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【スペック】全長×全幅×全高=4640×1800×1680mm/ホイールベース=2670mm/車重=1620kg/駆動方式=4WD/2.4リッター直4DOHC16バルブ(170ps/6000rpm、23.0kgm/4100rpm)/価格=266万7000円(テスト車=330万3050円)

三菱アウトランダー G7人乗り(4WD/CVT)【試乗記】

オールラウンダー 2007.06.07 試乗記 生方 聡 三菱アウトランダー G7人乗り(4WD/CVT)
……330万3050円

街乗り中心のSUVといわれる三菱アウトランダー。その電子制御4WDは、オフロードでどんな走りを見せるのか? 本格的なテストコースで試した。
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4WD一本槍

三菱のSUVラインアップのなかで、妥協のないオフロード性能を目指したクルマが「パジェロ」で、現行型ではそのオンロード性能の高さも見逃せないが、少なくとも日本国内ではそこまでのオフロード性能を求めないユーザーは多いだろう。そこで、オンロード性能を重視して開発されたのが「アウトランダー」である。

とはいえ、2輪駆動モデルを用意していないあたりはパジェロの弟分としての意地がうかがえるところ。アウトランダー全車に搭載される4WDは、電子制御カプリングを用いるもので、いまや非常にポピュラーな方式である。アウトランダーの場合、前後にトルクを配分する電子制御カプリングをリアデフと一体化。運転状況にあわせて、電子制御カプリングに与える電流を変えることで、前後トルク配分をリアルタイムにコントロールしているのだ。

通常はFFに近い特性を持ち、たとえば、乾燥したアスファルト路面を80km/hで巡航する場合には前85:後15に駆動力を配分する一方、圧雪路を全開加速する場面では前40:後60という具合にリア寄りの配分になる。

また、室内のスイッチ操作で、「2WD」「4WD」「4WDロック」の3モードを切り替えることが可能。2WDでは後輪にトルクを配分しないFFの状態、4WDロックはほぼ直結状態を、電子制御カプリングの操作によりつくりだす。ちなみに、2WDモードに対して4WDモードの燃費は約1%の悪化に留まるということで、ふだん使うとき、あえて2WDモードを選ぶメリットはないようだ。

ジャーナリストの生方聡
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センターコンソールにある「ドライブモードセレクター」。走行状態に応じて「2WD」「4WD」「4WDロック」の3つのモードを選択できる。また、走行中の切り替えも可能。
センターコンソールにある「ドライブモードセレクター」。走行状態に応じて「2WD」「4WD」「4WDロック」の3つのモードを選択できる。また、走行中の切り替えも可能。 拡大

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コーナーで光るヨンクの利点

そんな特徴を持つアウトランダーの4WDシステムを、オフロードコースで試すことができた。

まず手始めに急な坂を登ってみる。2WDモードでも登ることができたが、ときおり前輪がズ、ズッと空転しているのがわかる。これは、坂道のため、フロントアクスルの荷重が足りず、しかも、アスファルトに比べると路面が滑りやすいために、十分なトラクションが得られないからだ。そこで今度は4WDモードに切り替えてチャレンジすると、舗装路と変わらない感覚で、いとも簡単に急坂を登り切ってしまった。荷重の増えたリアにトルクが配分されたおかげで、4輪で十分なトラクションを得られたのだ。

コーナーでも4WDのアドバンテージは明らかである。2WDモードでは、コーナリング中にアクセルを踏んでしまうと、前輪が空転を始めて、ラインは膨らむ一方。ドライバーにはひたすらガマンが求められる。4WDモードに切り替えたところで回頭性に変わりはないが、向きが変わりかけたあたりでアクセルを踏んでいくと、一瞬ノーズが外に膨らんだあと、すぐに軌道は修正されて、4輪がグリップを失うことなくコーナーを抜けることができた。

同じステージで乗ったパジェロに比べると機敏さこそないが、オフロードを積極的に走るうえで必要な高いトラクションや安定感がドライバーに伝わってきたアウトランダー。もちろんその性能は、雪道や雨の高速といった悪条件で運転するときにもドライバーを支えてくれるわけで、オンロード重視のSUVとはいえ、オールラウンダーな性格を見せつけてくれた。

(文=生方聡/写真=高橋信宏)


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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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