アウディQ7 4.2 FSIクワトロ(6AT/4WD)【試乗速報】
プレミアムSUVはニッチを目指す 2006.11.29 試乗記 アウディQ7 4.2 FSIクワトロ(6AT/4WD) ……996万円 2006年10月4日、アウディ初の大型SUV「Q7」が発売された。5メートルを超えるボディに、3列7人乗りを採用した高級SUVの乗り味は?そして、リポーターが考えるライバル車は意外に!?
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アウディQライン戦略
2004年の「A6」から新世代ラインナップで果敢に挑戦を始めたアウディは、その第二段階に入りつつある。03年に登場させた一連のコンセプトモデルを突破口として、さらなる攻勢をかけようというものだ。
それはパイクスピーク・コンセプトから生まれた「Q7」、ヌヴォラーリ・コンセプトから生まれた新型「TT」、そしてルマン・コンセプトの現実版たる「R8」である。Q7はハイパフォーマンスSUV、TTはスポーツカー、そしてR8はスーパースポーツである。
これら第二段階シリーズを、アウディは乗用車系のAライン、それの高性能版系列のSラインに続くQラインと呼ぶ。このラインナップを見てもおわかりのように、高性能とニッチ向け個性を重視したアウディのイメージリーダー的シリーズとも理解できる。
その一つ、Q7に乗ってきた。
強い自己主張
アウディによれば、このQ7は「メルセデスML」「BMW X5」「ポルシェ・カイエン」などをライバルとし、何よりも大きなボディによる存在感の大きさ、スタイリングの新しさ、そして長年クワトロシリーズで蓄積したダイナミック・パフォーマンスが武器だという。
たしかにこれは小山のように大きい。外寸は5085×1985×1740mmもあるから、ヨーロッパ製SUVの競合車を凌ぐ大きさで、ほとんどアメリカの大型SUV並みである。
それにシングルフレーム・グリルを目一杯生かして、その力強さをリアエンドにまで引っ張ってきた独特のスタイリングは、たしかに個性的で野心的だが、人によってはやや強過ぎると受け止めるかも知れない。でも和田シニア・デザイナーによれば、この大きさや力強さは、ヨーロッパの狭い道を持った古い都市でも似合ったばかりか、期待以上の良好な反応を得たという。
いずれにしても特にこのプレミアム高性能SUVの世界は、強烈な個性と自己主張なしには生き残れないのだろう。
居心地に貢献するインテリア
走るとライバルとはやはり違った味わいを持っている。全般的に予想以上に乗り心地はいいし、振動や騒音の遮断が優れていて、とても気持ちがいい居心地を提供してくれる。それには理性的に筋が通っていながら、品質感や色遣いを大切にし、強さよりも品格を重視したようなインテリア・デザインも貢献している。
エンジンそのものはきちんと回り、きちんとトルクをフィードするユニットだが、BMWやポルシェほど直接感覚に訴えるタイプではない。ただしレスポンスがいい6段ティプトロに助けられて、2.3トンを超えるボディをかなり敏感に走らせる。メーカーによれば0-100?/hを7.4秒という加速性能を持つのだ。
試乗車にはオプションのアダプティブ・エア・サスペンションが付いていた。これは「A6オールロード・クワトロ」と同様に車高やモードを選べるものだし、その能力の高さはオールロードで確認済みだが、オフロードを選んだときにESPシステム全体もオフロード・モードに切り替わるのが新しい。
ライバルは身内か?
試乗を終えて考えたのは、X5やカイエンよりもアウディ内の別なモデルのほうがライバルになるのではないかという可能性だった。同じ4.2のFSIエンジンを持ったA6オールロードクワトロが980万円に対して、こちらは945万円とやや安い。
これは「A6アバント 4.2FSIクワトロ」とほとんど同じだ。でもエアサスはQ7に限っては40万円のオプションになる。一方で、A6アバント・クワトロが2列シート・5人乗りに対して、Q7は3列目のシートを備えた7シーターで、オプションで中央が優雅な2人用という6シーター版もある。
富裕層の世界でも、ライフスタイルが複雑化しているから、これだけ選択肢が要るようになったということなのだろう。
(文=大川悠/写真=高橋信宏/2006年11月)

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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