BMW Z3クーペ3.0i(5AT) vs アウディTTクーペ1.8Tクワトロ(5MT)【ライバル車はコレ】
『コンパクトなカジュアルクーペ』 2000.11.16 試乗記 BMW Z3クーペの 「ライバル車はコレ」BMW Z3クーペ3.0i(5AT=499.9万円)のライバルは?
大胆なまでの「キャブ・バック」レイアウト(?)と、それを活かした超ショートワゴン風ハッチバックデザインがユニークなZ3クーペ。日本に導入された当初は、2.8リッターの「Z3クーペ2.8」と、先代M3譲りの強心臓3.2リッター「ダブルバノス」ユニットを詰め込んだ「Mクーペ」の2種類だった。
Z3クーペ3.0iは、2000年8月26日に、新開発3リッター「M54型」ユニットを搭載した3シリーズが日本市場に導入された際、Z3クーペ2.8に代わるモデルとしてラインナップされた。
今回は、「コンパクトなカジュアルクーペ」という観点から、Z3クーペのライバル車を選んでみた。
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【ライバル車はコレ】アウディTTクーペ1.8Tクワトロ(5MT=480.0万円)
Z3クーペの個性の強さは改めて述べるまでもないが、独特のルックスという点で負けていないのが、アウディTTクーペ。4mそこそこのコンパクトな全長、エンジンの出力、そして20万円とない価格差。Z3クーペは2人乗り、TTクーペは4人乗りだが、ルーフが大きく落ち込んだTTクーペの後席スペースは、想像される通り、そもそも犬でも嫌がる(?)大きさなのだ。
TTクーペの場合、そのシルエットを実現させるために1.8リッター4気筒ユニットを横置きに搭載、ターボチャージャーの助けによって225ps、28.6kgmの高出力、大トルクを発生する。しかし「パワーの緻密さ」「スムーズさ」では、やはりBMWの売り物、ストレート6には及ばない。
一方で、アウディ得意の4WD「クワトロシステム」は、ターボパワーを楽々こなす強力なトラクション能力と、それをベースとした低ミュー路面での踏破能力の高さがジマンだ。
一時期話題になった「オーバー200km/hレベルでのオーバーステア傾向」は、サスペンションセッティングの変更などにより影をひそめた。その分、タウンスピードでの乗り心地のかたさが以前よりも目立つが、コンパクトボディゆえの剛性感の高さもあり、不快感は最小限に抑えられている。
(文=河村康彦/2000年11月)

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。