ボルボC70(FF/5AT)/C70 T-5(FF/5AT)【試乗記】
オープンエアモータリングに「安心」を 2007.02.16 試乗記 ボルボC70(FF/5AT)/C70 T-5(FF/5AT)……518万4000円/614万4000円
フルモデルチェンジを果たした「C70」は、電動ハードトップを採用したクーペカブリオレとなった。2つのエンジンを乗り比べ、軍配が上がったオススメグレードは……?
“CC”70!?
これまでのC70がクーペとカブリオレの2本立てだったのに対し、新型は3分割リトラクタブルハードトップを備えるクーペ・カブリオレになった。C70より“CC”70というほうがわかりやすいかもしれない。
名前の話題を続けると、このクルマは「70」といいながらも、ベースとなるのはS40/V50シリーズ。「数字はあくまでサイズを表す目安」とボルボが説明するように、新型C70は、V50よりひとまわり大きい全長4580×全幅1835×全高1405mmのボディを手に入れることになった。それでも、旧型に比べると全長は135mmも短い。
ラインナップは2.4リッター直列5気筒自然吸気エンジンを積む「C70」と2.5リッター直列5気筒ターボの「C70 T-5」のふたつで、いずれも前輪駆動を採用。今回は両方のモデルに試乗することができた。
ところで、「ボルボといえば安全」というくらい、そのこだわりようには頭が下がるが、このC70にもその思想は現れている。
なかでも目新しいのが、ドア内蔵インフレータブルカーテン。オープンモデルゆえに天井内蔵型のカーテンエアバッグが装着できないため、代わりにドアから上方向に飛び出すエアバッグを内蔵したのだ。これにより、側面衝突時に加えて横転時にも乗員の頭部を保護することができる。
また、横転時には後席背後にある「ROPSバー」が飛び出し、ロールバーの役目を果たす。その際、ルーフが閉じられた状態ならROPSバーがリアガラスを突き破るというのも、安全を第一に考えるボルボらしい発想といえよう。
ワインディングロードも楽しめる
さっそくハードトップを開けてドライブに出かけよう。コンソールのスイッチを押したまま待つこと約30秒、頭上はグレーのルーフライニングから真っ青な空に一転した。
はじめに試したのは自然吸気ユニットを積むC70。カタログを見ると、エンジンの最高出力は140ps/5000rpmと、2.4リッターとしてはやや控えめな数字が記載されている。1720kgのボディには非力ではないかと心配したものの、いざ走らせてみるとそれが取り越し苦労だというのがわかる。余裕たっぷりとはいかないにしても、低回転から必要十分なトルクを発揮するエンジンは、発進も軽やかで、ふだん多用する2000rpmから3000rpmあたりのレスポンスも悪くない。アクセルペダルを大きく踏み込めば、4000rpm付近をピークにほどよい加速を見せてくれる。力強いとはいえないが、日本の道路環境なら不満のないレベルである。
感心したのは、C70のマイルドな乗り味だ。装着されていた215/50R17タイヤ(標準は215/55R16)はたまたま真円度が低かったものの、サスペンションのセッティングは快適指向で、一般道を法定速度で流すかぎりは心地よさが光っていた。その程度の速度なら、風の巻き込みも少なく、助手席との会話もごく自然に交わすことができる。コーナーリングもなかなか軽快で、ワインディングロードを楽しめるだけのハンドリングを備えていた。
オープン時でもボディはしっかりしているが、ルーフを閉めるとさらにボディ剛性が高まる印象。ただ、路面によってはルーフからキシミ音が聞こえることがあり、そのあたりはリトラクタブルハードトップという割り切りが必要といえる。
狙いはベーシックグレード
一方、ハイパワー版のC70 T-5は、1500rpmから4800rpmで最大トルクの32.6kgmを発揮するだけあって、2.4リッターNAより明らかに力強い加速を見せる。とくに3000rpmを超えたあたりからの余裕はボディの重さを忘れさせるほどだ。
ただし、エンジンのパワーアップにともない、足まわりはややハードにチューニングされ、タイヤも235/40R18(標準は215/50R17)にインチアップされたために、乗り心地はC70ほど快適ではなく、また硬いぶんだけ、クローズ時のキシミ音が目立ってしまう。
というわけで、全体のバランスを考えると、ベーシックグレードのC70が好印象。さらに、このグレードは価格も魅力的だ。実際、C70 T-5の545万円に対し、C70は469万円という設定である。
このセグメントでもっとも売れているライバル、BMWの新型3シリーズカブリオレ(335iカブリオレ/3リッター306ps)は783万円とかなり高価。同様の3分割ルーフを備える「フォルクスワーゲン・イオス」(2.0T/2リッターターボ200ps)が438万円からラインナップされることを考えると、140psながら2.4リッターのC70はお買い得感がある。
とびきりスポーティではないが、オープンエアモータリングの快適さとクーペの優雅さを求めるなら、このC70はまさに適役。ボルボならではの安心を感じながら、時間と風の流れをのんびり楽しむには格好の一台となるだろう。
(文=生方聡/写真=郡大二郎/2007年2月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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