三菱アウトランダー G7人乗り(4WD/CVT)【試乗記】
オールラウンダー 2007.06.07 試乗記 三菱アウトランダー G7人乗り(4WD/CVT)……330万3050円
街乗り中心のSUVといわれる三菱アウトランダー。その電子制御4WDは、オフロードでどんな走りを見せるのか? 本格的なテストコースで試した。
4WD一本槍
三菱のSUVラインアップのなかで、妥協のないオフロード性能を目指したクルマが「パジェロ」で、現行型ではそのオンロード性能の高さも見逃せないが、少なくとも日本国内ではそこまでのオフロード性能を求めないユーザーは多いだろう。そこで、オンロード性能を重視して開発されたのが「アウトランダー」である。
とはいえ、2輪駆動モデルを用意していないあたりはパジェロの弟分としての意地がうかがえるところ。アウトランダー全車に搭載される4WDは、電子制御カプリングを用いるもので、いまや非常にポピュラーな方式である。アウトランダーの場合、前後にトルクを配分する電子制御カプリングをリアデフと一体化。運転状況にあわせて、電子制御カプリングに与える電流を変えることで、前後トルク配分をリアルタイムにコントロールしているのだ。
通常はFFに近い特性を持ち、たとえば、乾燥したアスファルト路面を80km/hで巡航する場合には前85:後15に駆動力を配分する一方、圧雪路を全開加速する場面では前40:後60という具合にリア寄りの配分になる。
また、室内のスイッチ操作で、「2WD」「4WD」「4WDロック」の3モードを切り替えることが可能。2WDでは後輪にトルクを配分しないFFの状態、4WDロックはほぼ直結状態を、電子制御カプリングの操作によりつくりだす。ちなみに、2WDモードに対して4WDモードの燃費は約1%の悪化に留まるということで、ふだん使うとき、あえて2WDモードを選ぶメリットはないようだ。
コーナーで光るヨンクの利点
そんな特徴を持つアウトランダーの4WDシステムを、オフロードコースで試すことができた。
まず手始めに急な坂を登ってみる。2WDモードでも登ることができたが、ときおり前輪がズ、ズッと空転しているのがわかる。これは、坂道のため、フロントアクスルの荷重が足りず、しかも、アスファルトに比べると路面が滑りやすいために、十分なトラクションが得られないからだ。そこで今度は4WDモードに切り替えてチャレンジすると、舗装路と変わらない感覚で、いとも簡単に急坂を登り切ってしまった。荷重の増えたリアにトルクが配分されたおかげで、4輪で十分なトラクションを得られたのだ。
コーナーでも4WDのアドバンテージは明らかである。2WDモードでは、コーナリング中にアクセルを踏んでしまうと、前輪が空転を始めて、ラインは膨らむ一方。ドライバーにはひたすらガマンが求められる。4WDモードに切り替えたところで回頭性に変わりはないが、向きが変わりかけたあたりでアクセルを踏んでいくと、一瞬ノーズが外に膨らんだあと、すぐに軌道は修正されて、4輪がグリップを失うことなくコーナーを抜けることができた。
同じステージで乗ったパジェロに比べると機敏さこそないが、オフロードを積極的に走るうえで必要な高いトラクションや安定感がドライバーに伝わってきたアウトランダー。もちろんその性能は、雪道や雨の高速といった悪条件で運転するときにもドライバーを支えてくれるわけで、オンロード重視のSUVとはいえ、オールラウンダーな性格を見せつけてくれた。
(文=生方聡/写真=高橋信宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
NEW
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
NEW
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
NEW
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】
2026.3.5試乗記スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。 -
NEW
ホンダ・インサイト
2026.3.5画像・写真4代目はまさかの電気自動車(BEV)! ハイブリッドからBEVへ、4ドアセダンからSUVへと変身して、「ホンダ・インサイト」が復活を遂げた。ドアトリム/ダッシュボードヒーターにアロマディフューザーと、新たな快適装備を満載したその姿を、写真で紹介する。





























