第269回:「ジャガーXK」日本初試乗
このカッコは“チーズの匂い”に通じる!?(小沢コージ)
2006.07.05
小沢コージの勢いまかせ!
第269回:「ジャガーXK」日本初試乗このカッコは“チーズの匂い”に通じる!?
■外で見ないとわからな〜い
いやはや今週は久々の新車三昧だわさ。先週リポートした「スバル・ステラ」に始まり、同じく新型軽の「ダイハツ・ソニカ」に、3列シートクロカン4WDの「ジープ・コマンダー」、「マツダ・スピード・アクセラ」などなど。で、それらはまた後で報告するとして、なんと言っても注目は新型「ジャガーXK」!
なんせあの新生アストンマーチンを作った天才デザイナー、イアン・カラムがジャガーに移籍して作った第1作だからして。 現代のジャガーらしさ、ある種、“ダンディな大人のスポーツカー”像をどう表現しているのか。テーマはそこだ! なーんてね。
正直、モーターショーで見たかぎりは「……??? っていうか、このデザインで大丈夫?」って印象だった。でもクルマは外で見て、走ってみないと真価はわからない。俺はさっそく元アイドル・アシスタントのマノを連れて小淵沢へ向かった(マノについては、こんど紹介しま〜す!)。
■実物はオーラを放っていた!
正直、「見た感じはモーターショーで見たよりいいじゃない!」だ。特にリアのグラマラスな造形はさすが。ちょっとアストン入ってるのは否めないが、それでも確実に違うフォルムで、文句ナシにカッコいい。特に中央道で後ろから見かけた時は、久々に「なんだアレ?」って存在感を放っていた。
そして乗るとこれがたしかにいい。率直に言って、前のXKは見た目以上に乗ると古臭くて、それはそれで悩ましいものがあったが、今回は新たに作ったという、セダンの「XJ」とも違うアルミボディが凄い。確実に剛性が高く、なおかつ軽さが伝わってくる。
それは特にステアリングフィールに出てて、走り出した瞬間、物凄く上質かつ微妙な味わいを感じる。個人的には、もっとビシバシ路面の状況を伝えてほしいが、コレはこれでジャガーらしさなんでしょう。
それからインテリアの質感が驚くほど高い。シートの本革を始め、ウッドパネル、ステアリングまわりの樹脂素材など、前よりワンランクもツーランクも上がってる。
で、それと共にスタイルもよく見えて来ちゃうんだよね。これはこれでいいか……なんて。
■往年のデザインエッセンス
でね。要するに、見た目に「?」となる最大の問題はフロントマスクなんだよね。これは同様の意見を漏らす人も多いようだが、特にフロントのやや出っ張った大きなグリルとなみだ目ヘッドランプに違和感を覚えてしまう。
個人的には最初、ちょっとコイ(魚の)のクチみたいに見えちゃってね。うーん、なんかねぇ……という。
だけどクルマに乗り、さらにジャガースタッフに言われてハッとしたことがある。「これはまさにEタイプ、Cタイプ、Dタイプのエッセンスなんですよ」と。あの天才カラム氏もそう言ってたそうで、要するにヒストリック・ジャガーの韻を踏んでるのだ。
それからエンジニアリング的には歩行者保護の観点から、グリルの位置を下げられず、さらにボンネットを広くとらざるを得ない制約があったとか。
ま、制約はともかく、たしかにEタイプに感じるデザインの“クセ”というか“アク”は、新型XKにワザと残したよう。だからもしや、Eタイプを日常的に見慣れていない俺なんかは違和感を覚えるけど、見慣れてるイギリス人なんかは、新しいXKを見て懐かしさや“ジャガーらしさ”を感じちゃうのかもしれない。
いわばクサヤの干物の独特の臭みとか、ウォッシュ系チーズの匂いとかね。慣れれば気にならないどころか、逆に味わいすら感じられるという。それのデザイン版よ。果たしてこのカッコよさ、アナタはどう思うか? 今後、俺のなかでどう熟成されていくのか。もうしばらく見極めたいトコロですな。
(文と写真=小沢コージ/2006年7月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























