シトロエンC6 3.0i V6(FF/6AT)【海外試乗記(前編)】
孤高の存在(前編) 2005.12.27 試乗記 シトロエンC6 3.0i V6(FF/6AT) 2005年のジュネーブショーでデビューしたシトロエンのフラッグシップ「C6」。大胆なエクステリアデザインが印象的な新型に試乗した。
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ちょっとブス顔
最初に写真を目にした時点で、「わっ、やっちゃったなシトロエン!」と思った。その後、フランクフルトショー、そして東京モーターショーで実車を目のあたりにした時には、「これって、写真よりもさらにエグいじゃん!」とそのように感じたものだ。
しかし、こうしてホテルのエントランスに20台の「シトロエンC6」がズラリと並ぶというその光景を目にすると、まるで何かその一帯だけが“異空間”にワープをしてしまったかのようでもある。
そう、「XM」亡き後の久々のフラッグシップポジションに帰ってきたC6のルックスは、それはそれは写真で見せられる以上に“キテレツ”なものだったのである。
まるで“鯨のおでこ”のようにツルンとスラントしたノーズ部分の中央には、歯車をかたどった例の大きなシトロエンマーク。そこから伸びた光モノの水平バーが、フェンダー部分へと食い込むようにデザインされた左右端のヘッドライトユニットへつながるというこのクルマのフロントマスクは、はっきりいって「ちょっとブス顔」だと、僕は思う。
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常識を覆す安全性
しかしまぁ、そうして美形などを気取らないところがシトロエンらしさでもあるのだろう。そしてきっと世の中の多くのシトロエンファンたるもの、こうしてちょっと“ギョッ”とさせられないと満足できない(?)という気持ちを、きっとどこかに抱いているに違いない。
ちなみにこのクルマのフロントフードには、万一の歩行者との衝突の折には瞬間的にそれを持ち上げ、硬質なエンジン部品との直接接触を回避して致命傷の可能性を低減させるというポップアップテクノロジーが採用されている。そのせいもあり、先日発表された最新のユーロNCAP(衝突安全性評価)では、このモデルは歩行者保護の項目で初の4つ星最高評価を獲得! 乗員評価でも最高の5つ星、子供保護性能でも4つ星をゲットと、安全性ならドイツ車かスウェーデン車という常識(?)を覆す結果を生み出している。ちょっとばかりヘンには見えても、“鯨のおでこ”はすこぶる賢いのだ。
こんなセダン、見たことない
アーチ型ルーフラインは、いわゆる“ひと筆書き”風処理の、昨今の流行ともいえそうなモチーフ。しかし、それがベルトラインへと降り立った部分にテールレンズを直結! という処理を用いるとなると、これもまた大胆そのものというしかない。
おかげで、サイドビューではリアデッキ部分がほとんど見えないファストバック調のプロポーションを演じるにもかかわらず、実際にはトランクリッド上にしっかりとフラットなデッキ処理が与えられている。そんなトリックを実現させたのが、後方から大きくえぐられたカタチのインバース形状のリアウィンドウ。いやいや、やっぱりこんなセダンのデザイン、今までどこにも見たことない……。
かくも大胆なエクスリテアデザインの仕上がりぶりから、「こちらもさぞかし」と身構えて乗り込むと、しかしC6のインテリアはさほど突拍子もないデザインの持ち主というわけではなかった。(後編に続く)
(文=河村康彦/写真=シトロエン/2005年12月)
・シトロエンC6 3.0i V6(FF/6AT)【海外試乗記(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017637.html

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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