全長×全幅×全高=4525×1815×1450mm/ホイールベース=2760mm/車重=1690kg/駆動方式=FR/3リッター直6DOHC24バルブツインターボ(306ps/5800rpm、40.8kgm/1300-5000rpm)/価格=688.0万円(テスト車=721.0万円)
BMW335iツーリング(FR/6AT)【ブリーフテスト】
BMW335iツーリング(FR/6AT) 2007.05.03 試乗記 ……721万円総合評価……★★★★
新世代ストレート6を積んだ「BMW335iツーリング」。サルーンに負けないスポーティさをもつワゴンとは?
それでもほしい
フルモデルチェンジした3シリーズクーペに真っ先に搭載され、3リッターストレート6の新たな可能性を見せてくれたガソリン直噴ターボエンジン。排気量は3リッターながら、自然吸気を上まわる性能を持つことから、モデル名は「335i」になる。実際には4リッターV8とほぼ同じ出力/トルクを誇り、「340i」といっても文句のないレベルであるのはすでに報告済みだ。
そのハイパフォーマンスユニットがサルーンやツーリング(ステーションワゴン)に展開されたのは、ファンにとってはうれしいかぎり。私自身も、“買うならツーリング”派(!?)なので、このクルマに試乗できるのを楽しみにしていた。
実際に乗ってみると、クーペに引けを取らないスポーティさはBMWの面目躍如。とくにワインディングロードではスポーツワゴンとしての資質の高さを見せつけてくれた。そのぶん、一般道における快適性が多少犠牲になるが、それでもほしいと思わせる魅力がこのクルマにはある。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
3シリーズのツーリング(ワゴン)は、2005年10月に2.5リッター直6を積む「325iツーリング」が導入され、翌年5月に2リッター直4モデル「320iツーリング」を追加した。
2006年10月26日、BMWとして初の直噴ツインターボを搭載したワゴン「335iツーリング」を発売。3シリーズ最高と謳われるパワーは306ps/5800rpm、トルクは40.8kgm/1300-5000rpm。トランスミッションはレスポンスの速い6段ATを搭載する。
(グレード概要)
テスト車は「M-Sportパッケージ」を備える最上級モデル。アクティブステアリングやアダプティブヘッドランプ、ダコタ・レザーインテリア(シート/ドア内張)、シートヒーティング(前席)、ランバーサポート(前席/電動調整式)などを標準装備。「M-Sportパッケージ」がオプション装備されるため、ステアリングホイールにパドルシフトが備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
センターパネルをドライバーに向けて、いかもにコクピットという雰囲気をつくりだすインテリアは、もちろんこの335iツーリングにも健在だ。大きくシンプルなアナログメーターは見やすく、落ち着いた印象を与える。
装備充実の335iツーリングでは、iDriveナビが標準で装着される。おかげでセンターパネルのデザインがすっきりしているが、ディスプレイがセンターの奥まったところにあるため、やや遠く感じるのが気になる。
レザーシートやアクティブステアリングは標準で、さらに試乗車は「M-Sportパッケージ」装着モデルということで、ブラッシュ仕上げのアルミニウムパネルやMスポーツのロゴ入りステアリングホイール、スポーツシートなど、スポーティな印象を盛り上げるアイテムが盛りだくさんだ。
(前席)……★★★★
レザーのスポーツシートは、スライド、リクライニング、ハイト、ランバーサポートに加えて、サイドサポートも電動調節式。サイドサポートは最もゆるい状態でも適度にタイト感があり、ワインディングロードに繰り出すときなどに締め付けてやれば必要なサポートが得られる。手動だが、座面が伸ばせるのもうれしい配慮だ。
握りの太いMスポーツステアリングホイールはパドルシフト付き。表から押すとシフトダウン、裏から押すとシフトアップで、左右どちらでも操作できる。個人的には左がシフトダウン、右がシフトアップという具合に、左右で機能が違うタイプが好きなのだが、BMW方式は片手で操作できるメリットがあり、しばらく操作していたら違和感は薄れてきた。
(後席)……★★★
4.5m強のFR車としては、まずまずの広さといえる後席。足元や膝のまわりなどには必要なスペースが確保され、また、身体を包み込むように高いバックレストが安心感をもたらしている。
試乗車にはオプションの電動パノラマガラスサンルーフが装着されていた。開放感が高いのはいいが、そのぶんヘッドルームが削られ、背の高い人は窮屈に感じるかもしれない。
(荷室)……★★★★
このクラスのワゴンとしては、ラゲッジスペースはとりたてて広いわけではない。しかし、使い勝手はなかなかいい。
後席は6:4の分割可倒式。ラゲッジカバーのケースにはラゲッジネットが収納されており、リヤシートまたはフロントシートの背後で引っ張り出して使うことができる。独立開閉式のリヤウィンドウは、テールゲートを閉めたままでも荷室にアクセスできるのが便利で、リヤウィンドウを開けると同時にラゲッジカバーが部分的に開くのはアイデア賞もの。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
BMWが“4リッターエンジンクラスのパワー”と豪語するとおり、アイドリング直後からレブリミットの7000rpmまで、とにかく力のあるエンジンだ。ターボなのに、アクセル操作に対するレスポンスの遅れはほとんど見られず、自然吸気エンジンのようなふるまいはお見事である。
ふだんは2000rpm以下で事足りてしまい、トルクに余裕があるから不必要にシフトダウンしなくても加速を終えてしまうのは頼もしいかぎり。いざとなればどこからでも力強く回転を上げていく。最大トルク40.8kgm/1300-5000rpmというフラットな特性にもかかわらず、トルクの盛り上がりが感じられるような味付けもニクイ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
標準では前後とも「225/45R17」のランフラットタイヤが装着される335iツーリングだが、Mスポーツパッケージではリヤが「255/40R17」(ランフラット)にサイズアップされ、さらにスポーツサスペンションも奢られるため、乗り心地は硬めで、低速では路面の荒れを拾いがちだ。
しかし、スピードが上がるにつれてそれは和らぎ、高速を巡航する場面では重厚な乗り心地のほうが目立ってくる。
締め上げられた足まわりのおかげで、ワインディングロードでは、かなりのハイペースでも思いどおりのラインをトレースすることができる。標準装着のアクティブステアリングは、ノーマルのパワステに比べれば操舵力は軽いものの自然なフィーリング。できることなら全グレードに標準化してほしい。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年4月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:5127km
タイヤ:(前)225/45R17(後)255/40R17(いずれも、ブリヂストンPOTENZA RE050A)
オプション装備:M-Sportパッケージ(33.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:601.7km
使用燃料:81.69リッター
参考燃費:7.37km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。






























