サーブ9-3スポーツエステート【海外試乗記(前編)】
クールな爽快感(前編) 2005.08.31 試乗記 サーブ9-3スポーツエステート セダンから遅れること約2年半。2005年のジュネーブショーでデビューした「サーブ9-3スポーツエステート」。北欧の新型ワゴンに乗った。魅力的なデザイン
「モダン」「スカンジナビアン」「エアクラフト」。サーブを特徴づける要素として、説明をうけた。本社と工場があるトロールハッタンのデザインセンターにて。
サーブとオペルのデザインを統括するアンソニー・ロー氏が語ってくれる。「機能美とシンプルで純粋なデザイン、それに同社の遺産であるヒコーキの要素を付加することが大切です」。具体的には、「たとえば室内の間接照明。緑の光。コクピットの雰囲気」。ブリーフィングルームの前方に投影さるスライドが変えられた。「素材、コンストラクション、軽量……」。スクリーンには、横を向いた戦闘機、サーブ・ビゲンが映っている。
部屋の外に、「サーブ 9-3スポーツエステート」が置かれていた。2005年3月のジュネーブショーで披露されたブランニューモデルである。
セダンに遅れることおよそ2年半。9-3のワゴン版は、あたかもそれが本来の姿であるかのように、まったく自然に、魅力的に、リポーターの目に映った。開発に先立ってデザインがスタートしたのは、セダンと同じタイミングだったという。
ヒコーキの取っ手
2675mmのホイールベースに、全長×全幅×全高=4654×1762×1507mmのすっきりしたボディが載る。レガシィツーリングワゴンと同等のサイズだ。9-3セダンより、20mm長く、40mm高い。空気抵抗を測る目安のひとつ、Cd値は0.33と優秀なもの。前後軸ともゼロリフトを実現したのがジマン。
デザイン上のハイライトは、氷から削り出したような、白いリアのコンビネーションランプ。ハッチゲートはアルミでつくられる。リアガラスだけ開閉することはできない。
サーブのデザインチームは、リアのオーバーハングが延びて、デザイン上の重心が後ろに移るのを嫌った。そのため、Dピラーは“ホッケースティック”状に曲げられ、するどく前方に傾斜し、進行方向へのダイナミックさが演出された。
ハッチを開けて、ニッコリ。荷室のフロアに、ヒコーキを型どった取っ手が埋め込まれている。メタル製。
フロアは二重になっていて、床下収納を活用することも、“ヒコーキ”で引き上げて2つに折れたフロアを、仕切りとして使うことも可能だ。荷室は5人乗り状態で、床面幅が993mm、奥行き1010mmである。(後編へつづく)
(文=webCG青木禎之/写真=ゼネラルモータース・アジアパシフィック・ジャパン/2005年8月)
・サーブ9-3スポーツエステート【海外試乗記(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017101.html

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。