「ターボ車が少なくなってきたわけは?」
2006.04.15 クルマ生活Q&A エンジン「ターボ車が少なくなってきたわけは?」
「日産シルビアK's」に乗っています。ターボ特有のパワーが盛り上がる感覚が好きなのですが、最近国産車ではターボ装着車が少なくなってきたように思います。排出ガス規制のためと言われていますが、排出ガス規制とターボ非装着と、どのような関係があるのでしょう? 輸入車ではディーゼルターボや低圧ターボなどもあるし、軽自動車やトラックなどは、ターボ車がまだまだあるのに……。(茨城県YIさん)
お答えします。おっしゃるとおり国産自動車メーカーがガソリン車にターボチャージャーを使わなくなった理由は、排出ガス規制に大きく関わりがあります。しかし、規制を「クリアできない」という意味ではなく、「クリアする技術にお金がかかる」からだと思われます。
ガソリンのターボ車は理論混合比付近で燃焼させると排出ガスの温度が上昇して、触媒付近の温度が非常に高くなり危険な状態になります。その温度を低く抑えるため、濃い燃料を噴射する(ガソリン冷却)のが普通です。
このようなターボ車の多くは、マフラーの出口付近にススが付着しています。これは触媒の保護のために濃い燃料を噴射した結果なのです。もちろん有害な成分が排出されているということで、このようなクルマは規制の対象になります。
燃費が悪いのも高価な触媒を使うなどすることで、技術的に解決することは可能なのですが、やはりコストが高くなります。現在ターボチャージャーを採用しているのは、良質で高価な部品を使うことができるプレミアムカーや上級グレードに多くなっているのはそのような理由からです。
なおディーゼルターボや軽自動車のターボは規制が違い、理由も異なりますので、改めてお答えしたいと思います。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。