BMW Z3ロードスター3.0i(5AT)【ブリーフテスト】
BMW Z3ロードスター3.0i(5AT) 2000.09.27 試乗記 ……529.0万円 総合評価……★★★ステロイドの功罪
BMWのオープンスポーツカー、Z3ロードスターの最上級モデル。これまでの2.8リッターから3リッターへと排気量アップしたエンジンを積むだけに、動力性能は第一級。まるでアメリカンV8のような排気音は興醒めだが、とにかくカッ飛ばしたいドライバーには歓迎されること請け合い。
ただし、全長4mのコンパクトサイズのオープンカーに、果たして3リッターものエンジンが本当に必要かは疑問が残る。少なくとも日本では力をもてあまし気味。ステロイド過多? やはりこれはアメリカ市場を向いたモデルといえそう。
Z3ロードスター本来の性格を考えると2リッターモデルで充分である。
恰好のライバルはアウディTTロードスター。こちらは500.0万円だから、価格的にもいい勝負。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
先々代3シリーズ(E30)のシャシーをもとにつくられる2座オープン。1995年10月に、1.8、1.9リッター直4を搭載してデビュー。翌年、2.8リッター直6、97年のジュネーブショーでは、3.2リッターを積むMロードスターが登場した。ほかに、2、2.5リッターなどエンジンは豊富。2000年に、2.8リッターが3リッターに拡大された。
(グレード概要)
Z3ロードスター3.0iは、新開発「M54型」ストレート6搭載。マニュマチックたる「ステップトロニック」付き5段ATが組み合わされる。電動ホロ、ヒートシーター、レザーシート、そしてウッドトリムなど、豪華な装備を誇るトップ・オブ・Z3ロードスター。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
黙って座れば、そこにはBMWならではの世界が広がる。ただ、スポーツカーなのにサルーン系と同じようなデザイン/レイアウトなのは残念。外観同様にもっと個性的なら嬉しいが、そのあたりが最近のBMWの限界か。メーターナセル内のクロームリングは好き嫌いが分かれそう。スイッチ類の配列はごく自然.。操作感、操作性いずれもよい。電動ソフトトップ用スイッチの位置がやや遠いのは難点。もっともこれは慣れの問題?
(前席)……★★★★
適度なタイト感が好ましく、スポーツカーらしいドライビングポジションも○。ウェストラインが低いので、肘をのせるのも可能。近頃のクルマのなかでは珍しい存在。いただけないのはシート。表皮の模様がスポーティでないのと、けっこう滑りやすくホールド性があまりよくない。これなら革ではなくファブリック地がいい。半手動、半電動のソフトトップの開閉は楽。
(荷室)……★★
オープン2シータースポーツとしては、まずまずの容量だが、浅い。現行のマツダ・ロードスターのほうが使い勝手はよい。ただし、困るほどではない。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
充分なトルクとパワーを誇るストレート6は魅力的。不用意にスロットルを開ければ、のけぞるほどの加速を味わえる。5ATとのマッチングもよく、低速域からよく粘り、扱いやすい。排気音はまるでアメリカン・ミニバンのよう。「ボウボウ」常にうるさいのが泣き所。この音だけをとると、ちょっと「おバカな」クルマといった印象。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
硬めのセッティングのサスペンションだが、不快な突き上げは感じず、適度にピシっと締まっている乗り心地には満足できる。安っぽくないのが、さすがにBMW。ステアリングはそれほどスローじゃないが、中立付近ではやや大雑把。それだけに高速道路では神経質にならずにすむ。足まわりよりエンジンパワーが勝っているクルマで、ワインディングロードを飛ばすことより、高速クルーズのほうが得意。見かけはスポーツカーだが、中身はGTの色合いが強い。
(写真=小河原 認)
【テストデータ】
報告者: CG編集局長 阪 和明
テスト日: 2000年9月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:2428km
タイヤ:(前)225/45ZR17/(後)245/40ZR17(いずれもDunlop SP Sport 3030E)
オプション装備:エクステンドレザー・パッケージ(20.0万円)/メタリックペイント(7.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
走行距離:239.3km
使用燃料:25.1リッター
参考燃費:9.5km/リッター
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阪 和明
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