プジョー407 ST 2.2(4AT)/407 SW SPORT 3.0(6AT)【短評(前編)】
帰ってきたライオン(前編) 2005.06.03 試乗記 プジョー407 ST 2.2(4AT)/407 SW SPORT 3.0(6AT) ……360万円/450万円 プジョーのミディアムクラスサルーン「406」が約9年ぶりに一新し、個性的なフェイスを持つ「407」に生まれ変わった。2.2リッターセダンと3リッターワゴンに、二玄社編集顧問大川悠が試乗した。乗った瞬間に”いいクルマ”
偉そうなことをいうつもりはないけれど、本当にいいクルマは、走り初めてすぐ、100mぐらい走ればわかる。正しく言えば、身体で感じられる。
この日の試乗会も、いつものように最初は意図的にとてもゆっくりと、まず這うように、そして徐々に速度を上げて会場を出た。その瞬間に感じた。「これはいいクルマだ!」。「プジョー407」は、予想していた以上にいいクルマだった。
ゆっくり走るとわかることはいくつもある。スロットルを踏んだときのドライバーの期待値とクルマ自体のレスポンス、微低速のエンジンのトルク、駆動系のタイトさ、タイヤやサスペンションのスムーズさなど。それがどうボディからシートを通じて伝わるか、さらにはインテリアが醸し出す微妙な感覚など、設計者がどういうクルマを目指したかが、ある程度は理解できる。
だからこの日、乗り込むなり407が相当気に入った。
久々に1960年代からの伝統的なプジョーと出会ったような気がしたのである。
607市場までカバーできる
小さく元気で、しかも結構奥が深い「307」以下のプジョーが、ヨーロッパだけでなく日本でも、特に若い世代で好まれているのは周知のとおりである。だからこそ、フランス車にとっては、かなり敷居の高い市場である日本でも、プジョーだけは元気がイイ。
でも日本では、そのプジョーのラインナップの中で中大型モデル、つまり「406」と「607」は、販売比率に占める割合がたったの13%でしかないのだという。つまり日本では、プジョー=元気でおしゃれな小型車なのだ。
といっても、中大型のプジョーも相当いい。個人的には小さなプジョーよりも絶対にお買い得だとさえ思っている。特にすこし前、『webCG』インプレッションのために607に乗って驚いた。(「607」試乗記はこちら)日本に輸入直後はそれほど感銘を受けなかったクルマだが、最新モデルがあまりにもできがいいのに感心させられた。ボディがもうすこし小さかったら、自身で欲しいとさえ思ったくらいだ。
だが、実はその607、現在の在庫がはけ次第、販売が止まる。もともと日本ではマーケットが小さかったのも理由だが、それ以上に、今回の407が607のフィールドまでカバーできるほど品質が高くなったためだ。プレスティージアスな中身も持っているし、サイズ的にもそれほど変わらないからだとは、広報スタッフの説明である。
それに対して、半分は疑問を抱いたまま試乗したのだが、リアルームの快適さを除けば、たしかに407は従来の406から607までをカバーできるモデルであることがわかった。
挑んでくるライオン
407はかつてプジョーの代名詞だった「ベルフォールのライオン」の現代型である。ベルフォールとは北フランス、アルザス地方のプジョーの生誕の土地だ。強靱でダイナミック、それでいてしなやかでありながら狡猾であり、自信に満ちている。それがライオンであり、プジョーでもあった。
407は見た目もライオンである。実際にメーカーが“Feline”(フィライン=猫科)のクルマと称するだけあって、大きな口、筋肉にあふれたようなボディサイド、襲いかからんとするように前のめりのフォルムなど、明らかにスタイリングは獣を意識している。ちなみにデザインはピニンファリーナではなくハウス・デザインで、リアのデッキが高いセダンと、特徴的なラップアラウンド風リアウィンドウと大きなグラスルーフを持つワゴン「SW」の2種類が用意される。406の後継ではあるが、ホイールベースは25mm延ばされた2725?、外寸はセダンで4685(+85)×1840(+60)×1640(+30)?と一まわり大型化し、サイズもほとんど607に迫った。
エンジンは2.2リッター直4と3リッターV6が用意されるが、これに合わされるトランスミッションは前者がZF製4段AT、後者はアイシン・ワーナーの6段ATとなる。フロントがダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクという凝ったサスペンションは細部が煮詰められ、重量増にあわせてブレーキが強化されている。(後編につづく)
(文=大川悠/写真=峰昌宏/2005年6月)
・プジョー407 ST 2.2(4AT)/407 SW SPORT 3.0(6AT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000016772.html
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大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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