アウディQ7 55 TFSIクワトロ(4WD/8AT)
“時のクルマ”ではないけれど 2018.12.24 試乗記 アウディのフルサイズSUVといえば、いま最もホットな存在なのが「Q8」。しかしベースとなったこの「Q7」なくしてその存在は語れない。2代目の発表から4年、そろそろマイナーチェンジの声も聞こえてくる同車の熟成ぶりを確認してみた。フェイズ1の完成形か
2005年にQ7で始まったアウディのSUV「Qシリーズ」の歴史。いつの間にかファミリーが増え、気が付けば「Q2」「Q3」「Q5」、そして同シリーズの先鋒(せんぽう)となったQ7と、現在4モデルが日本で販売されている。これに、2019年のそう遅くない段階でフラッグシップSUVとなるQ8が加わって、Qシリーズはますます大家族になる。世界的なSUVブームを、まさにアウディのラインナップだけでも証明しているかのようだ。
いずれQ8にフラッグシップの座を譲るとはいえ、アウディにとってQ7がSUVの王道を行く実質的な支柱であることに変わりはない。理由はいくつかあるが、Q7とQ8は、「A4」と「A5」のような関係で、セダンのメインストリームを行くA4に対して、A5はスタイリッシュなクーペフォルム(2ドア、4ドア、カブリオレをラインナップ)をまとったニッチな存在だ。
同様に、いかにもSUVらしい立ち気味のリアゲートを持つオーソドックスなデザインのQ7に対して、Q8は近頃ハヤリのSUVクーペという立ち位置。ボディーサイズだけを見れば、A5もQ8もベースとなったA4やQ7よりも小さいが、車名にある数字が示すように、両モデルとも上位モデルとなる。
ボディーサイズとは無関係に上位モデルは上位モデルとして、アウディにおける誇るべき存在になるだろう。しかし、A5もQ8もベースになるA4やQ7がなければ、そもそも作られることはなかったワケで、そうした意味でも当たり前だが基幹車種は決して軽視できないのである。見方を変えれば、いかに付加価値を持つ上位モデルを企画しようとも、ベースモデル、この場合はQ7がしっかりした出来でなければ、Q8も企画倒れ。“時の人”ならぬ“時のクルマ”といえる流行のクーペを作ったはいいけれど……になってしまう。
ということで、今回の試乗における確認ポイントは、Q7の完成度ということになろう。すでに日本でも販売開始からほぼ3年。欧州車の常として何度かのランニングチェンジをこなし、目に見えないところでも熟成してきているはずである。もっとも先代モデルのライフサイクルを当てはめて考えてみれば、2代目モデルでも来年2019年あたりがマイナーチェンジのタイミングになってもおかしくはないので、これがフェイズ1の完成形と言えそうだ。