日産マーチ12E(FF/4AT)/12SR(FF/5MT)【試乗記】
昔ながらの「運転する楽しみ」 2005.09.06 試乗記 日産マーチ12E(FF/4AT)/12SR(FF/5MT) ……価格=149万1000円/208万4250円 「ファッションをシフトする」と題して、コンパクトカー「マーチ」のマイナーチェンジが行われた。欧州でも大人気のこのクルマ、主力の1.2リッターグレード2台を試乗した。
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イメージを崩さない変更
マーチが小変更を受けた。といっても外観上の変化は小範囲で、フロントグリル、前後バンパー、リアコンビランプの手直し程度。
内装はシート形状の改良やクロスの一新など実質面の高級化、またボディカラーにチャイナブルーなどの新色も加わった。機構面ではティーダやノートでもお馴染みの、HR15DE型1.5リッターエンジンが追加され、1.2と1.5にあわせて4WD仕様専用の1.4と、ラインナップの充実が図られた。なお、3ドアはラインナップから姿を消している。
マーチは丸っこく可愛らしい外観をはじめ、欧州製小型車に匹敵するほどの存在感がある。登場初期には電動パワーステアリングの操舵感や固い乗り心地など、やや洗練度に欠ける仕上がり具合であったが、販売が軌道に乗ってくるにしたがい順次微修正され、今回はそれより少し大がかりながら、基本的なイメージを崩さない範囲で変更がおこなわれた。
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気持ちのいい操舵感
まずこのクルマは、日常性能が一番気掛かりな点であるからそこからチェックしていこう。
乗り心地はフンワリしたソフト感こそないものの、ゴツゴツとした安手の硬さはなくなり、しっかり路面からの入力を収め、姿勢をフラットに保とうとする。つまり常識的ながら不満のない、良好な乗り心地のレベルに達している。
パワーステアリングの感触はより自然になり、これまでのように路面の凹凸を拾いチョロチョロ乱れる癖はなくなり、軽く保舵したままで直っすぐ走る。ラックのフリクションも低減され復元性は良好、曲がり切ってから手を離すとスルスルと素直に直進に戻る。電動モーター部分の慣性はまだ少し感じられ、ゴローンとした一種の重さはあるものの、総じて軽めの操舵力と遅れの少ない復元性により、気持ちのいい操舵感を実現している。
新しいデザインのシートは座り心地もよく、ノーマル状態では座面の後傾角もまずまず。ハイトを上げると後部が上がる機構上、平らな腰掛け的になるから長時間は不利ながら、明るいアイスブルーの色調は夏でも涼しげに過ごせそう。
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シニアの好き者にも
MT車が少なくなっている今、「12SR」は限られたパワーを引き出して運転する楽しみを満たしてくれる数少ないクルマだ。ただし欲をいえば、ギア比が昔の「日産サニーVR」などのように、クロースレシオとなっているのが好ましいが、まあ現代のユーザーにはクラッチがついているだけで恩の字かもしれない。絶対的なパワーは排気量なりに限られるものの、気持ちよく上まで回してシフトしていく楽しみはあるわけだから。
サスペンションも硬すぎずほどほどの節度をもった接地性のいいもので、重量1トンを切るクルマ特有の身軽で軽快な動きが味わえる。185/55R15という太いタイヤを履いてはいるが、ボディもサスペンションも剛性的に許容している。
このクルマは若者だけでなくシニアの好き者にも、昔ながらの楽しみを思い出させてくれる。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸/2005年9月)

笹目 二朗
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