オペル・ヴィータ【海外試乗記】
『まじめに階段を上がる』 2000.09.12 試乗記 オペル・ヴィータ海外試乗速報 「154万円!」という内外価格格差の小ささで話題をまいたオペルの小型車、「かわいい」ヴィータ。7年ぶりに登場したニューモデルに、web CGエグゼクティブディレクター大川 悠が乗ってきた。男も乗れる新型ヴィータ
ヨーロッパではコルサ、日本ではヴィータたる小型オペルの新型の狙いは、ずばり「洗練化とジェンダーの超越」だった。特に日本では、最初から女性市場をかなり狙ったマーケティングによって、何となく男性が乗りにくいような印象があったが、「今度のモデルは、今までの女性客もきちんと掴みつつも、男性的なイメージの強化も意識的にした」との児玉英雄デザイン・ディレクターの言葉どおり、若い男が乗っても恥ずかしくないデザインと、相応の走りを得ている。
EUの発祥地、マーストリヒトで行われた試乗会に参加した感想を総括するとこうなる。
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半回り大きなボディで半クラス・アップ
Bコルサと呼ばれた先代のイメージをうまく生かしながらも、Cコルサたる新型はよりシャープで眼光鋭いフロントエンド、全般的にエッジを効かせたスタイリングで、時代性を巧みに表現した3、5ドアボディをもつ。
ホイールベースは2491mmと長く、これに伴って全長も3817mmと延びた。全体的に一回り大きくなり、同時に半クラスぐらい上級移行した。これは近々この下に、より小さないわゆる3リッターカー(100kmを3リッターの燃料で走る)が入り込むからだ。
すべて4気筒のエンジンは1リッターから始まり、1.2、1.4、1.8リッターのガソリン、それに1.7リッターの2種のディーゼルから成る。
変速機は3種。通常のMTのほかに4段AT、そして1.2に限っては「イージートロニック」と呼ばれるセミATが付く。ATとはいっても、いわゆるクラッチレス、つまり2ペダルの5段MTで、電気モーターでクラッチとシフトを操作する。「D」に入れておけば全自動だが、マニュアル・モードを選べば、+-のティップシフトができる。
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全般的に洗練された乗り味
オランダからベルギーへと、アルデンヌ高原を走り回った新型ヴィータは、あらゆる面で先代よりも上質なクルマの感覚を受けた。
エンジンは排気量で多少の差はあっても、いずれも従来よりも静かになった。しかも6500まできれいに吹く。また新設計のサスペンションのために、路面からの騒音遮断が大幅に改善された。ただし試乗会に供されたクルマの多くは185/55-15という一回り太い「プレス用タイヤ」を履いていたので、場合によってはノイズと乗り心地を犠牲にしていた。
だから頭をノーマル仕様に切り替えて、冷静にかつヴァーチュアルに判断する必要があったが、そうやって観察すると全般的にとても洗練されている。特にスポーティ版ではなくてノーマルの足回りのほうがいい。ホイールトラベルは増えたし、サブフレームと液体封入マウント(モデルによる)のためもあって、乗り心地は一格上になった。
話題の「イージートロニック」は、制御に油圧を使っているクルマと比べるとよりシフトはスムーズで早い。個人的にはより高額なATより、あるいはまだ開発途上のCVTよりも、この種のセミATの方が利口だと思う。ただし意図的に僅かクリープを入れているにも関わらず、上り坂の発進時にはタイヤで1/4回転ぐらいバックしてからあわててクリープが出る。この辺は今後改良されるだろう。
全車電動ステアリングのおかげでステアリング自体は軽くなった。ただし依然として中立付近が曖昧だが、これはこれで普通のこの種のクルマのユーザーには違和感がないだろう。ただ個人的には、もう少しインフォメーションがあった方が安心して飛ばせる。
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まじめで理詰めな新型
とても理詰めに改善され、考えられ、結果としてきちんとまじめに階段を上がったクルマである。
こういう階段の登り方は個人的には好ましく思った。最近、このクラスではフランス系が妙に張り切っているが、オペルというか親会社たるGMは、かなり落ち着いて、長い射程でものを考えているように思えた。
(報告=web CG 大川 悠)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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