-
1/20表皮にアルカンターラが用いられた「マクラーレン750S」のバケットシート。(写真:マクラーレン・オートモーティブ)
-
2/20アルカンターラは、自動車の内装素材などで知られるイタリアの高級マテリアルメーカーであり、ミラノの本社とネラ・モントロの製造拠点を通じて、世界規模で事業を展開している。
-
3/20スエード調人工皮革は、1970年に東洋レーヨン(現、東レ)の岡本三宜博士によって発明された。その後、同社は「エクセーヌ」「ウルトラスエード」「アルカンターラ」という名称でこの商品を展開。イタリアでアルカンターラの現地生産を手がけていた会社が、現在のアルカンターラ社となった。今日では、東レの製品とは完全に独立して管理・マネジメントされているアルカンターラだが、実は日本とも縁の深いマテリアルなのだ。
-
4/20世界で唯一のアルカンターラの生産拠点であるネラ・モントロ工場。創業は1972年。今日における敷地面積は58万6000平方メートルで、研究開発や複合製造に取り組む89人を含め、全588人の従業員が働いている。
-
5/20アルカンターラの生産の様子。まずは原材料のチップから糸を繰り出す。
-
6/20繰り出した糸を、縒(よ)ったりロールで延ばしたり、剣山で上下から刺したりしてフェルト状に成形。工程の途中で何度も検品を行うことで、品質が保たれる。
-
7/20生地の形になったアルカンターラ。ベースとなる生地の色は黒、灰、白の3種類で、有彩色の生地をつくる際には、この後に染色を行う。
-
8/20「コンプレックスマニュファクチュアリング」の工程を担う工場の様子。明るく広い空間に、工作機器がゆとりをもって配置されている。
-
9/20生地にレーザーで穴をあけるパンチング加工の様子。この他にも、裁断や電子溶接、巨大なコンピューターミシンによる刺しゅうなども見せてもらったが、一部は企業秘密ということで、写真撮影はNGだった。
-
10/20オーダーに応じてさまざまな加工が施された生地は、最後に裁断・検品。製品として出荷される。
-
11/20テーブルに並べられたサンプルの数々。「アルファ・ロメオ・トナーレ」や「日産マイクラ」といった比較的身近なクルマから、「マセラティMC20」といったスーパーカーまで、幅広いクルマに「コンプレックスマニュファクチュアリング」の製品は使われている。
-
12/20加工の組み合わせ次第では、こんな複雑なデザインの生地を仕立てることも可能だ。
-
13/20「これはどのクルマの生地ですか?」「ブガッティです」。いやはや、眼福でした。
-
14/20ファッションや電化製品などの分野における取り組みを説明する、アルカンターラのアンドレア・ボラーニョ会長兼CEO。
-
15/20アルカンターラはアート関連の活動にも積極的に取り組んでいる。写真はMAXXI(イタリア国立21世紀美術館)との共同プロジェクトのもと、Studio Ossidiana(スタジオ・オッシディアナ)が制作したインスタレーション。
-
16/20こちらは、アルカンターラとマイクロソフトのコラボレーションによるキーボードカバー。質感が高いだけでなく、耐久性に優れ加工の幅も広いアルカンターラは、クルマのみならず建物や船のインテリア、アパレル商品、電化製品等々、さまざまなものに使用されている。
-
17/20工場から出たアルカンターラ(厳密にはそのもととなる生地)の端切れ。最近では天然素材・再生素材の使用に加え、生産段階で出るこうした廃材の再利用も進められている。
-
18/20最近では環境意識の高まりもあり、クルマの内外装でもさまざまな価値の提案、新素材の採用が模索されている。写真はジャパンモビリティショー2023で発表されたコンセプトカー「マツダ・アイコニックSP」のシート表皮。
-
19/20もちろん、未来的なクルマのかいわいでも、アルカンターラは魅力的なマテリアルとして認知されている。写真はアウトモビリ・ピニンファリーナの電動ハイパーカー「バッティスタ・エディツィオーネ・ニーノ・ファリーナ」のシート。リマックの電動ハイパーカーにもアルカンターラは使われている。
-
20/20自動車の変革に伴い、次々に新しい提案がなされている内装素材。アルカンターラが未来にどのような回答を示すのか、興味津々(しんしん)である。

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
