第221回:初見参!「グッドウッド・フェスティバル」ここは“オヤジ向けディズニーランド”だ!
2005.07.15 小沢コージの勢いまかせ!第221回:初見参!「グッドウッド・フェスティバル」ここは“オヤジ向けディズニーランド”だ!
■純粋で享楽的
ついに行ってきました、イギリスの「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。ここ数年、トヨタやホンダがヤケに熱心に取り組んでいる新手のモータースポーツイベントで、簡単に言っちゃうとヒストリックカーレースの一種。古くは1936年からやってるそうだけど、本格的に興行と化したのは93年から。
でね。正直俺は、なんでここまで盛り上がってるのかわからなかったわけよ。たしかに俺の知ってる80年代以降のフェラーリやらポルシェも出てるけど、メインはそれ以前。60年代以前のヒストリックカーがわんさかいっぱい。正直、よくわかりまへん。
そもそも主催者はマーチ卿ってイギリス貴族で、コースは彼の広大な敷地の中なんだって! 「ケッ、鼻持ちならないお金持ちイベントかぁ……」そう思ってたのよ。マジな話。
ところが行ってみれば、予想通りの“スカしムード”もなくはなかったけど、もっと純粋で享楽的でした。
あえて言えば“オヤジ向けのクルマディズニーランド”! 男の子として最低限のクルマ知識があれば誰でも楽しめる。小さい頃から『AUTO SPORT』(三栄書房)読んでたようなマニアならなおサイコーだけど、そうでなくてもたぶんOK。っていうか人間、特に男の子だったら知らず知らずに、クルマ知識がそれなりに身体に蓄積されてるんだってわかります。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
■誰でも知ってるマシンが“ゴロゴロ”
まず凄いのはマシンのラインナップね。ふるーくて難解なマシンもあるけど、大抵はその世代なら誰でも知ってるようなメジャーなマシンばかり。俺の世代だったらセナが乗ってた“マクラーレン・ホンダ”とか“ウィリアムズ・ルノー”とかね。そのテがゴロゴロ。
しかもそれがほぼ全ジャンルを通じて。耐久マシンだったらマルティーニカラーのポルシェ956とかシルクカット・ジャガー、ラリー車だったらランチア・ストラトスとかレプソルカラーのインテグラーレ。そのほかパリダカに出てたポルシェ959やらWGPに出てたホンダNSRなんてのもありましたよ。
昔読んだ漫画の『赤いペガサス』(村上もとか/小学館)とかタミヤのプラモの箱を思い出しちゃうよね。自然にさ。
■人もスゴイ
でさ。実はここからが本番で、さらに“人”が凄いのよ。俺は撮影してて知らず知らずにF1パドックに紛れ込んてたんだけど、気づいたら目の前にWGPシリーズ500ccクラスで5連覇のミック・ドゥーハンがいて、しかもワイン・ガードナーと立ち話中。で、振り返ったらフレディ・スペンサーよ!
すっかりシワもよってオナカもポコンと出た天才“ファスト”フレディ様がご丁寧にもロスマンズカラーのツナギ着て、ヘロっとNSRの横に佇んでらっしゃる。
いや、マジ、上がりましたね。いったいここはどこ〜ワタシはダレ〜って感じで。思わずツーショット写真を撮らせていただきました。
さらにお次も。そのままボーッとしてたら、なぜだか最新F1ターイム! 我らが佐藤琢磨様に続き、なんとフェルナンド・アロンソ様までご登場とあいなったのだ。ははーっ、へへーっ!まるで『オーシャンズ12』の撮影現場に紛れ込んじゃったようでしたよ。人気が出るのもわかるわ。
■濃密な味わい
だからさ。逆に言うとさ。つくづく今のモータースポーツってつらいよね。例えば鈴鹿F1。白子駅から30〜40分歩いてサーキットに行っても、入れるのは人でギューギュー詰めのスタンド。見れるのはせいぜいコーナーひとつで、そのうえ、真剣勝負だからお気に入りのヒーローが必ず走る保証もない。
ところがこのグッドウッド。まだそんな人入ってないし、ガードレールがないからマシンが近くで見える。藁のクッションの向こうはすぐコースなのよ。
コースが全長2km弱の一方通行のヒルクライムってとこもいいよね。敷地が小さく、移動が短めですむうえ、ドライバー同士がムダに競争しないから、基本的に安全が保てる。
でさ。結局、レースを生で見に行っても、大抵“音”と“雰囲気”しか味わえないように、実はモータースポーツイベントって、それだけで十分なのよね。誤解を恐れずに言えば、駆け引きやバトルはなくていい。それはTVで見ればいい。つまりグッドウッドって、非常に効率的なモータースポーツイベントなのよ。まさに美味しいとこ取りで、カニの身を、殻を向かずにラクに食べるような感じ。
まあ貴族の遊びから始まったものだからね。“味の密度”が違うっていうか。
そうですねぇ。日本で無理やり同質のイベントを企画するとすれば、貴乃花から輪島から大鵬まで、歴代横綱を国技館に集めて、みんなでデカいヒノキの銭湯に入る!? そういう感じでしょうか。ちょっと違うかな(笑)
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。
