次期型「ホンダNSX」は、5.5リッターV10、550psでキマり!?
2007.06.10 自動車ニュース次期型「ホンダNSX」は、5.5リッターV10、550psでキマり!?
ドイツのテストコースに、次期型「NSX」と思われるテスト車が現れた。前回に続いて、米国で話題のスパイビデオから、そのパワーユニットを予想する。
■日本からの条件は「V10でFR」
ドイツのサーキット、「ニュルブルクリンク」のノルトシュライフェ(北フルコース)を疾走する、次期型「アキュラNSX」と思しきスポーツカー。
これまでの情報によれば、動力系で確実なのは、まず「V型10気筒」であること。これは、2007年1月の米国国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で「アキュラ・アドバンスド・スポーツコンセプト」が発表された際、福井威夫本田技研工業社長が明言したことだ。
「他モデルへの転用を考えれば、V8は妥当では?」という世界自動車業界からの疑問にピシャリと終止符を打ってくれた。
さらに、次期アキュラNSXはFR車である。これはアメリカホンダの米国人デザイナーが言い切っている。「このコンセプトモデルを作るにあたって、日本サイドからの条件は『V10を積むFR』、それだけだった」と。
では、ニュルでのスパイビデオをもう一度見てみよう。コース後半の「ミニカルーセル」コーナーの場面、3速全開と思われる加速音が聞こえる。それは決して、「F1ライクな甲高いサウンド」ではない。もちろん、アストンマーチンDBのV12ほどの甲高さもない。どちらかというと、メルセデス系スポーツモデルのような上級感を感じる音だ。
そのサウンドを放出するマフラーエンドは、コンセプトモデルに準じ、上下斜めに2本出しのデュアル。これは「レクサスIS-F」にも見られる手法。
マフラー内にエンジンの低中回転域と高回転域に応じた可変フラップがあるのではないか? 市街地走行での音量低減と燃費向上を狙っていると思われる。
■5.5リッター/550psは必然
今回のスパイビデオを掲載している米国大手の自動車ウエブサイト『edmunds.com』の記事では、V10ユニットについて「5.5リッター、550ps」説を唱えている。これまでホンダは公の場で、「5リッター以上」としか明言していない。
では、その排気量の決めどころは? 当然、最高出力値である。
昨今、世界のハイパフォーマンスモデルたちは「100ps/リッター」が常識化している。
既存のV10搭載車では、「BMW M5」が5リッター507ps、「ランボルギーニ・ガヤルド」が5リッター520ps、「ポルシェ・カレラGT」が5.7リッター612ps、「ダッジ・ヴァイパー」が8.4リッター(OHV)で600ps。
そうした図式から考えて、次期アキュラNSXは5.5リッターで550psという線は妥当である。ただ、気になるのはガチンコライバルのレクサスLF-A(量産車名は未定)の存在。トヨタは2005年の東京モーターショーにおいて「排気量は5リッター以下」と正式発表しており、その最高出力値をどこに設定する気なのか注目される。
この手のスーパーカーでは「最高出力値=商品価値」という面が大きい。となると、ホンダが次期アキュラNSXのV10で(エンジン本体への負担を少しでも減らしてハイパワーにするために)5.5リッター級に仕上げてくるのは当然であろう。
■シフトダウンはマイルド
さらに注目は、トランスミッション形式だ。独ゲトラク社の6段SMG(または、新型M3用の7段「M DCT」)のような、デュアルクラッチ式となるのかどうか。
スパイビデオのなかでは、1回だけシフトダウンする場面がある。コーナー半径から推測して4速から3速にダウンしていると思われるが、ブリッピング音(あおり音)の変動が意外にマイルドだ。
これは、ツインクラッチ式を採用した結果なのか、それとも、いわゆるトルコン式ATなのか。
ギアボックスの搭載位置は、レクサスLF-Aのようにリアデフ近くの配置になるのか? あるいは、SH(スーパー・ハンドリング)-AWD初のFRバージョンとして、トランスアクスル進化系になるのかもしれない。
いったい、320km/h以上の最高速を狙うという次期アキュラNSXは、スポーティ性とラクシャリー性をいかに融合させるのだろうか?
興味は尽きない。2010年モデルとしてのデビューが噂されており、ホンダの開発陣はこれからが正念場だ。
(文=桃田健史(IPN))
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