アウディ・オールロードクワトロ2.7T【試乗記】
ちょっと良すぎる 2002.09.19 試乗記 アウディ・オールロードクワトロ2.7T日本のモータージャーナリズムの草分け的存在、小林彰太郎。会う人ごとに、長期リポート車として日常をともにしたシトロエン・エグザンティアのすばらしさを説く今日この頃である。そんなおり、アウディが、車高を4段階に変えられるA6ベースのワゴンを出したという。さっそく乗ってみた。
会員コンテンツ「Contributions」より再録。
アウディのシトロエン
僕はシトロエン・エグザンティアこそ、ほんとうのMPV(多用車)だと信じている。2年半10万kmにわたり、まったくノートラブルで、あらゆる目的にガンガン使った経験があるからだ。たった1台で、春夏秋冬、全天候のもと、老若男女を問わず、あらゆるTPOに使ってサマになるクルマは、現時点でエグザンティア以外にはない。
エグザンティアは2001年初頭で生産を止め、ひとまわり大柄で、例の巧妙なハイドラクティブ・サスペンションがさらに改良されたC5モデルに代る。シトロエンの新型は、これまでの経験によれば品質が安定するのに最低1年はかかるから、すぐに飛びついたりしない方が賢明である。そこで、慌てて最後の在庫だというエグザンティアを1台、わが家の足に買い込んだ。
ところが、つい最近、アウディが「シトロエン」を発売したではないか! オールロードクワトロ2.7Tというその新型は、基本的にA6アバントをベースとするフルタイム4駆ワゴンだが、車高を4段階に(自動的あるいは任意に)変えることができるのだ。ただし、シトロエンのように気体と液体をバネ/ダンパーに利用した高度なシステムではなく、アクティヴ・サスペンションでもない。それは比較的単純な空気バネで、電子制御により、地上高を最低142mmから最高208mmまで変えることができる。
熱烈なるエグザンティア党としては、おおいに気になる存在なので、折からの大雪に埋もれた軽井沢へ行く用事をつくり、さっそくこの「アウディ製シトロエン」を借りてテストしてみた。
理想の1台
結論から先に言ってしまうと、アウディ・オールロードクワトロは結構ずくめだが、687.0万円という高価格を含め、僕にはちょっと良すぎた。
動力性能は、エグザンティアとは比較にならないほど高い。V6 2.7リッターツインターボ 250ps+5段ティプトロニックだから当然で、その気になれば200で巡航可能だ。むろんこんな高性能は日本では無用の長物、僕は130で快適に巡航できればよいのであり、それならエグザンティアで充分用が足りる。
このティプトロニックはなかなか賢い。上り/下り坂では自動的に坂道走行モードになり、確実にエンジンブレーキが効くのは便利だ。
エグザンティアに比べて圧倒的に優れているのは、フルタイム4駆固有の安定性と高速時の静粛性、それにボディ剛性と品質感の高さだろう。反面、アウディの数少ない欠点は硬い乗り心地で、特に不整路面では後席乗客から文句が出るだろう。
雪道の踏破力だが、オールロードは地上高を任意に選べるので、並みのクワトロならフロントエアダムが接地するような深い雪でも問題ない。むろんタイヤは標準のオールウェザーではなく、スタッドレスを必要とする。寒冷地の住人や、頻繁にスキーに行く人なら、このオールロードクワトロは理想の1台だろう。
(文と写真=小林彰太郎/2001年3月)

小林 彰太郎
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