アウディ A4【特集/阪和明】
どうやら望み薄-セダンとしてのアウディA4- 2001.12.31 試乗記 アウディ A4 3.0クワトロ(5AT) ……515.0万円 2001年6月11日、いよいよわが国での販売が始まったアウディ新型A4。先代よりわずかに拡大したボディで居住性向上を謳う。とはいえ、日本市場は人員運搬車たるミニバン、SUVの全盛期。プレミアムサルーンを標榜するフォーリングズのメインモデルは、いまや30%を割らんとする3ボックスマーケットでパイを奪い合うしかないのだろうか? 前『Car Graphic』編集長、阪 和明が考察する。3ボックスの優等生
新しいアウディA4は、なかなかバランスのとれたセダンである。洗練さにおいて2リッターモデルのエンジンがいささか期待外れだったとはいえ、総合的にみればかなりの実力の持ち主だ。実用セダンかくあるべしといった入念な作り込みには拍手を送りたいほどである。直接のライバルであるメルセデスのCクラスやBMW3シリーズよりも抜きん出た部分が少なくないのだ。3ボックスセダンの優等生的存在といえるだろう。
安定志向の操縦性、よく躾られたサスペンションがもたらしてくれる優れた乗り心地、仕上がりよく高品質の内装。A4を走らせていると、よくできた真っ当なセダンの素晴らしさに心惹かれる。
もちろん、A4は高価な「プレミアムBセグメント」のモデルとして、絶対的な販売台数は少ない。とはいえ、こんなクルマが姿を見せれば、ここ長らく市場で低迷を続けている3ボックスセダンが勢いを取り戻すのではないかと期待したくなるが、はたしてどうだろう。
ジャンル分けの無意味
なにしろミニバンやSUVは相変わらず人気がある。人気の秘密は「家族そろって出かけられるだけの広い室内空間」「これまでのセダンとは違う楽しさがある」ということだろう。たしかに3ボックスタイプのセダンより、ミニバンやSUVは便利だ。ふつうのセダンでは実現できない「遊び」の要素も多い。3ボックスセダンに匹敵するくらいの運動性能を備えたミニバンやSUVなら運転していても不安はない。
だからミニバンやSUVの使い勝手が自分の嗜好や生活パターンに合致するユーザーなら、たとえ完成度の高い3ボックスセダンを目の前にしても食指を動かすことはないだろう。楽しいかどうかは別として、ひとつの移動手段として最適と考えるからこそ使っているからだ。
個人的には3ボックスセダンが好きで、子供に手がかからなくなったいまの生活・家族構成では、ミニバン、SUVの必要性をまったく感じない。移動はせいぜい妻とふたりだからだ。
とはいえ、どんな“セダン”を選択するかはユーザー個人の問題である。価値観の違いといえるかもしれない。だいいち、「3ボックス」「2ボックス」「ワンボックス」云々とジャンル分けすること自体、いまや的外れと言えなくもない。基本性能さえしっかりしていれば、どんな形態や構造のクルマであろうと関係ない。そう考えると、ニューA4の出現をひとつの契機に「3ボックスセダン」というパイが拡大することは、どうやら望み薄である。
(文=阪 和明/写真=アウディ・ジャパン/2001年6月)

阪 和明
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