第325回:「日産デュアリス」試乗
乗ったらビックリ、あらまーフランス車だった!?
2007.06.18
小沢コージの勢いまかせ!
第325回:「日産デュアリス」試乗乗ったらビックリ、あらまーフランス車だった!?
シートには愛があった
いやー、クルマと○×△は乗ってみなきゃわからないっていうけどホントだよね。いまさら珍しくもないシティ派コンパクトSUVの「日産デュアリス」。正直、期待はしてなかったんだけど乗ってビックリ、メチャクチャいいじゃないですか。ホント、今年の“予想外オブ・ザ・イヤー”にしたいくらいよ。おでれぇた。
まずオヤ? って思ったのがシート。表皮からして黒地に白点で日本車らしくないなぁと思ってたんだけど、座ってこれまた想定外。オシリが座面にズボッとオシリのカタチで沈み込んでくれて、背もたれと相まって優しく体を包み込んでくれる。うーん、キモチいい、愛を感じるなぁ。なんの感覚だっけ……と思い出したのは、フランス車のシート。そう、ルノーやプジョーのような柔らかくて、愛のあるシートなのだ。
それから走りよ。アクセルを踏み、走り出して気づくのが、ヤケに軽くてスムーズなステアリング。これがまた妙にキモチいいのだ。特にスポーツカー的フィードバックがあるわけじゃないんだけど、正確かつリニアな操舵感が普通によい。これまたプジョーっぽい。
さらに決定的なのは乗り心地よね。実は「メルセデス・ベンツCクラス」に試乗するために、東京から栃木のツインリンクもてぎまで往復300kmほど走ったんだけど、とにかく快適! フラットで張りがあり、硬すぎず柔らかすぎずの乗り心地で、これまたオレに言わせればフランス車的。具体的には高速でちょっとした大きめのうねりを超える時、前後サスが同時にフワっと上がるところがソレっぽい。マジで気に入りました。
日産+ルノーの成果
でね。つくづく思ったんだよね。いまさら珍しくもない海外生産のデュアリス。イギリスのサンダーランド工場で作られてることは前もって知ってたけど、コイツはつくづくそれがプラスに働いたんだなぁと。
たとえば、ダンパーはポルシェやメルセデスに使われているドイツのザックス製で日産と共同開発されたものだし、シートも日本ブランドだけど工場はフランス車用も作ってるとことか。そして勝手に一番効果的だと思ったのが、ヨーロッパ日産で働いているスタッフのセンス。別に日本人でも外国人でもどっちでもいいんだけど、ハッキリ言ってルノー文化に良い意味で影響を受けてるんではないでしょうか。
昔聞いたんだよね。ゴーン改革後、なんだかんだで日産社員はルノー文化を、ルノー社員は日産文化を学びあってるとこがあって、デュアリスにはおそらくそれがプラスに働いたに違いないのだ。
だからこのクルマをたとえ日産純血スタッフが作っていたとしても、そのマインドにはいわゆる“ルノーの血”が入ってるに違いない。要するに“日産製フランス車”なんである。たぶんね。間違ってたらスイマセンけど。
でもそう考えると、CVTらしくない回転の上がりかたとか、結構シブいインテリアの黒い樹脂だとかにも納得がいくのだ。ハッキリいって今までの日産車にはあり得ないテイストです。
おおざっぱに欧州価格の半額!
つまり考えようによってはドイツ車的ヨーロピアンテイストで名を馳せた初代「プリメーラ」の再来っつうか、“フランス車版”でもあって、そこが人気の秘密なんじゃないでしょうか。じゃなかったらヨーロッパで3ヵ月で6万台、日本でも2週間で6000台受注という人気は信じられないかも。
あとは値段だよね。オレがドイツで調べたところ、2リッターガソリンモデルは税込み2万2440ユーロで、ざっと計算すると340万円以上。それが日本じゃ200万円以下から売られてるんだからさ。そういう意味でも買いだよね。
唯一、今ひとつ心に響かないのはデザイン。「ムラーノのスモール版」と言われても、ムラーノ好きの俺にはえー? って感じ。そうは言っても慣れればそのアリクイみたいなスタイルもよく見えてくる。また、リアシートへのアクセスが悪いって話もあるけど、オレがちょっと乗った限りじゃ気づかなかった。
マジで今のイチオシですよ。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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