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【スペック】全長×全幅×全高=4940×1900×1500mm/ホイールベース=2905mm/車重=1960kg/駆動方式=4WD/3リッターV6DOHC24バルブ スーパーチャージャー付き(310ps/5500-6500rpm、44.9kgm/2900-4500rpm)/価格=889万円(テスト車=同じ)

アウディA6オールロードクワトロ(4WD/7AT)【ブリーフテスト】

アウディA6オールロードクワトロ(4WD/7AT) 2013.04.09 試乗記 笹目 二朗 ……889万円
総合評価……★★★★

2012年の夏に、300台の台数限定で日本に導入された「アウディA6オールロードクワトロ」。オンにもオフにも対応する専用設計の足まわりと、アウディ自慢のエンジンとトランスミッションが織り成す走りを試した。

(ほぼ)無敵のオールラウンダー

「オールロードクワトロ」こそ一番アウディらしいアウディだと思う。ラリーで大活躍した初代「クワトロ」から連綿と続くアウディの4WDはこれまでほぼすべて乗ったことがあるが、走破性の高さだけが取りえではなく駆動力を発揮する洗練度において群を抜いている。
ただ、クワトロのほとんどはセダンもしくはワゴン型乗用車であり、その万能と称賛された駆動能力をもってしても最大のウイークポイントはロードクリアランスであった。だからこのオールロードクワトロのような車高を変えられる形態ならばもう敵なしである。まだ可能性を残すとすれば水陸両用車のような特殊なものだろうか。またエンジンに関しては、ルマンなどで活躍しているディーゼルがまだ日本に来ていないことから、評点としてはまだ先を開けておいた方がよさそうな気がする。

アウディ A6オールロードクワトロ の中古車

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
アウディのEセグメントワゴン「A6アバント」をベースに、悪路走破性を重視した足まわりやボディープロテクターなどを採用し、クロスオーバーSUVに仕立てたのが「A6オールロードクワトロ」だ。その始まりは、2000年に登場した2代目A6ベースの「オールロードクワトロ」(当時は「A6」の名が付かなかった)。今回試乗したモデルは、それから数えて3世代目にあたり、スチールとアルミニウムを組み合わせたボディーなど、クルマの基本は現行型の「A6アバント 3.0TFSIクワトロ」に準拠している。
パワーユニットは最高出力310ps/5500-6500rpm、最大トルク44.9kgm/2900-4500rpmを発生する3リッターV6DOHCスーパーチャージャーと、「Sトロニック」と呼ばれるデュアルクラッチ式7段セミATの組み合わせ。駆動システムはもちろんフルタイム4WDだ。一方、ベース車と大きく異なるのが足まわりで、車高を−15mmから+35mm の間で3段階に調整できるアダプティブエアサスペンションを装備。タイヤも一回り大きな255/40R20にサイズアップしている。また、状況に応じて走行モードを選べる「アウディドライブセレクト」には、悪路走破モードの「オールロード」が追加設定される。ヒルディセントコントロールなど、オフロードで役立つ機能も充実している。

(グレード概要)
今回の「A6オールロードクワトロ」は、日本では特別仕様車という扱いで2012年8月に登場。ラインナップはモノグレードで、ハンドル位置は右のみ。ボディーカラーも「グレイシアホワイト」と「ファントムブラック」の 2色のみが用意されていた。残念ながら日本市場に割り当てられた300台はすでに完売。欲しい人は追加導入の可能性に期待をかけるしかない。

外観では大型のホイールアーチ、アルミニウム製のサイド大型ドアアンダープロテクター、ステンレスアンダーガード、アルミ製ルーフレールなどが特徴。シングルフレームグリルも垂直方向のラインを強調した専用のデザインとなる。
外観では大型のホイールアーチ、アルミニウム製のサイド大型ドアアンダープロテクター、ステンレスアンダーガード、アルミ製ルーフレールなどが特徴。シングルフレームグリルも垂直方向のラインを強調した専用のデザインとなる。 拡大
状況に応じて任意の走行モードを選べる「アウディドライブセレクト」は、エンジンやトランスミッションの制御に加え、エアサスによって車高の調整も行えるようになった。
状況に応じて任意の走行モードを選べる「アウディドライブセレクト」は、エンジンやトランスミッションの制御に加え、エアサスによって車高の調整も行えるようになった。 拡大
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【車内&荷室】乗ってみると?

