第241回:復活!空冷ポルシェ(その2) 磨き屋は“古畑任三郎”たれ!?
2005.11.25 小沢コージの勢いまかせ!第241回:復活!空冷ポルシェ(その2) 磨き屋は“古畑任三郎”たれ!?
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■お肌荒れまくり!
ってなわけで久々に乗り始めた“寝かせ911”。相当気に入っちゃったんだけど、となると逆に気になる部分も出てきたんだよねぇ。それは“お肌”。早速、知り合いのケミカルのプロに聞いちゃいました。
「この汚れ、なんとかならないですかねぇ」
というのも我がマジョーラカラーの911、実はお肌が荒れに荒れてるんですね。遠くからはキレイな、とれたてのサバもびっくりの深い青さを見せつけるんだけど、近くで見るとがっくり。なんつーか、美人レースクイーンを近くで見たら日焼けと疲れでお肌荒れまくり! みたいな感じよ。単なる水アカというよりも、妙なまだら模様がこびりつき、自虐的に言えば“ただれ”。なんとも形容しがたい悲しさです。くぅ〜涙ちょちょ切れぇ!
強引にワインにたとえますとね。濃いワイン特有の“オリ”みたいな感じかな。それも半端な量じゃなく、大量に硬く、ビンの内壁にこびりついたような……。そりゃそうだよね。放置してはや5年。最初のほぼ1年は外に置いてたし、その後4年間放置。その間、ろくに手入れもしてない。汚れてて当然かも。
しかもこのただれを見たとたん、俺自身、最初から諦めてたフシもある。というのも我がポルシェは、いわゆるマジョーラカラー、専門的にはリッター、ウン万円もするデュポンの『クロマリュージョン』という特殊塗料が塗られており、普通のクルマとはワケが違う。だからしょうがない、きっとこの汚れは取れないんだと信じ込んでいたのだ。だってこんな“ただれ”ほかで見たことないんだもん。
■ただれの原因は……
ところがケミカルのプロのススメで行った磨きひとすじ20年の「K'sシステム」さん。聞けば、正規ポルシェのショーカーから広報車までを一手に引き受ける、ボディ磨きの腕っこきなんだけど、そこのボスの加藤克さんはひと目見るなりこう言い放った。
「ああ、これはおそらく花粉ですね。小沢さんの駐車場の近くにはおそらく杉かなんかが生えてるでしょ。それか春先に雨ざらしにしてた。それが問題なんですよ」か、花粉? 例のハナ水ズズーの?
「そう。実は花粉って水に溶けて熱が加わると“強酸”になるんです。それがそのままボディに乾いて残るという過程を繰り返した結果、こうなった。だから模様が何層にもなってるし、水溜りが残りやすいボンネットにムラは多いけど、逆にフェンダーにはあまり付いてないじゃないですか」
た、確かに……しかし、きょ、強酸とは! なんなんスかソレー。
「これは塗装面を侵食しますから、なかなか全部は取れませんよ。部分的には残るかもしれない」
……絶句。花粉って怖い。
料金は後に語るコーティング代も含めて約8万円。ま、紹介がゆえ多少は安くしてくれるとしても、正直、安くない値段だ。でも、ほぼ取れると聞いて俺はGOサインを出した! た、頼むよ〜。
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■テクだけじゃなく見極めが大事
ところで実は気になったのが磨く前の加藤さんによる“事情聴取”だ。このクルマをどこに置いていたか、どのように使ってたか、まわりになにがあったのかを加藤さんはわりとしつこく聞くのだ。おーい、ケーサツの鑑識じゃないんだからさ。「これが意外と大切なんですよ。確かに汚れの質はボディを見れば大抵わかりますけど、たまにわからないのがある。たとえば最近驚いたのではトンボの卵。実はホワイトパールなどのパール系にチョンチョンと落とすんですね。これがなかなか取れなくて」
と、トンボの卵ぉ? 水色メガネの!?
「やっぱり都会より田舎に多いし、時々想像付かない汚れとかあるんですよ。それがわかってたほうがやっぱり磨きやすいし」
そう、実は磨きの本質とは、もちろんスポンジにコンパウンドを付けてぐるぐる回すバフ掛けテクニックもあるが、いかに汚れの質を正しく知るか、塗装面をどこまで削れるかの見極めにある。簡単に取れるのに、無駄にコンパウンドを使う必要はないし、塗装面を削らずに済むに越したことはない。よって、まさに“古畑任三郎”並みの経験と洞察力が必要になるのだ。
「ま、長くやってますから」と笑う加藤さん。
返す返す、頼むよ!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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