デイリーコラムの新着記事
-
新型「日産エルグランド」はこうして生まれた! 開発のキーマンがその背景を語る 2025.11.7 日産が「ジャパンモビリティショー2025」に新型「エルグランド」を出展! およそ16年ぶりにフルモデルチェンジする大型ミニバンは、どのようなクルマに仕上がっており、またそこにはどんな狙いや思いが込められているのか? 商品企画の担当者に聞いた。
-
次世代のスバルをここから 車両開発の最前線「イノベーションハブ」とは? 2025.11.6 スバルが2024年1月に開設した群馬・太田の「イノベーションハブ」。新技術や次世代スバル車の開発拠点となる同施設の内部と、そこで生み出されたジャパンモビリティショー2025で話題のコンセプトモデルを紹介する。
-
未来がすべてにあらず! ジャパンモビリティショー2025で楽しめるディープな“昔”の世界 2025.11.5 未来のクルマ、未来の技術が集結する「ジャパンモビリティショー2025」。ただし、「そういうのはもういいよ……」というオトーサンのために(?)昔の世界を再現し、当時のクルマを並べた「タイムスリップガレージ」も用意されている。内部の様子を紹介する。
-
現行型でも中古車価格は半額以下! いま本気で狙いたい特選ユーズドカーはこれだ! 2025.11.3 「クルマが高い。ましてや輸入車なんて……」と諦めるのはまだ早い。中古車に目を向ければ、“現行型”でも半値以下のモデルは存在する。今回は、なかでも狙い目といえる、お買い得な車種をピックアップしてみよう。
-
米国に130億ドルの巨額投資! 苦境に立つステランティスはこれで再起するのか? 2025.10.31 ジープやクライスラーなどのブランドを擁するステランティスが、米国に130億ドルの投資をすると発表。彼らはなぜ、世界有数の巨大市場でこれほどのテコ入れを迫られることになったのか? 北米市場の現状から、巨大自動車グループの再起の可能性を探る。
新着記事
-
NEW
ホンダ・シビック タイプRレーシングブラックパッケージ(後編)
2025.11.9ミスター・スバル 辰己英治の目利きあの辰己英治氏が、“FF世界最速”の称号を持つ「ホンダ・シビック タイプR」に試乗。ライバルとしのぎを削り、トップに輝くためのクルマづくりで重要なこととは? ハイパフォーマンスカーの開発やモータースポーツに携わってきたミスター・スバルが語る。 -
アウディSQ5スポーツバック(4WD/7AT)【試乗記】
2025.11.8試乗記新型「アウディSQ5スポーツバック」に試乗。最高出力367PSのアウディの「S」と聞くと思わず身構えてしまうものだが、この新たなSUVクーペにその心配は無用だ。時に速く、時に優しく。ドライバーの意思に忠実に反応するその様子は、まるで長年連れ添ってきた相棒かのように感じられた。 -
MINIジョンクーパーワークスE(FWD)【試乗記】
2025.11.7試乗記現行MINIの電気自動車モデルのなかでも、最強の動力性能を誇る「MINIジョンクーパーワークス(JCW)E」に試乗。ジャジャ馬なパワートレインとガッチガチの乗り味を併せ持つ電動のJCWは、往年のクラシックMiniを思い起こさせる一台となっていた。 -
新型「日産エルグランド」はこうして生まれた! 開発のキーマンがその背景を語る
2025.11.7デイリーコラム日産が「ジャパンモビリティショー2025」に新型「エルグランド」を出展! およそ16年ぶりにフルモデルチェンジする大型ミニバンは、どのようなクルマに仕上がっており、またそこにはどんな狙いや思いが込められているのか? 商品企画の担当者に聞いた。 -
ジャパンモビリティショー2025(ホンダ)
2025.11.6画像・写真「ジャパンモビリティショー2025」に、電気自動車のプロトタイプモデル「Honda 0 α(ホンダ0アルファ)」や「Super-ONE Prototype(スーパーONE プロトタイプ)」など、多くのモデルを出展したホンダ。ブースの様子を写真で詳しく紹介する。 -
ジャパンモビリティショー2025(マツダ・ビジョンXコンパクト)
2025.11.6画像・写真マツダが「ジャパンモビリティショー2025」で世界初披露したコンセプトモデル「MAZDA VISION X-COMPACT(ビジョン クロスコンパクト)」。次期「マツダ2」のプレビューともうわさされる注目の車両を、写真で詳しく紹介する。
