第272回:英国グッドウッドから夢の報告その2
スターリング・モスはモータースポーツ界のオシムだった!?(小沢コージ)
2006.08.05
小沢コージの勢いまかせ!
第272回:英国グッドウッドから夢の報告その2スターリング・モスはモータースポーツ界のオシムだった!?
■「無冠の帝王」に聞く、クルマと女
ってなわけで素晴らしくも忘れがたい、夢のような体験をさせてもらったグッドウッド。もう一つサイコーなおハナシがあった。それはあのスターリング・モスさんとの予想外の“モータースポーツ問答”!
御ん歳77歳になられる言わずと知れた50年代の名グランプリドライバーで、英国製マシンにこだわり、残念ながらシリーズチャンプは取れなかったと言われる「無冠の帝王」なんだけど、その速さといい、気性といい、記録ではなく記憶に残るドライバーだった(らしい。なんせ現役時代を知らないんで)。
で、今回オレはこのグッドウッド・フェスティバルを、メインスポンサー筋でもあるダンヒルの取材で行ったおかげで、貴重な会場内の豪華昼食会に出席することができたのだが、ここで偶然モスさんと背中合わせになり、ラッキーにもお話することができた。
でね。このモスさん。いや、愛を込めてモスおじいさん。予想以上にキサクかつユーモア溢れる方だったのだ。というのも一緒にいた人が「実はこの人(オレ)、初めて明日コースを走るんですけどね」と切り出した時のこと。じいさまこう答えた。
モス:クルマを走らせるのは速ければ速いほどカンタンだ。(それと同じで)女性もひとりの人とずっと付き合えばいいが、ラブアフェアをすると難しくなる。
……オレは一瞬、目が点になった。いきなりそう来たか。そしてしばらく迷った後、今度はこう問いかけた。
拡大
|
拡大
|
小沢:シンプル過ぎる質問ですけど、モスさんは女性とクルマ、どっちが好きなんですか。
モス:(一瞬、ニヤリと笑った風で)若い頃は同じぐらいだったけど今は両方。ともにひとつで2つの喜びをもたらしてくれる……。
うーむ、なんとも感慨深い。本来ならさらに「2つの喜びって?」と突っ込みたかったが時間の関係もあり、問答は終わってしまったのだが、ココでオレはハタと気づいた。
昔から言われている「男には負けたくないことがニつある。一つは運転、もう一つはセックスだ」という彼の名言。あれはたまたま出てきた格言ではなく、普段からそういう話ばっかりしてたんじゃないだろうか。ある意味“十八番トーク”だったのでは。ねぇ、モスじいさま。
さらにダンヒル美人広報の島田さんはこう付け加えた。
「ほとんどオシムよ。モータースポーツ界のオシム」
ちょいとセクシーな謎に満ちた問いかけでクルマをオンナに例える往年の名ドライバー。それは日本サッカー界の救済者と目され、同じく哲学的問答で知られる現代表監督のイビチャ・オシムの姿とカブった。
そして同時にモスじいさまがいかにクルマと女性を愛していたのかわかる。なんせこの時、彼は現在4人目となる日本生まれの奥さんとともにグッドウッドを訪れていたのだから。
クルマとオンナはまさしく彼にとっての一番の関心ごとであり、楽しみであり、悩ませる存在。おそらく人生の最後まで付き合うのだろう。
うーん、イギリスクルマ文化、つくづく侮れどれじ!
(文と写真=小沢コージ/2006年8月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。