アルファ・ロメオ・スパイダー2.2JTS(FF/6MT)/3.2 V6 Q4(4WD/6MT)【海外試乗記(前編)】
自由に向かって走れ(前編) 2006.08.11 試乗記 アルファ・ロメオ・スパイダー2.2JTS(FF/6MT)/3.2 V6 Q4(4WD/6MT) 1994年にデビューした「アルファ・スパイダー」が、長いライフを終えて一新された。歴史あるイタリアン・オープンの最新型には、かつてのスパイダーたちとの類似点が散見されるという。アルファを代表する名車
しっかりとした耐候性を実現した頑丈な帆を持つかわり、折り畳んでもボディのウェストラインから飛び出すドイツのカブリオレ。あるいは最低限の風雨を凌ぐことしか考えていないイギリスのロードスター、最近では分割式のハードトップを電動で格納するCC(クーペ-カブリオレ)まで登場して、ひと口にオープンカーといっても多くのバリエーションが取り揃えられている。
が、個人的にはボディ下に小型のソフトトップが綺麗に隠れる、小粋なイタリアのスパイダーが好きだ。まず屋根を開け放ったときのスタイリングがいいし、実用性と耐候性だって容認できる範囲にある。
第二次大戦以降のアルファ・ロメオを例にとれば、「1900」がそうだし「ジュリエッタ」も「ジュリア」もそう。高性能なクーペやベルリーナとともに、いつも洒落たスパイダーをラインナップに加えるのが伝統だった。
ここに紹介する新型「スパイダー」も、それら戦後のアルファを代表する名車の一群と、成り立ちが非常に近い。すなわち基本的にメカニズムを共用するセダン/クーペなどのバリエーションモデルとして生まれ、ポートフォリオを形成しているのである。
より具体的に説明すれば、GMと手を結んで同社の技術資産を取り入れ、欧州Dセグメントでハイレベルなライバルと堂々と戦える高い競争力を実現した「159」をまずマーケットに投入。そのアーキテクチャーを流用した2+2クーペの「ブレラ」を次にデビューさせ、今度は返す刀でそのハードトップを取り去ったオープン2シーターの発表に漕ぎつけたというわけだ。
ジウジアーロとピニン、そしてアルファ
クーペ/スパイダーの相関関係において、戦後アルファに黄金期をもたらしたジュリアとの類似点はほかにもある。クーペのデザインをジョルジェット・ジウジアーロが、他方スパイダーをピニンファリーナが、それぞれ担当したということだ。
さすがに60年代の作品とは違い、ふたつのカロッツェリアに完全な自由を与え、クーペとスパイダーでまったく異なる個性を展開させるという当時の贅沢な手法までは残念ながら復活していない。両モデルともジウジアーロが2002年のジュネーブ・ショーに展示した「ブレラ・コンセプトカー」のオリジナル案に忠実なことは、写真をひと目見れば明らかだ。
しかし新型スパイダーを注意深く観察すると、リアフェンダー上部でウェストラインがキックアップするなど、ジュリエッタ・スパイダーのモチーフが控えめに反復されていることもわかり、人によっては旧き佳き時代のロマンティシズムが掻き立てられるかもしれない。スパイダーの全長が4393mmとブレラに比べ20mmほど短いのも、スタイリング面からの要求だろう(全幅:1830mm、ホイールベース:2528mmは同一、全高は1318mmと低い)。
手動ロックを装備せず、センターコンソールに配置されたスイッチのみで作動するソフトトップは、25秒前後で開閉を終える。「メルセデスSLK」が先鞭をつけ、今流行中のメタルトップCC(クーペ-カブリオレ)を採用しなかったのは、
(1)アルファ・スパイダーの伝統に背く
(2)スタイリング面で妥協したくなかった
というふたつの理由からだという。
ただしジュリエッタ・スパイダーに用意されていたような純正デタッチャブル・ハードトップを開発する可能性については、現在ピニンファリーナと検討中だという回答を得た。
むろんルーフを失ったことに起因するボディ剛性低下への対処や、横転時の安全性を確保するため、フロアやリアバルクヘッド、Aピラーなどが強化されていることはいうまでもないが、それに伴う重量増は60kgと発表されている。(後編へつづく)
(文=CG加藤哲也/写真=フィアット・オート・ジャパン/『Car Graphic』2006年8月号)
・アルファ・ロメオ・スパイダー2.2JTS(FF/6MT)/3.2 V6 Q4(4WD/6MT)【海外試乗記(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018497.html
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|

加藤 哲也
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。
































