカー愛好家同士の交流とクルマ文化の継承を目的とするイベントを首都圏でも」という趣旨で、2007年に始めたもの。今回で12回目を迎えた。一般オーナーから募集した約100台のクラシックカーの展示と公道パレードを中心とする内容は、初回から不変。テーマに沿ってセレクトしたトヨタ博物館の所蔵車両を並べる企画展示も恒例のプログラムだが、今回のテーマは「Japanese Vintage Year 1989」。平成最後の年の開催にちなんで、平成元年(1989年)に登場し、世界的な評価を得た5台の日本車を、日産、ホンダ、マツダ、スバルのメーカー4社の協力を得て展示した。好天に恵まれ、たくさんの来場者でにぎわった会場から、参加車両を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/30世界に影響を与えたモデルが国産メーカー各社からそろって登場したことから、後に「日本車のビンテージイヤー」と呼ばれた1989年(平成元年)生まれのモデル5台を並べた企画展示「Japanese Vintage Year 1989」。ちなみにビンテージイヤーとは、本来「ワイン用ブドウの当たり年、優良なワインが醸造された年」を意味する。左から「スバル・レガシィ ツーリングワゴン」、「トヨタ・セルシオ」、「日産スカイラインGT-R」、「ホンダNSX」(発売は1990年)、「ユーノス・ロードスター」で、いずれも各社の所蔵車両である。中でもユーノス・ロードスターは、発売当時に還暦を迎えたオーナーが赤いちゃんちゃんこの代わりに購入して愛用、近年になってマツダに寄贈された個体をレストアしたものという。
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2/301927年「ロールス・ロイス・ファントムI」を先頭に、一般参加車両約100台による公道パレードがスタート。スターターを務めるのはトヨタ博物館館長の布垣直昭氏。
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3/30パレードのスタートは原則として年式順。これはレストアされたばかりという1931年「フォード・モデルA」。30歳以上の来場者による人気投票で1位に輝いた。
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4/30スタート後、公道に向かって絵画館の敷地内を走る「神戸5」のシングルナンバーを付けた1961年「トヨペット・クラウン1900デラックス」。初代クラウンの最終型である。
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5/301961年「BMWイセッタ」。イタリアのイソ社からライセンスを得て生産し、戦後のBMWの低迷期を支えたモデル。
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6/30絵画館前から出て神宮外苑の外周路を走る、先頭から1961年「ロールス・ロイス・シルバークラウドII」、1962年「フィアット・アバルト850TC」、1962年「ロータス・エリートS2」。
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7/30外苑前のいちょう並木を行く、先頭から1966年「トヨタ・スポーツ800」、1966年「日産シルビア」など。
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8/301973年「トヨタ・カリーナ」。「カローラ」と「コロナ」の中間車種として生まれた、初代カリーナの4ドアセダンの希少な残存車両。
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9/301981年「デロリアンDMC-12」。例年より開催が1週間早かったため、街路樹のいちょうがまだあまり色づいていない。
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10/301983年「スバル・レオーネ ハードトップRX」。パートタイム4WDを採用した2代目レオーネのホットモデル。
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11/30手前から1987年「トヨタ・クレスタ スーパールーセント ツインカム24」、1987年「トヨタMR2」、1986年「トヨタ・スープラ2000GTツインターボ」と、1980年代に大流行した「スーパーホワイト」をまとったトヨタ車が続く。
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12/30銀座方面に向かったパレードから神宮に戻り、絵画館前への再入場に際して外苑周回路を走る、1961年「ポルシェ356B スーパー90」。
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13/301965年「ダットサン・ブルーバード1600SSS」。型式名410こと2代目ブルーバードに追加設定された、高性能グレードの名称であるSSS(スーパースポーツセダン)を冠した最初のモデル。
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14/30新車以来の「横浜5」のナンバーを付けた1966年「フォルクスワーゲン1300」。ビートルこと「タイプⅠ」の当時の正規輸入車には、北米仕様のダブルバンパーが標準だった。
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15/30ファンの間ではSR311の型式名で呼ばれる1970年「ダットサン・フェアレディ2000」。初代「フェアレディZ」登場後の1970年に131台だけ作られた、オープン時代のフェアレディの最終モデル。
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16/301975年「フェラーリ365GT4BB」。1970年代後半のスーパーカーブームの渦中で「ランボルギーニ・カウンタック」と人気を二分したモデル。80年代の日本のスポーティーカーの間でも流行した赤黒2トーンの塗り分けの元祖的存在でもある。
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17/301975年「マセラティ・メラクSS」。マセラティ初のミドシップ車だった「ボーラ」の車体に、マセラティが「シトロエンSM」用に開発した3リッターV6エンジンを積んだモデル。
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18/30絵画館前に生産国、メーカーの別を問わず年式順に並べられた参加車両。
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19/30「多5」(多は多摩)のシングルナンバーを付けた1963年「ダットサン・ブルーバード1200ファンシーデラックス」。初代310ブルーバードに追加設定された、日本初の女性向けモデル。
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20/301966年「マセラティ・クアトロポルテ」。当時のインポーターだった新東洋企業によって正規輸入された初代クアトロポルテ。
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21/301977年「トヨタ・スプリンター リフトバック」。近藤正臣とアグネス・ラムが出演、ゴダイゴがCMソングを歌っていたテレビCMが懐かしい、3代目スプリンターに初めて設定されたテールゲート付きモデル。
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22/30恒例の記念乗車撮影(スタッフにカメラを渡して撮ってもらう)のために用意された、トヨタ博物館所蔵車両3台のうちの1台は、1937年「ホルヒ853」だった。ホルヒはアウディのルーツとなるメーカーのひとつで、853は4.9リッター直8エンジンを積んだ最高級車。
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23/30企画展示「Japanese Vintage Year 1989」の5台は、Classic Car Circuitと名付けられた会場内のコースをデモ走行した後、各メーカー担当者から紹介された。
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24/30Classic Car Circuitでは、テーマに沿ってピックアップされた一般参加車両の走行披露も行われた。これらは「オープンカー」の中から選ばれた1958年「ポルシェ356A」、1967年「ダイハツ・コンパーノ スパイダー」、1968年「トヨタ・パブリカ コンバーチブル」。
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25/30これも選ばれたオープンカーである1956年「ACエース ブリストル」。「ACコブラ」のベースになったモデルで、ブリストル製(もともとの設計はBMW)の2リッター直6エンジンを搭載。
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26/30一般参加のオープンカーとともに走行披露した1962年「アルファ・ロメオ・ジュリア スパイダー」は、自動車イベント「オートモビル カウンシル」からの特別出展車両。ボンネットは「ジュリエッタ スパイダー」用に替えてある。
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27/30「頼れる相棒」というテーマに沿って、商用車やSUVも走行披露した。1965年「ホンダT360」はホンダ初の市販四輪車にして日本初のDOHCエンジン搭載車。
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28/301967年「トヨタ・ランドクルーザー」。FJ45Pの型式名を持つ、輸出専用だったピックアップ仕様。日本では非常に珍しい。
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29/30終日好天に恵まれた会場は、およそ2万人の来場者でにぎわった。
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30/30全プログラムが終了、日が傾きかけた中、ギャラリーに見送られて順不同で会場を後にする一般参加車両。「練馬5」のシングルナンバーを付けた1969年「トヨタ2000GT」に1956年「オースチンA35カントリーマン」などが続く。