スバル・レガシィツーリングワゴン2.5GT(4WD/5AT)/ホンダ・アコード24TL(FF/5AT)【試乗記】
中までしっかりガイシャ味 2009.07.22 試乗記 スバル・レガシィツーリングワゴン2.5GT SIクルーズ(4WD/5AT)/ホンダ・アコードツアラー24TL(FF/5AT)……399万5250円/362万7750円
新型へと、デッカく生まれ変わった「スバル・レガシィ」。その走りを、同じくデカくなったライバル「ホンダ・アコード」とともに試してみた。
ミドルクラスで最大級
“国民的ステーションワゴン”が新型に生まれ変わった。国民的ミニバン(?)のホンダ・オデッセイがハリウッドのアニキ、ジョージ・クルーニーをCMキャラクターに起用したかと思えば、レガシィはハリウッドのオジキ、ロバート・デ・ニーロである。
でも、あのコマーシャルに映っている白いレガシィほどカッコよくないゾと思ったのは、試乗車のボディカラー(ブラック)のせいだろうか。大きなホイールハウスと大径ホイールが特徴的なニューレガシィは、その足元を強調するホワイトパールがいちばん似合うようだ。とはいえ、カッコにいささかガンダム入ってないか? そんな恨みは「ボルボV70」のモデルチェンジにも共通する。
カッコは好みにしても、新型の明らかな変化は「大型化」だ。ツーリングワゴンの場合、旧型と比べて全長で約10cm、全幅で5cm、全高で約7cm大きくなった。なかでも全高1535mmといえば、リフトパーキングに収めるためにギリギリ背を低くしたミニバン、くらいの大きさである。実際、オデッセイ(1545mm)と変わらない。ミドルクラスワゴンとしては最大級のボディをもつのが5代目レガシィのキャラクターである。
中に入って大型化の恩恵を最も強く感じるのはリアシートである。膝まわりも頭上も、広さはレクサスLSをしのぐ勢いだ。これならミニバンから降りてくるユーザーにも不満を抱かせない、ということか。荷室も旧型よりひとまわり広がった。
やや落ち着きが足りない
試乗した2.5GT SIクルーズは、ツーリングワゴンの最上級モデルである。4輪を駆動するエンジンは、従来型に小変更を加えた水平対向2.5リッター4気筒DOHCターボ。GT系には285psのこれが搭載され、それ以外には170psの2.5リッターSOHCが載る。ボディの成長に伴い、国民的ステーションワゴンは全車2.5リッターになった。
新しいCVTを備える自然吸気モデルに対して、GT系の変速機は5段AT。ステアリングにはパドルシフトが付く。車重は1540kg。このサイズの四駆ワゴンとしては軽く仕上がっていることもあり、動力性能は軽快だ。
エンジンと変速機の特性を3段階に変える“SIドライブ”をいちばんおとなしいインテリジェントモードにしていても、加速は余裕しゃくしゃくだ。コントローラーを回して、ほかにSモード、S♯モードを選べるこのチップチューナーはかなり効果大で、最もスポーティなS♯でワインディングロードを走ると、フットワークまで軽くなったような印象を抱かせる。
ただし、足まわりの快適性は高級ワゴンと呼ぶにはいまひとつだ。いちばん気になったのはフロアまわりの剛性感が不足することで、乗り心地にやや落ち着きを欠く。小はインプレッサから使っているプラットフォーム(車台)に補強を加えているとはいえ、ウワモノがちょっと大きすぎるのではあるまいか。
ヨーロピアン対アメリカン
新型レガシィ・ツーリングワゴンと一緒に走らせたのは、「アコードツアラー」である。半年早くデビューしたこちらも、旧型より大きく立派になり、全幅1840mmのワイドボディに2.4リッターの4気筒i-VTECを搭載する。レガシィにとってはガチンコライバルと言ってもいいモデルだろう。
“ツアラー”の名は欧州仕様と同じである。日本でいうアコードは、アメリカでは「アキュラTSX」として売られている。だが、SUVがステーションワゴンにとって代わった米国で、アキュラTSXはセダンのみだ。つまり、アコードツアラーは欧州向けとの共同歩調である。
だからというわけでもないが、レガシィと乗り比べると、アコードツアラーはヨーロッパ車的だ。FFなのに車重はレガシィより少し重く、2.4リッター4気筒のパワーも206psにとどまる。そのため、瞬発力には欠けるが、エンジンそのものは、いかにも“回してナンボ”の気持ちいいホンダユニットだ。レガシィの2.5リッターターボは静かでパワフルだが、音や回転フィールなどマナーの点でとくに特徴がない。ボクサーサウンドもまったくしない。稀少な水平対向エンジンなら、ふだんからそれとわかる個性があってほしいと思うのはぼくだけだろうか。フラットな乗り心地やしっかりしたボディ剛性もアコードツアラーの魅力だ。
ヨーロピアンなホンダ製ライバルに対して、レガシィはしいて言うならアメリカンである。走りのクォリティでは一歩譲るが、居住空間の余裕や荷室の広さはアコードをしのぐ。ウイークエンダー(週末旅行者)の友、ステーションワゴンなら、その性能をなにより重視するという人も多いだろう。
しかし、レガシィツーリングワゴンがUSワゴン的で、アコードツアラーがユーロワゴン的? じゃあ、どちらも日本車的ではないのかと聞かれれば、残念ながらイエスと答えざるを得ない。アコードツアラーが欧州メインのクルマであることは前述のとおり。一方、フォレスター好評のおかげで、リーマンショックでも販売台数の落ち込みが軽微だったスバルにとって、今度のレガシィは重要な対米戦略車種なのだ。ボディの大型化は、そのための必然だったのである。
(文=下野康史/写真=荒川正幸)
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下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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