BMW3シリーズ3リッターモデル【試乗記】
BMW3リッターモデル「ちょい乗り」試乗報告 2000.08.10 試乗記 BMWジャパンは、上陸間近いメルセデスのニューCクラス迎撃と、日本導入初期に傷ついた現行3シリーズの「スポーティ」イメージ回復のために、8月26日から、新開発3リッター「M54型」ストレート6(231ps/5900rpm、30.6kgm/3500rpm)搭載モデルの販売を開始する。 8月9日、山梨県は八ヶ岳で、プレス向け試乗会が行われた。![]() |
あらまほしきビーエム330iセダン(5AT)……535.0万円
ズロンと、38psと5kgm出力を増した6気筒は目をさます。数字は、従来の2.8リッターユニットと新型3リッターとを比較して。
3000rpmまでで最大トルクの90%を発生するというニューエンジンは、フラットな出力特性を活かして常用回転数を低く抑え、結果として燃費が良くなることを狙った。また、触媒の改良と設置位置をエンジンに近づけることで、日欧米の排ガス規制に適合し……、 といったことはもちろん大切ですが、運転してうれしかったのは、スロットルレスポンスが格段に良くなったこと。以前乗った320iの、「黄金の孫の手をもちながら、カユイところにまるで手が届かない」痛痒感がなくなった。
かつての6シリーズに匹敵するまでに拡大した゛スモール″シックス。野太く回る。「エンジンのBMW」が帰ってきた。
![]() |
失われたイメージを求めて330iセダン M-sport(5MT)……555.0万円
左ハンドルのマニュアル車に乗る、核心的ビーエムファンへの贈り物。318iの、薄まったスポーティ色ゆえ芳しくなかった市場の反応を反省し(純正オールシーズンタイヤも評判を落としたと思います)3リッターのMTモデルは、一転、「スポーツサスペンション」「スポーツシート」「レザースポーツステアリングホイール」とスポーツづくし。前後左右の空力パーツと、17インチに履かせたフロント=225/45、リア=245/40の薄く太い前後異サイズのタイヤで足もとをキメる。
中低回転域重視型エンジンの、6000rpmとすこし寂しいレブリミットに、回転計の針は「アッ」という間に達する。ファイナルが日本向けに低められているため、1速で60km/h、2速で90km/hと速度は伸びないが、その分、加速は痛快。左ハンドルのみのため、イザというとき、反対車線を見づらいのが欠点か。
![]() |
古い革ブクロZ3クーペ3.0i(5AT)……499.9万円
2.8リッターモデルより9.9万円高のZ3クーペ3.0iは、キドニーグリルの縦バーやテイルゲイトのハンドルがクロームになって、ちょっぴり派手に。メカニズム面では、ATが5段化され、ステップトロニックを搭載、シフターを左のゲイトに入れることで、シーケンシャルにギアを変えることが可能になった。
エクサイティングな外観にすばらしいエンジンを与えれば……、と当然の期待を胸にステアリングホイールを握ったものの、Z3、なんかニブイんだな。エンジン音はこもるし、鼻先は重いし、バネ下はバタつくし……。
先々代のシャシーにデッカいエンジンを与え、破綻させないために足まわりを硬める。いびつなのは、カッコだけじゃない。注ぐワインは、新しいんだけどね。
![]() |
クーペなカブリオーレ330Ciカブリオーレ(5AT)……640.0万円
「旧3シリーズクーペに匹敵するねじれ剛性とまげ剛性を確保」というプレス資料を読みながら、「ま、そういうクルマじゃないから」と醒めた気持ちで山道に行って、オドロイタ! 空に向かって開け放たれたボディは、ミシリともいわず、しかしタイヤは鳴らし、次々とコーナーをこなしていく。 車検証によると、前後軸重量は、820:860kg。屋根切りによる前後重量バランスの崩れは、最低減に抑えられた。セダン比160kg増しの車重ゆえ、強化されたスプリングを使いながらもロールは深いけれど、よくチェックされた好ましいもの。落ち着いた挙動を見せる。
ガラス製リアウィンドウを備え、3層式になったソフトトップは、文字通りワンタッチで開閉可能。所要時間約25秒。硬軟ともに、ヤルときゃヤります。
(web CG アオキ/写真=高橋信宏)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。


































