MINI クーパー(FF/6AT)/クーパーS(FF/6MT)【試乗記】
新型だってわからなくてもいい 2007.02.23 試乗記 MINI クーパー(FF/6AT)/クーパーS(FF/6MT)……274万1000円/330万9000円
独自路線のコンパクトプレミアムカー「MINI」がフルモデルチェンジ。エンジンをすべてBMW製としつつ、キープコンセプトのデザインを取り入れた“モダンMINI”の2代目を早速チェックした。
ひたすら踏襲
MINIの日本での人気は衰えていない。
日本では2002年の3月2日(ミニの日)に発売され、同年に1万24台を販売。2005年の1万3602台まで右肩上がりでのび、モデル末期となった2006年でも1万3184台を記録した。
思うに、まだまだ売れるであろう従来型MINIだが、そんななか、フルモデルチェンジされた新型に課せられた課題は「衝突時の歩行者保護」と「環境(燃費)対策)」である。先代よりのびた全長が、新エンジンの搭載と衝突時のスペース確保という意味を持っているわけである。
エクステリアはごらんのとおり、先代と見分けがつかないほど。「フロントのウインカーランプがヘッドライト内に収まった」「テールランプ、リアフォグランプの形状が違う」など識別点は微少。
インテリアも巨大なセンタースピードメーターや、トグルスイッチなど、オリジナルMINIのアイコンがひたすら踏襲された。
ヒルアシストは新たに備わった機能。上り坂などでブレーキペダルから足を離してもおよそ2秒間車両を制止させるシステムだ。
女性にも人気の高いMINIだけに、坂道発進を苦手とするドライバーにはうれしいところだろう。
腕で感じるゴーカートに
まずは「クーパー」に乗る。搭載する1.6リッターNAエンジンは、BMW製のバルブトロニック(可変バルブ制御システム)を取り入れた新設計のもの。
先代では約6割の人が選んだというこのグレードは、トランスミッションをCVTからステップトロニック付きの6ATに改めた。CVT特有の騒音がなくなり、手動で変速できるようになったことは美点。しかしステアリングホイールの裏と表に分けて配置されたパドルスイッチは、使いやすいとは言い難い。
走り初めてまず、乗り心地がよくなったことに目を見張る。自動車専門誌『NAVI』編集部の長期リポート車である「MINIクーパーコンバーチブル」をはじめ、先代の各グレードに試乗したことがあるが、長距離はもちろん、町乗りでも腰を痛めそうな硬い足まわりに、腰痛もちのリポーターは閉口したものだ。「まあゴーカートフィーリングだからしょうがないか」とあきらめてはいたのだが。
今回の試乗会は石畳の駐車スペースからスタートした。それをねらったのかどうかはわからないが、乗ってすぐに低速でのダンピングのよさを見せつけられることになった。
その後撮影のために首都高速で移動、路面の継ぎ目が多い道を走ると、先代に比べて明らかに乗り心地が向上しているのがわかる。
それでいて、ステアリング操作に素早く反応する、まさに“ゴーカートフィーリング”の味付けは健在。すべてのグレードに採用される電動パワステ「EPAS」がそれをじゃますることもない。以前は車庫入れなどでも重かったステアリングに、「これもゴーカートか」と思ったものだが、低速ではアシストの増大により、軽く切ることができる。
以前は腰に感じていたゴーカートフィーリングが、今作では腕で感じることができるようになったのはうれしいところだ。
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トルクフルで燃費もいい
次にクーパーSに乗り換える。
なんといってもこちらは新たに採用された1.6リッター+ツインスクロールターボユニットが見所。タービンに2ヶ所から排圧を導入することで、低回転からのレスポンスも確保するという仕組みで、最大トルクである24.5kgmを1600rpmから発生する。幅広いトルクバンドは怠惰なシフト操作も受け入れてくれ、ボディを楽々と引っ張っていく。
なお、カタログ燃費がNAユニットよりも良好という点も見逃せない。
クーパーSには標準でスポーツサスペンションが採用される。さらに試乗車には17インチのランフラットタイヤ(オプション)が装着されていた。それでも乗り心地はさして悪くはない。強引にフラットな姿勢に戻すようなダンピングではなく、ボディをやわらかく動かして足下でショックを収めるイメージだ。
ハンドリングに関してはクーパーとほぼ同様な印象。
総じて、新型はまさに正常進化。良くなってほしいところが良くなったといえる。
ただ心配なのは、実際にMINIを買う人たちは指名買いが多そうなので、そこを気にするのかどうか……。新型だってわからないで買う人もでてきそうだ。
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=高橋信宏/2007年2月)

本諏訪 裕幸
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