ホンダ・アコードワゴン タイプS(FF/5AT)【試乗記】
欲しいのは、大人味 2006.01.13 試乗記 ホンダ・アコードワゴン タイプS(FF/5AT) ……370万6500円 2005年11月24日、ホンダ「アコード」がマイナーチェンジされ、2.4リッター+5段AT仕様のスポーティモデル「タイプS」が追加設定された。そのワゴン版に試乗した。マイナーチェンジの目玉モデル
2005年11月24日、アコードとアコードワゴンがマイナーチェンジを受けた際、新たに設定されたモデルが「Type S」だ。アコード、アコードワゴンともに用意される。その特徴は、パワートレインに2.4リッター直列4気筒エンジンと、“Sマチック”と呼ばれる5段オートマチックを採用するとともに、足まわりにはヨーロッパ仕様のスポーツタイプサスペンションと、225/45R17タイヤを組み合わせたこと。さらに、専用のエアロパーツや大型メーター、本革/人工皮革コンビシートなど装備も充実していて、マイナーチェンジの目玉モデルと位置づけられている。
試乗車「Type S」には、オプションの本革シートが奢られるほか、パワーテールゲート、HiDS(Hondaインテリジェント・ドライバーサポート)、HDDナビなどが装着され、豪華このうえない。
セットオプションのサイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、リアヘッドレストも付けられていたが、こういった安全装備はオプションではなく標準装備にしてほしいものだ。
ワゴンとしての機能性は高い
それはさておき、ワゴンとしての機能性の高さには目を見張るものがある。全長4750mmと、余裕のボディサイズを誇るだけあり、見るからに広い荷室にまず驚く。メジャーを当てると奥行きは約115cm。多少ホイールハウスの張り出しはあるが、幅も100cm〜130cmと広々している。
荷物が多いときのために、当然リアシートを倒すことができるが、その操作もなかなかユニーク。シート背面のロックレバーを握るとまずヘッドレストが倒れ、そのままバックレストを倒すと連動してクッションが跳ね上がるのだ。この状態で、フロアはフルフラットになり奥行きは約180cmまで拡大する。
最近はシートバックを倒すだけ、というケースが増えているが、クッションを跳ね上げる“ダブルフォールディング”タイプは、万一の際に後方からの荷物の侵入を食い止めてくれそうな安心感があり、私個人はこちらが好み。だから、アコードワゴンのこのやり方はうれしい機能といえる。
その一方で、後席のスペースが不足気味なのが気になる。大きいボディのわりに、膝のまわりのスペースにはさほど余裕はない。人よりも荷物のスペースが優先ということか!?
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もうひとふんばり
注目の走りっぷりだが、まずは搭載されるエンジンについて。最高出力200ps/6800rpm、最大トルク23.7kgm/4500rpmのスペックを誇るユニットは、排気量に余裕があるだけに低回転からトルクが豊かで、発進や街中でのちょっとした加速に不足はない。高速の追い越しなどの場面でも、アクセルペダルを大きく踏み込んでやれば、4000rpmあたりから盛り上がりを見せ、期待どおりの加速を示す。ただ、高回転での吹け上がりに気持ちよさは見られず、回して楽しいタイプのエンジンではないようだ。
スポーツタイプサスペンションと17インチタイヤの組み合わせは、コーナリング中のロールを抑え、安定した姿勢を保つのに貢献しているし、高速での直進性も高い。しかし、乗り心地は硬く、荒れた路面ではショックを拾いがちだ。
見た目やスペックでスポーツを主張するのもいいが、もう少し洗練されたマナーがほしい。大人のスポーツワゴンにはもうひとふんばり、というところだろうか? 今後の熟成に期待する。
(文=生方聡/写真=荒川正幸/2006年1月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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