第263回:復活! 空冷ポルシェ(その4)
女房とタイヤは新しいのに限る!? ってか(小沢コージ)
2006.05.02
小沢コージの勢いまかせ!
第263回:復活! 空冷ポルシェ(その4)女房とタイヤは新しいのに限る!? ってか
■プロに訊いたタイヤ選び
久々My空冷911をハナシをば。
前にもご報告したように、ボディをキレイに磨いて、オイル&フルード類を交換して次はというと……やっぱタイヤなわけよ。
って言うか、正直ドライブしてて怖いんだもん。買ってから5、6年目。クルマ本体に限って言えば14年目に突入してるし、正直、タイヤなんかいつ変えたかわかんないんだからして。ぬはは。
某タイヤメーカー広報マンによれば「銘柄も大切ですけど、一番大事なのは時期。そのクルマがいつ作ったタイヤを履いてるのかどうか」だそうな。
いわれてみると、タイヤ=ゴムは経年劣化するワケで、タイヤは残りのミゾ量よりなにより賞味期限が大切。いくらトレッドが減ってなくても、5年過ぎたらほぼ本来の性能を発揮してないという。ゲゲッ! 危ないじゃん!
ってなわけで最近売り出し中の新人(!?)タイヤジャーナリスト、竹内龍男クンに相談してみました。
彼は俺の古くからの友達で元ブリヂストンの辣腕エンジニア&テストドライバー。その後、某専門誌を経て、フリーになった論理派だ。しかしてその実態は、酒とグルメをこよなく愛する男気あふれるイイオトコ!
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■タイヤに厳しい911
小沢:で、ポルシェ用タイヤってなにがポイントなんだっけ。改めてザクっと言うと。
竹内:ポルシェは基本的にタイヤに厳しいよ。特に911。サイズ規定が厳密で、小沢の964型カレラ2だってフロント205/50ZR17に、リア255/40ZR17インチでしょ。“ポルシェサイズ”って言われてるくらいだし、でもそうじゃなかったらクルマ本来の性能が発揮できない。ある意味、贅沢なクルマだよね。
小沢:ま、昔の911はフロントにウェイト積んでたってハナシもあるし、いろいろ苦労してんだよね。俺のもそうそう矢のように走るわけじゃないし。だからタイヤにも厳しいんだろうなぁ。
竹内:プロならみんな知ってるけど、ポルシェには承認タイヤってのがあって、基本的にそれしか付けちゃいけないからね。そんなの、ほかはBMWとメルセデスぐらいしかない。それにしても、ポルシェとは求められる要件が違う。
小沢:そういえば確か80〜90年代、ブリヂストンのRE71が「ポルシェの承認とった!」って大騒ぎしてたもんなぁ。でもポルシェって、タイヤメーカーには“いい縛り”にはなってるんじゃないの。頑張る目標というか。
竹内:それはあるよね。
小沢:ところで、どこのブランドがいいのかな。やっぱブリヂストン?
竹内:うーん、一般的にはBSは低温時のグリップが高いとか、ミシュランは耐摩耗性がいいとか言われてるけど、認証タイヤはどれも要件を満たしてるからね。ただ、ヨーロッパ製のタイヤにすると、ヨーロッパ車らしい走りが楽しめるってことはあるだろうなぁ。パンにバターが合うように、マッチングがいいっていうかさ。
というわけで不肖・小沢、前は国産タイヤだったんで、今度はミシュランのパイロットスポーツをつけてみました。当然「N2」ってサイドウォールに付いたヤツを。「N」はポルシェが承認したタイヤにのみつけられるマークで、「N2」はカバーする車種が増えた2世代目って意味。4本総額で、12〜13万円と安くはないけど、しょうがない。かわいい子には旅をさせましょう!? って違うか。
■“チョイ古”には新タイヤ
さっそく乗ってみたところ、まず驚いたのはステアリングフィールの軽さ。重い上着を一枚脱いだように、手ごたえが軽やかかつシャープ。タイヤ専門家に言わせりゃ常識なんだろうけど、細かいことを気にしない俺としては、トレッド面が柔らかくグリップが向上してるのに、なんで軽くなるんだ? ってな感じ。それとも、これはトレッド剛性が落ちたってことなのか? うーん、楽しいんだから、まあいっか!
それと路面の継ぎ目を越えるたびに、ブチン、ブチンいってたゴムが切れるような衝撃が、格段に抑えられた点もうれしい。
なによりも嬉しいのは高速走行でも安心できること。ステアリングを切っても前タイヤが噛んでないというか、あまり曲がっていってくれない感覚があったのだが、軽くスッとノーズが内側を向き、自信を持って切り込める。「よくなった!」って思い込んでる部分も大きいんだけどさ。でもまあ、ちょっと全体的に若返った感じはあるかな。
ってなわけで、ちょい古クルマに乗ったときはやっぱ新しいタイヤよね。女房とタイヤは新しいのに限る!? ってか?
……スイマヘン。
(文と写真=小沢コージ/2006年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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