スバル・レガシィB4 3.0R Spec.B(4WD/6MT)【試乗記】
ツーリングカーとして正しい選択 2006.09.06 試乗記 スバル・レガシィB4 3.0R Spec.B(4WD/6MT) ……383万2500円 マイナーチェンジで取り入れられた「SI-DRIVE」が話題となっている「レガシィ」シリーズ。その評価は高いが、じつは組み合わされるエンジンによって相性の善し悪しがあるという。「ノーマル」がないのが今日的
「それってダイヤルつきですよね?」
新型「レガシィ」のインプレッションを依頼されたとき、電話口で思わずこういってしまった。
今度のレガシィは「SI-DRIVE」と名づけられたテクノロジーがアピールポイントのひとつ。エンジンのスロットル特性やATの変速プログラムを、センターコンソールのダイヤルで3つのモードから自由に選べる。でも電話で話したときは、まだSI-DRIVEという言葉が頭の中に登録されていなかったので、思わずダイヤルといってしまった。
この種のテクノロジーはヨーロッパ車ではいくつか採用例が見られるが、その多くはノーマルとスポーツの2モードだ。しかしSI-DRIVEはノーマルがなく、「I」(インテリジェント)、「S」(スポーツ)、「S♯」(スポーツ・シャープ)の3段階になる。スロットル開度を抑えることで経済性能、環境性能を向上させる「I」モードを用意している点が今日的だ。
SI-DRIVEは、3リッター水平対向6気筒と2リッター水平対向4気筒ターボエンジン搭載車に装備されており、ツーリングワゴン、B4、アウトバックのすべてのボディで選べる。今回乗ったのはB4の3.0RスペックB、6段MTだったが、その後ツーリングワゴン2.0GTスペックBの5段ATにも乗ったので、その印象を交えながら綴っていく。
扱いやすいダイヤル操作ロジック
まず、新型のキモであるSI-DRIVEだが、自然吸気エンジンのほうが、メリットを発揮しやすいと感じた。
ターボエンジンの2.0GTで「I」モードを選んでも、ライトプレッシャーターボになることはなく、スロットルレスポンスが鈍くなるだけなので、むしろフレキシビリティが低下したような印象を受ける。その点自然吸気の3リッター・フラット6は、昔の希薄燃焼エンジンのような反応の鈍さは感じるものの、パワーやトルクの出方が丸くなるので、リラックスしてドライブできる。
もちろん「S」モードを選ぶとレスポンスが格段によくなり、4000rpmあたりから上でのなめらかな吹け上がりが心地よい。今回のマイナーチェンジでは低中回転域のトルクを向上させたとのことだが、その反動で高回転の爽快感が失われるようなことはなかった。そして「S♯」ではさらにレスポンスが鋭くなるが、こちらは街中では過敏すぎるという印象だ。
2.0GTでは「I」モードに不満を持ったが、3.0Rにおいては3つのモードの住み分けはうまくできていると感じた。
この業界にいながら、速く走ることにそれほど興味がない僕は、「I」モードに入れっぱなしで不満がなかった。こうやって走れば、燃費も向上するだろう。そしてもうひとつ、左に回して「S」、右で「S♯」、押して「I」というダイヤルの操作ロジックは、最近とみに増えてきたセンターダイヤルのなかでは、群を抜いて扱いやすかった。
乗り心地、ハンドリングが向上
SI-DRIVE以外で、新型レガシィで印象に残ったのは、乗り心地が良くなったことだ。とくにスペックBと名のつくモデルは、以前はガチガチだったが、新型では街中でも鋭い突き上げをうまくかわしてくれる。ハンドリングも、しっとりした接地感が味わえるようになったことで安心感がアップしたし、限界を迎えたときのすべり出しは穏やかになっている。
現行型がデビューしたとき、スバルは軽量ボディがもたらす走りの良さをウリにしていた。ところが今回のマイナーチェンジでは、乗り心地を良くするためにスプリングやダンパーのレートを見直しただけでなく、重量増を覚悟でボディ各部の補強を行い、剛性を高めたという。この選択は正しいと思う。
乗り味の上質感は、重量と比例することが多い。スバル・レガシィは「ロータス・エリーゼ」のようなスポーツカーではなく、長距離を快適に移動するためのツーリングカーなのだから、やみくもに軽量化を追求する姿勢から脱却した今回の改良は歓迎できる。
それだけに、シートは残念だ。フロントはクッションの厚みが感じられず、シートバックのサポートは甘い。リアはクッション高はたっぷりしているのだが、シートバックが寝過ぎているので、腰が前にずれてきてしまう。どちらも1時間も乗っていると休憩したくなる。
もう少しシートにお金をかけてあげれば、SI-DRIVEの「I」モードや、車重を増やしてまで得た快適な乗り心地が、さらに引き立つはずだ。そもそも自動車は、座りながら移動する乗り物なのだから。
(文=森口将之/写真=高橋信宏/2006年8月)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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