「長時間のエンジンブレーキはクルマにダメージを与える?」
2007.04.07 クルマ生活Q&A エンジン「長時間のエンジンブレーキはクルマにダメージを与える?」
通勤路に山道があり、下り坂でエンジンブレーキを長時間使用します。燃料がカットされるせいか、スポーティカーにしては燃費がいいのですが、エンジンブレーキの多用でエンジンに悪影響を与えていないか心配です。問題はないのでしょうか?
お答えします。まず、エンジンブレーキを使用していても、完全に燃料カットされることはありません。なぜかというと、まったく燃焼していないと排ガスの温度が下がってしまい、触媒が働かなくなる恐れがあるからなのです。約350度以上の温度でないと、触媒は十分に性能を発揮できないのです。
長時間のエンジンブレーキですが、やはりエンジンに負担をかけることにはなります。たとえばギアを1段下げることでエンジンの回転数が2000rpmから3000rpmに上がったとすれば、その分だけ多くピストンとシリンダーが擦れ合うわけですから、傷みが早くなるのは確かです。
また、スロットルバルブが閉じていると、空気の流入が阻害されます。するとバルブステムの隙間などから空気を吸い込もうとして、オイルが一緒に燃焼室に入り、燃えてしまうこともあります。
ただ、どちらにしても現在のエンジンはよほど弱った状態でない限り、多少エンジンブレーキを使ったぐらいではすぐに壊れてしまうことはありません。とはいえ、もともとエンジンブレーキは補助的な役割なのですから、フットブレーキを併用するのが基本です。バランスよく運転しましょう。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。