第257回:中村史郎さんと突撃〜!代官山『マイレバノン』攻略大作戦
2006.03.29 小沢コージの勢いまかせ!第257回:中村史郎さんと突撃〜!代官山『マイレバノン』攻略大作戦
![]() |
■インド料理とイタリア料理の中間?
えー、『マイレバノン』知ってますか? 日産&ルノー社長のカルロス・ゴーン氏の奥様、リタ・ゴーンさんがやってる日本では数少ないレバノン料理店。残念ながら当日、ご本人はいませんでしたけど。
で、以前、なんかのイベントで日産の常務デザイン本部長、中村史郎さんとお会いした時に「一緒にマイレバノンを攻略しよう!」ってハナシになったのだ。確か1年以上前の約束で、それが遂に先日決行されたってわけ。はたしてその首尾は……。
場所は代官山の有名な3差路交差点ソバ。店内に入ると、入口にはレバノン産とおぼしき民芸品がゴロゴロ転がってて、さらに土曜日ってこともあってか、結構空いてて一瞬「大丈夫か?」って感じ。だけど、料理は意外にも(!?)グー!“レバノン”ってことで漠然とスパイシーかつ味濃い目で、馬とか羊とか馴染みの薄い食材ばかり出てくるかと思いきや、ほぼ鳥や豚中心で全然問題ナシ! 唯一、パセリをみじん切りにしてオイルであえたパテみたいのに驚いたけど、それもことのほか苦味なく食べやすい。
作法としては、そういった練り物や肉を炒めた風のを“ピタ”っつうのか、インドのナンの小さいのみたいので挟んで食すんだけど、感想は「まさしく食はシルクロードを渡ってきた!」ってな具合。
大雑把にいえば、インドのカレー料理の辛さを取って、オリーブオイルを多用した地中海料理風のシロモノなのだ。インド料理とイタリア料理の中間っていうかな? 穀類系をあまり取らなかったんで、全貌は見えなかったけど、驚くほど日本人でもすんなり馴染めるお味。
史郎さん曰く、「レバノンはその昔、レバノンGPってあったくらいで、僕らが考える以上に栄えていたし、それにゴーンさんじゃないけど、文化的にすごく多様性がある」んだそうな。写真撮るのを忘れちゃったのが残念だけど、俺たちはかなり気に入って「美味いじゃん!」を連発。
![]() |
■視覚快楽の魔術師に
ところで史郎さんとのハナシで、なにが印象的だったかっつーと「視覚は人間の感覚の大部分を支配する」っていう真理。これまた酔っ払ってて詳細はいい加減だけど、デザイナーだか芸術の世界には「視覚第一、触覚第二、嗅覚第三」みたいなセオリーがあるそうな。つまり、人間に入ってくるほとんどの情報は視覚から得られるということである。
ヘンな話だけど、「自分の感覚でなにを奪われるのがイヤかって視覚。つまり最後に残すのは“目”でしょう」と。確かにそうだよね。俺自身、痛さがわからなくなることや、味がわからなくなることより、目が見えなくなるのが一番怖いもん。
ところでこの春から史郎さんは「CCO」、つまり“チーフ・クリエイティブ・オフィサー”なる役職に付くんだそうな。これは“日産に関して、人間の視覚に入るすべてのものをコントロールする仕事”だそうで、具体的にはクルマはもちろん、建物、カンバン、カタログ、書類、ミスフェアレディの制服などなどすべてを管理するってこと。
「事実上、いままでもそうだった」そうなんだけど、時にデザイナーとはそういう成長をするものなのね。俺は、カーデザイナーのトップってのは、てっきり雑誌の編集長よろしく、自らデザインをするかたわら、部下の仕事のチェック及びコントロールをするのがメインだと思ってたんだけど、それだけじゃない。延長として「ブランド(日産)に関する“視覚領域”すべてを管理する」のである。言ってみれば、“視覚快楽の魔術師”ってことよね。優れた料理人がメインディッシュだけでなく、デザートやドリンクまでコントロールするように、デザイナーはもはやカタチ、色、雰囲気、などなどすべて操ろうとする。
「人は手、耳、舌、肌で味わう前にまず“目”で味わう」とはよく言われるけど、ホントのこと。つくづく“デザイン”って奥深いですなぁ。
(文と写真=小沢コージ/2006年3月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。