(インパネ装備)……★★★★★
ナビの位置をはじめ各計器類の配置は適切。見やすく、コントロールの操作関係も良好と言える。ないものねだりをするならば、高度計もあると便利。ドイツ車にしては目に入るところに光り物の装飾などが少ないところも好感がもてる。それでいて高価格車にふさわしい高級な雰囲気も備わっている。ATのシフトパドルがハンドルと一緒に回ってしまうのは難だが、このクラスならば減速に使う程度だろう。

(前席)……★★★★
シート自体の造りの良さは価格相応にして立派。各種調整装置も完備しているし調整代が大きいのもアウディの特徴。前方の眺めとドライビングポジションがキチンと決まる気持ち良さは格別。サスペンションはハイテク満載でいろいろ選べるが、それぞれに違いはあるものの、姿勢変化のない、キチッとフラットな落ち着きが得られないのが玉にきず。ハイトコントロールは便利。ダイヤル調整で選べ、操作も簡単。

(後席)……★★★★
ルーフは高く居住空間としてセダン以上に快適。シートは掛け心地良くサイズもタップリしている。ただ、やはりピターっとフラットに走行する感覚はやや希薄。2トンの重量があっても微小ながら車体変位が気になる。着座位置は高めなので前方の眺めは上々。比較的静粛な車内の環境から、ギアやシャフトなどの回転物の精度が高く、精緻な造りであることが知れる。

(荷室)……★★★★
ウエストラインが高く、トノカバーまでの位置でも荷物室は広大。バンパーと同じ高さのフロアもフラットで、荷物の出し入れは容易である。ネットも便利。支持点を移動できるスライドレールも親切装備だ。また、スイッチで自動開閉するハッチゲートには開口レベルの調整機構も完備。好きな高さでゲートを保持し、開閉スイッチを4秒以上長押ししたら、その高さを記憶してくれる。

インパネまわりのデザインはベース車の「A6アバント」から大きな変更はなし。加飾パネルは「ファイングレインアッシュ」のみの設定となる。
インパネまわりのデザインはベース車の「A6アバント」から大きな変更はなし。加飾パネルは「ファイングレインアッシュ」のみの設定となる。 拡大
シート表皮にはミラノレザーを採用。前席の電動調整機構やシートヒーターなどは標準装備となる。
シート表皮にはミラノレザーを採用。前席の電動調整機構やシートヒーターなどは標準装備となる。 拡大

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荷室の形状は「A6アバント」と共通。後席は6:4の分割可倒式で、アームレストスルーも備わっている。(クリックするとシートの倒れる様子が見られます)
荷室の形状は「A6アバント」と共通。後席は6:4の分割可倒式で、アームレストスルーも備わっている。(クリックするとシートの倒れる様子が見られます) 拡大

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
3リッターV6のパワー/トルクは2トンの重量に対して適切。エンジンブレーキを考えるとこの排気量は有効といえる。クワトロシステムの恩恵でパワーの路面伝達は滑らかにして強力。低ミュー路においてもホイールスピンなどしない紳士的マナーも特筆ものだ。単なる前輪駆動のオートマとは次元の異なる滑らかさは、老人や子供に対して前後Gに優しいだけでなく、疲労も軽減してくれる。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
エアサスは微小範囲のボディー変位を許し、高級乗用車らしい感覚は多少そがれるものの、車高調整をはじめとした広範囲な状況に対応できる許容度の大きさが魅力だ。また姿勢の高低にかかわらずハンドリングへの影響は少なく、重心高の変化にも鷹揚(おうよう)だ。20インチタイヤはロールセンターを高め、車両を安定させるのに貢献。見た目にもたくましく車のキャラクターに合致している。乗り心地にもそれほど悪影響を及ぼしていない。

(写真=河野敦樹)

エンジンは3リッター直噴V6スーパーチャージャーのみ。ベース車にラインナップさている、2.8リッターV6自然吸気の設定はない。
エンジンは3リッター直噴V6スーパーチャージャーのみ。ベース車にラインナップさている、2.8リッターV6自然吸気の設定はない。 拡大
タイヤサイズは255/40R20と、ベース車より外径を一回り拡大。ホイールもベース車には設定のない専用品となっている。
タイヤサイズは255/40R20と、ベース車より外径を一回り拡大。ホイールもベース車には設定のない専用品となっている。 拡大
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【テストデータ】

報告者:笹目二朗
テスト日:2013年3月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2012年型
テスト車の走行距離:3220km
タイヤ:(前)255/40R20(後)同じ(ピレリ P ZERO)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:628.3km
使用燃料:71.0リッター
参考燃費:8.9km/リッター

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